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体の力を抜く技術「心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門」青木紀和

かつて整体・ボディーワークに興味を持っていた時に、アレクサンダーテクニックは調べたことがある。もう20年くらい前になる。年月が飛ぶように早い。まだ、若かったのか、もっと即効性のあるテクニックや、人をうならせる「技術」に興味があったので、アレクサンダーテクニックは通りすぎだだけだったんだけど、実際には「意識」の量を増やす、こうした技術こそ、身に着けるべきものだった。今になって、その奥深さに気がつく。

心と体の不調を解消する技術

著者の青木氏は、何をやってもとれない緊張型頭痛に苦しんでいたが、アレクサンダーテクニックに出会うことで、頭痛から解放されるようになり、その経験を活かして、アレクサンダーテクニックの教師として資格を取得した。YOUTUBEにたくさんのレッスン動画がある。

リーディングエッジ

リーディングエッジは「導く先端」という意味。これは、「自分がこれからやろうとしている動きを導く先端を決め、その先端を動かすことを意識して動作をする」こと。過剰な緊張を避けるには、「先端を導く意識で動作する」ほうが良いのだ。

これを裏付ける例がある。

×「背筋を伸ばす」
〇「頭の位置を高くしよう」

背筋を伸ばそうとすると、逆に背筋を緊張させすぎて、理想的な姿勢とは異なる姿勢になってしまう。しかし、頭の位置を高くしようという意識、または、上から一本の綱で頭をつりさげられている(操り人形)をイメージすると、身体はまっすぐになる。この操り人形の例えが分かりやすかったのだけれど、姿勢をよくしようと、背中についている糸を引っ張ると、逆に頭は垂れてしまい、姿勢は崩れることになる。頭についている糸を引っ張ると、自然に姿勢はよくなる。

時々、自分の姿勢が悪いなと思って、背中を張ることがあったんだけど、この記述を読んでから「頭の位置を高くしよう」と思えるようになった。これだけの意識の差で、力みなく、スッと自然な形で背骨が立つ。意識するだけで姿勢が変わるなんて面白い。

アレクサンダーテクニックにおいて、リーディングエッジの考え方は非常に重要だ。そして、この動きは、実は武道とか、舞とか、身体技能を極めた人たちが行う動きそのものだ。この意識を持つことで、導かれる動きは、意識を持たない人の動きと全く質の異なるものとなるのだ。

プレイシング

 「自分の体を床の上に置く」と意識することは、・・・体の使い方の「奥義」になり、こう意識することを私は「プレイシング」と呼んでいます(「置く=place」)。

プレイシングは最重要技術だ。プレイシングをするだけで、ふっと体の力が抜けるようになる。「たかが意識」だけど、これが脳の自動プログラムを書き換える。高価な花瓶をそっと床に置くようにして、身体を置く。置物だと考える。実際には、座っているだけでも、立っているだけでも、相当に体は気張っている。身体の筋肉が総動員して、引っ張り合って、立っているというのに気づける。ふわっと置くように立つ。これを何度も言い聞かせる。

それを考えたときに、動物の動き、特に猫のしなやかな動きってすごいと思う。ほんと、ふわっとしてるもんなぁ。あ~いう感じが理想か。とくに寝た状態で、ふわっと体を寝床におくというのは非常に重要な技術だ。

自律神経訓練法に似ているけど、身体を横にして、ひとつひとつの筋肉の緊張を意識すると、本当に無意味なところが「がちがち」に緊張していることが分かる。これから寝るだけなのに、なぜ、そんなに首も肩も緊張しているの?と。そこを意識するだけで、緊張は解けていく。今日から、プレイシングを意識して寝よう。

ゆっくり動く

ポイントは、自分で動作速度を選ぶことだ。そのためには、基準となるような動作速度を知っておくと良いという。人それぞれに、腹筋と首の筋の緊張が強くならない動作の速度があるので、これを基準とすること。この基準となる速度こそ自分の動作速度だ。可能であれば1週間、ゆっくり生活することを意識する。

 「いろいろ意識することが多くて面倒だな」と感じた人は、動作の速度を見直すだけでも、体の負担を軽減する効果はかなりのものになる。何気なくしている動作を、ただゆっくり行なうだけでも、筋緊張は和らぐ。忙しい時代だから、ゆっくり動くってのは、思いのほか難しいよ。意識しないと、息をつめて(無呼吸)で物事を扱っている自分に気づくことが多い。

「ホネナビ」という本には、山伏のトレーニングが載せられていた。

山伏が山道を歩くとき、足だけではなく、身体すべてを使って(手をあげながら、バランスをとりながら)歩くらしい。著者は山伏のトレーニングを数十年受けているが、最初は筋肉を使って石段を上り下りしていたため、すぐに疲労してしまったそう。でも、だんだん身体の使い方を学ぶにつれて、疲れなくなった。身体感覚を鋭くさせないと、持久力もスピードも結局は上がらない。

特に急ぐ場面でもないのに、身体にグッと力を入れて、踏ん張って運転していたり、食事を急いでかきこんでいたりすることが多いようなので、意識して、スローライフにしてみたい。まずは実践してみたいと思った3か所を紹介した。

感想まとめ

アレクサンダーテクニックのような地味でコツコツした方法に取り組んで、姿勢を本気で改善しようとする人は、ごく少数だと思う。「意識」を働かせ続けるということは、けっこうしんどくて、すぐ逃げたくなっちゃう。もっと派手で、即効性が感じられる方法を求めたくなる。しかし、実際には、姿勢も毎日の身体習慣(突き詰めると思考習慣も関係していたりするかもしれない)ので、実は「意識」が大事なんだ。

私は、姿勢の問題もありますし、声が通りづらい(のどで出している感じ)悩みがある。もともと、アレクサンダーテクニックは、舞台俳優のアレクサンダーが、声がでなくなった悩みを取り去るために、筋肉の緊張を解くテクニックを開発したのがスタートだから、下手なボイストレーニングをするより、アレクサンダーテクニークのほうがよいかもね。

ちょっとずつ練習だなぁ。本格的な本より、こういう本もいいかも。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq