大人の発達障害は治るのか?脳の可塑性の力を信じたい。
発達障害は、ある時期に発症するのではなく、生まれつきのものだ。子供時代に発見されなくても、しっかり症状が出ているはずだ。大人になってから、発達障害が発見される人も増えているが、さかのぼると、ずっと昔から抱えてきた障害であることに気づくだろう。
だとすると、発達障害は決して治らない病なのだろうか。そもそも「障害」ではなく「個性」と考えたらよいとか、別の「種族」と思うと付き合いやすいという専門家もいる。私も、発達障害は治らないので、受け入れたうえで、自分にできる改善をしていくしかないのだと考えてきた。
しかし、もしかすると、大人の発達障害が治るという可能性を感じる話に出会った。あくまでも可能性の話であると、割り切って聞いてほしい。
発達障害の脳を変える(神経可塑性)
簡単に言えば「可塑性」というのは、脳を刺激すれば、脳の回路は再生するということ。できなかったことも繰り返すうちにできるようになるのは、脳が新たな神経の配線を学習したといえる。発達障害の原因は、脳機能や新家伝達物質によるものであることが知られている。
そうだとすれば、発達障碍者の脳も適切な刺激を加え続ければ、新たな配線が作られるのか。
実は、その答え、LD(学習障害)に関しては「YES」だ。「用語発達障害批判」の中には、アロースミスさんという「元」LDの人の実体験が出てくる。アロースミスさんは、重度のLDで、時計の針の長短は読めず、記号と記号の関係をつかめず、左右が分からず、算数はまったくだめ。特に、時計を読む能力が弱かった。こんな状態なのに、アロースミスさんは大学院に進みます(それがすごいよね)
そこで、脳の可塑性について学び、自分自身を実験台にして、脳の訓練を始めるのだ。そして、見事にLDを克服していく。
「アロースミスさんの最も弱い機能は「記号を関連付ける機能でした。それで、時計の絵を描いたカードを何百枚も用意し、時計を読んでいくのですが、何週間も訓練をすると、早く時計が読めるようになり、記号に関して、他の面も進歩していったそうです。
その訓練は、睡眠時間を割いて、毎日毎日、そのことだけに没頭するといった厳しいものでした。厳しい訓練を続けていくうちに、文法や算数、論理も理解できるようになり、以前には人が何を言っているかわからなかったことも、その場でわかるようになっていきました。」(用語発達障害批判 玉永公子 論創社 P160)
アロースミスさんは、現在、LDを対象にしたスクールを運営しているそうだ。この事例も含め、脳の可塑性に関する研究は発達障害が「治る」可能性を垣間見させるものだ。
絶版本だけど、アロースミスさんの例は、下記の本に載っている。図書館で発見したので、借りてくる予定。
わずかでも成長する
発達障害は治らないと信じ込んできたけれど、考えてみると、昔できなかったことが、少しずつできるようになっていることがある。「そりゃあ、お前、軽度だからだよ」というツッコミはわかるんだけど、これは、多くのADHDの方が言うことなんだ。普通の人のようにはならないけれど、まったく変化がないわけではないのだ。
この記事で取り上げた例は、LD(学習障害)のもので、この脳の訓練が、空気が読めないASDや、不注意なADHDにどこまで有効か分からない。しかし、脳の無限の可能性への希望が湧きあがってくるものを感じた。発達障害(ADHD)を受け入れると同時に、それを改善・治すことも、一つの目標にできるかもしれない。
発達障害=脳の障害であるとすれば、いろいろ追及しがいがある。
大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq)