見出し画像

関節の歪みを毎日修正する「ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる」長谷川智

身体の歪みが気になる私は、姿勢矯正本をいろいろ読んでいる。その中でもとりわけ素晴らしい一冊があったので紹介したい。私は操体法を学び実践し、自分で自分の体をメンテナンスしている(参考:痛み・不快感の声を聴く。フォーカシングと操体に学んだこと。)。ホネナビ体操を取り入れることで、より一層、その精度が上がるのではないか。

ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる 学研プラス 長谷川智 (著)

「体の歪み」とは「関節の歪み」

「体の歪みというのは特定の関節を酷使したり、逆にほとんど使わないことで生じます」

「特定の関節を酷使するとは、自分が知らず知らずのうちにクセのある動かし方を続けていることです。クセのある動かし方とは、ある関節を一定の方向にしか動かしていないことを意味します。その関節を他の方向にはほとんど動かさない。また、頻繁に動かしている関節とほとんど動かさない関節に分かれることになり、それが年を取るごとに大きな差になってきます。その結果、長年にわたって負担をかけていた関節が痛くなる、というわけです。」

ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる 学研プラス 長谷川智 (著)

意外と「体の歪み」とは何か?を説明するのは難しい。しかし、長谷川氏の説明は明快だ。歪みとは「関節の歪み」だという。この定義がすっきりしているので、結果として、体操もシンプルで効果の高いものになっている。私も昔は、身体の歪みはどこから始まるのか?「筋肉なのか」「骨なのか」悩み続けて、本を出版している整体の先生に電話をしたり、手紙を書いたりしたこともある(なんじゃそりゃ)

しかし、操体に出会ったことと、自身の身体調整の成果を見ても、身体の歪みは「関節を偏って使っている」ことだとするホネナビの考え方はしっくりくる。操体法の原点である、正体術矯正法でも同様の点が説明されている。

偏って使ってしまうから疲れる。だから、全体まんべんなく疲れさせると、あとは睡眠でよくなる、というのが正体術の根っこにある考え方だ。

ホネナビは、各関節をひとつずつ動かし、どの動きも、それぞれの関節がスムーズに行えるように訓練するプログラムだ。日常の多くの動きはひとつひとつの関節を意識しないで動いてしまうために、ざっくりとしているが、このように丁寧に、各関節の動きを意識して動かすだけで、関節への疲労が均等化するはず。

「体を毎日動かすことは、とても良い習慣です。しかし、ラジオ体操をされる方の多くは関節を意識していないと思います。手足を曲げたり伸ばしたり、あるいは上体をかがめたり反ったりすることは意識しているはずです。ただ、このような動かし方では、ある関節は動いていても違う箇所の関節は動いていないというムラが出てきます。単に体を動かしているだけでは、体の歪みはとれないのです。」

ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる 学研プラス 長谷川智 (著)

巷の体操法はどうしても、大きな動きになってしまい、小さな関節の歪みを無視してしまう。かえって歪みを強調してしまうこともある。各関節をくまなくひとつずつチェックして動かしていくというのが正しいのだ。

ホネナビの基礎になっている考え方は、「経絡」と「アナトミートレイン」、そして「操体」が少しミックスされている。結局のところ、身体は「連動」するので、動きで治せる。私からすると、まさに、操体そのものという感じがした(操体でも「連動」が強調される)。

感覚に偏る操体より一般人にもわかりやすく、シンプルにしているところがホネナビの素晴らしいところだ。これまで、私が追求してきた身体の調整と、ホネナビはしっかり合致している。

ホネナビ流ウォーキング

「私が皆さんにおすすめしたいのは、自分にとって楽な歩き方をいろいろ試してみること。それが「ホネナビ流ウォーキング」であり、今まで以上に自分の健康に寄与します。

常に同じ歩き方をする必要はない、むしろわざと変えようという考え方です。理由は二つ。一つは体の歪みをとることです。私たちは普段の生活で歩いているとき、特定の筋肉や関節を使っているものです。そして、毎日続けていくと、クセのある動きが身に付いて体の歪みの原因になります。しかし、いろいろな歩き方をすれば、たくさんの関節を使うことになって体の歪みをとることができます。いわば歩きながら「ホネナビ体操」をしているようなものです。

 もう一つは、いろいろな歩き方をすることで、自分の体にとって、そのつど一番楽な歩き方を探し出すことができることです。人によって楽な歩き方は異なります。その歩き方を見つけるために、いろいろな歩き方を試してみるというわけです。」

ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる 学研プラス 長谷川智 (著)

毎日、ホネナビを実践して、関節の動きを自覚できるようになると、著者の言う、ホネナビウォーキングができるようになる。これは、文章ではなかなか分かりづらいかもしれないけど・・・。正しいフォームで、型通り歩くというような「鍛錬」とは180度違う。

著者は、山伏のトレーニングを30年続けているそうで。そこで、編み出していった身体調整法だ。結局、どんなに完全な筋トレ・ストレッチ・運動を極めても、山伏のように山道を駆け上がったり、駆け下りたりはできない。筋肉を使うというより、もっと、身体を自然にゆだねるというような意識が必要なのだ。

このような身体の使い方ができるようになると、日々の動きで、とりわけ意識した整体は不要になるはず。

「感覚」を活かす

「自分が動いたときの「感覚」です。特定の関節や筋肉に負担がかかっていると、「窮屈だな」、「踏ん張っているな」、「詰まっているな」、「こわばっているな」、「力づくで動いているな」と感じるはずです。このままでは凝りや痛みが発生します。そこで、こういったことを感じたら「開放させる」動きをするのです。具体的には、「一部にかかっていた負担を他の関節に分散」させます。その結果、体が流れるような動きになる、あるいは、関節や筋肉にもほとんど負担を感じない状態になります。最終的に、「気持ちいいな」、「体が軽いな」というように感じる、というわけです。」

ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる 学研プラス 長谷川智 (著)

結局、これが操体そのもの。関節を均等に動かすというシンプルなトレーニングから始まるが、やがては日常の動きの中で鋭敏な感覚を用いながら、身体調整を行っていく。

身体の歪みを取り去り、健康を取り戻すテクニックというのは、昔から今まで、日本から世界まで、つながっているなぁと感心した。そして、まあ、そりゃあそうだようなぁと思った次第だ。人間の身体なんて、みんな大した変わらないものだからね。

この本は、整体本の中でもかなりお勧めの部類に入る。理論も実践も難しくない。動画でもしっかり教えてくれている。


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,141件

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq