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毛髪でストレス度を計測【感想】サイエンスZERO「暮らしを変える“アスリート科学”最前線」

今、スポーツ選手の身体やメンタルを守る「アスリート科学」がアツイ。スポーツの世界は「根性論」から「科学」へと大きく進歩している。特に、私は、メンタルを強くする(というより、折れないようにする)方法を学べたのが収穫だった。(番組自体は、1:膝のけがを防止する 2:燃え尽きを防ぐメンタル予防 3:気象予測で熱中症を避けるの三点だった。)

ゲストには、私の好きな、為末大 氏が来ていた。(参考:目標を変えるべきか?【書評】諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない 為末 大)。為末氏の、自分を追い詰めない考え方が、科学的にも実証されつつあるんじゃないかなって思うね。

アスリートとストレス

アスリートは強靭なイメージがあるけれど、実は、ストレスへの耐性が無限にあるわけではない。オリンピックで通算23個のメダルを獲得した、あのマイケル・フェルプス(水泳)でさえ、現役時代はうつ病・不安などのメンタル不調に苦しみ続けていた。為末氏もメダルを取ってから、周囲のプレッシャーに押しつぶされそうになり燃え尽きかけたことがあるそうだ。

アスリートは、そもそも休むのが苦手だ。「ライバルに負けてはいけない」「休むと実力が落ちる」・・絶えず自分を叱咤激励しながら練習を重ねている。スポーツ選手は「苦しい」とか「辛い」という言葉を出さないように教育される。しかし、ポジティブな考え方さえしていれば、ストレスに強くなるかというとそうではない。人間の身体には限界があるのだ。

ちょうど、今、読んでいた本で、長嶋一茂氏が書いたパニック障害についての記述がオーバーラップした。一茂氏も、学生時代からプロ野球選手になることが夢で、プロ野球選手になってからは500本ホームランを打つこと、引退したら監督になること、いつでも夢を追い続けてきた。偉大な父を持つ苦しさがあっただろう。だから、なかなか成績が上がらないと「もっと、もっと」と自分を痛めつけてきたという。パニック障害になって、初めて立ち止まることができたのだ。

ストレスを可視化する

今回、ストレスを可視化するための方法が紹介されていた。それが、髪の毛の中のストレスホルモン(コルチゾール)の値を計測することだ。コルチゾールは、尿や血液から採取するのが一般的だが、長期的なストレスを計測するには、髪の毛から調べるのが一番だ。コルチゾールは、ここ一番というタイミングで強い力を発揮するために必要なホルモンだ。しかし、長期間にわたって、コルチゾールが出っ放しになると、脳を疲弊させたり、うつ症状が現れたりする。

ボート競技でリオオリンピックに出場した中野選手も、オリンピック出場後から、周囲の期待と自分を追い込む姿勢で大きなストレスを抱えてきた。「24時間、こぎ続けるしかない」と、自分を打ちたたいていたのだ。そんな時に、毛髪を利用してストレス度を可視化することになった。その結果、オリンピックの翌年には、コルチゾールの値が通常の7倍にまで上昇していることがわかったという。

中野選手は、ストレスが可視化されたことで、それ以上に自分を追い込むことをやめて、練習方法などを調整するようになった。その結果、2019年には毛髪のコルチゾールの値が非常に低くなった。さらに、その年の全日本選手権では二年ぶりの優勝という成果だった。ひたすら練習をして追い込みすぎると、どこかで潰れてしまっていたかもしれない。自分の身体のヘルプに気づいて調整できたという点でストレスの可視化は中野選手を救った。

毛髪によるストレス検査は、アスリートのみならず、ビジネス戦士たちにも応用が利きそう。今後の普及が期待される。

ストレスを測るアプリ

毛髪検査は、今は気軽に一般人が受けられるものではないようだ。それでも、何らか、自分のストレスを可視化できると、日々、自分のメンタルに敏感であることができるだろう。ということで、私が使っているのが「ストレススキャン」というアプリだ。朝・晩、欠かさず計測している。その信ぴょう性はともかく、なんとなく可視化できるのが楽しい。

このアプリを使ってから、割と、ストレスが低いタイプであることが分かった。自分の中では、かなりストレス度が高い時に、こういうのを見ると、なんかガクッとくる。マッサージ屋さんで「お客さん、肩ふにゃふにゃだね~」と言われると、ちょっと気分が悪い。そこは「ゴリゴリですよ」と言ってほしい。

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たまに、お酒を飲んだりしていると、いい気分だなと思うのに、ストレス度は高かったりする。自分の体感とは違うんだけども、客観的なデータがたまっていくのは面白い。

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睡眠時間の計測などと共に、毎日、毎日、記録している。何らかの法則性が見えてくればいいなと思いつつ、今のところ、法則性は見えない。

感想まとめ

為末氏が、最後に「心は目に見えないので、何をやっても大丈夫と思えてしまう」と述べていた。肉体・体力に限界があるように、メンタルにも限界がある。本当に強い人っていうのは、その限界を認められる人だ。自己啓発本では、アスリート・経営者が血のにじむような努力をして成功をしてきたと語られるが、実は寿命を削っている。

本当は一流のアスリートでも休まなければならない。むしろ、休んだ方がパフォーマンスが良くなる!ってことを、もっとアピールしなければならないって。アスリート科学はこれからも要注目だし、メンタルを安定させるコツに関してはアスリートから学べる点が多いと再確認した。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq