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【書評】交流分析エゴグラムの読み方と行動処方 植木 清直, 佐藤 寛

市販されているエゴグラムの本は、だいたい読んだので少しずつ紹介していこうと思う。基本は、あまり大きく変わらないのだけれど、ちょっとしたヒントが何冊も比べてみると分かる。

この本で紹介されているエゴグラムは「自己洞察テストE・G・O」というもの。少し古い本なので、もうネットではあまり情報がないけれど、興味深かった個所を数か所忘備録的に記入。

自己洞察テストE・G・O

このエゴグラムが興味深いのは、今の自分のエゴグラムを書くだけではなく、父母・祖父母・上司のエゴグラムも書くということ。もちろん、自分から見たエゴグラムなので、正確にその人を反映しているかどうかは別にしても、自分がどんな影響を受けて育ってきたのかを描き出す試みとして面白い。さらに、3人の同僚に、自分のエゴグラムを書いてもらう。

これらの複数のエゴグラムを、自分の書いたエゴグラムと比べてみるのだ。親のエゴグラムと比べると、私と母のエゴグラムは相似している。また、両親と、その祖父母との関係性も分かって面白い(まあ、私がそう見えていたという理解でしかないが)

描いたときが気づくとき

大切な点として、このような作業そのものに意味があることを忘れずにいたい。著者は、こう言っている。

「エゴグラムは・・・「そう思っている」「そう映っている」私という主観の集積であることに注意したい。エゴグラムは「こころの自画像」であるので、描いたときが気づくときである。気づいた機会に、さらに快く生きるための行動を強化する(伸ばす、強くなる、買える)のが、行動処方の持つ意義である。」(P57)

書いている時に気づくことが大事ということだ。この本では、幾人もの症例・エゴグラムをもとに「行動処方」を出していくあたりの具体的なところまで踏み込んでいる。臨床家には役立つかもしれない。

まとめ:自分から見た世界

私としては、父母・祖父母・最初の上司(社会人になった時に、一番影響を及ぼすらしい)のエゴグラムを書くというのが新鮮だった。結局、これは、自分にとって、自分を育ててくれた世界がどう見えているかということだ。ぼんやり考えることはあっても、グラフにして視覚化することは、一度もなかった(当たり前か)。

折に触れて、親のエゴグラムなども書きなおしてみると、その時点での親に対する気持ちの変化なども表れるのかもしれない。半年後、一年後などに再読してみようかしらと思ったワン。


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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq