私が大好きな美容師さんの話
皆さん。
美容室あるいは理容室は好きですか?
空間、会話、髪を切ってもらうことそのもの、好きですか?
私は大好きです!!
数ヶ月に一度しか行かない美容室ですが、私にとってはワクワク、どんな「美容室デー」になるかと、予約した日から楽しみにするのが毎度なのです。
今からちょうど10年前、私は田舎・福井からはるばる、神戸に引っ越してきました。大学入学に際して、一人暮らしの始まりです。
新天地にて、スーパーマーケットやコンビニや駅の情報を集めるのは簡単です。しかし美容室となるとどうでしょう。
距離は? 雰囲気は? 価格帯は? 口コミは?
理想的な美容室って、意外と探すのが難しいものです。
幸運なことに私には、おあつらえ向きの出会いがありました。
それが「美容室てぃ~だ」さんです。
BEGINはじめ、沖縄の曲が流れるゆったりとした空間。
シーサーや貝殻など、小物もしっかりエキゾチック。
「てぃ~だ」とは、沖縄方言で「太陽」という意味です。
初めて入店した瞬間、当たりを確信したのを覚えています。
ハイビスカス茶のおもてなし。しっかりとしたカウンセリング。頭皮マッサージまでしてもらえます。
「ほんっとうに綺麗な黒髪ですね~!」
何より私が感動したのは、美容師Sさんの素敵な対応でした。
Sさんにはそれこそ南国の風のように、私を包み込んでくれる優しさがありました。「この髪型/切り方は似合わない」「こうするのがオススメ」といったアドバイスじみたものは一切無く、あくまで客=私の希望を参考に施術をしてくださいます。
おまけにとても明るくておしゃべりです。つられて私も、出身地や大学、家族構成に至るまで、長々と話してしまいました。
当然、出来上がった髪型には満足でしたが。
私はそれ以上に、心が満足していたのでした。
そこから現在に至るまでの丸10年、私とSさんとの関係は続いています。
数ヶ月に一度、Sさんを指名して予約する。店に行き「お久し振りです」とお互い再会を喜ぶ。あれやこれや会話しながら施術してもらい、新しい髪型に感動し、心身共に満たされて帰る。
初めてメッシュを入れてみたのも。
バチバチに開けたピアスを自慢したのも。
長い髪をバッサリ切ったのも。
鬱で悩んでいる話をしたのも。
好きなやきとりのメニューで盛り上がったのも。
みんな、Sさんとの時間の中ででした。
私は、Sさんのことを「エンターテイナー」だと思っています。
髪を切る。アレンジする。それは確かに美容師の仕事の中心であり、最も大切にすべきことです。ここがおろそかになっては意味がありません。
しかし逆にいえば、「技術は一級品」の美容師さんって、日本中どこにでもいると思うんです。
数多の美容師さんがいる中、ではどうすればリピーターになってもらえるのか? どうすれば、次またあの美容室に行くのが楽しみだ、と思ってもらえるようになるのか?
やはり最後に決め手となるのは、陳腐な表現ですが「まごころ」でしょう。
その点に関してSさんは完璧です。
私との会話の内容を、私自身が驚くほど事細かに覚えてくださっています。新しい髪型に挑戦する時、私以上にワクワクした表情を見せてくださいます。「もう10年ものお付き合いになるんですね~」と私を見る顔は、まるで母親のそれです。
だからこそ私も、毎度安心して、それでいて遊びに行く時のような心の弾みをもって、Sさんに会いに行けるのです。
そして私は先日も、Sさんの予約を取って「てぃ〜だ」に行ってきました。
今日はどうします? と聞かれ、やや気恥しい私。
「実は私……最近太って、顔が丸くなったんですよねぇ……」
「あら、良いじゃないですか」
すぐさまSさんの声が返ってきた。
もうね。これですよ、これ。
「太った」という話題に対して、即座に「良いじゃないですか」と返せる人が、世の中に何人いるでしょうか。
私の体型を恥じる気持ちは、その瞬間に自己肯定感に早変わりしてしまいました。
これからもずっとお世話になります。
私の、最高の美容師さん。
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