行動経済学とは「感情の揺さぶり」を見つめるものだ!〜愛と怒りの行動経済学〜
「買おう!」と思うまでの葛藤がすごい件
商品を売る側からすれば、
人はどんな時に購買意欲が湧くのだろう?
という疑問は誰もが気になるはず。
なぜなら、人の購買意欲の湧かせ方を身につければ売れるから。
しかしながら、狙って購買意欲を湧かせるにはその人自身が深くに抱えている欲求を捉えないといけません。
自分自身も気づいていない大きな欲求を叶える、ということが求められています。
「買おう!」という意思決定を行うまでに、人間は二つの相反するシステムに争わせてから決断します。
一つは衝動的なシステム。
感情的になり、誤った結果に陥りやすいシステムです。
衝動買いは、購入する快感こそあるものの、よく考えたら全然使わないものまで買ってしまいます。
もう一つは合理的なシステム。
知的であり、苦労はしますが最後には正しい選択をするシステムです。
計画を練って「これは必要か否か?」をリサーチして購入したら絶対使います。
という風に感情と理性をぶつかり合わせて意思決定しています。
そんなシステムを経済に応用して話している著書が『愛と怒りの行動経済学』です。
著者は、ゲーム理論と進化論を活用しながら、
感情が意思決定に与える影響
社会生活で感情が果たす役割
集合的感情が形成されるプロセス
などを解明しようとしております。
コミットメントのキモは感情にあり!
本書によると、感情には
自律的感情
社会的感情
の2種類あるといいます。
「自律的感情」とは、自分が関わった行動や状況に対して湧いてくる感情のこと。
恐怖や不安、悲しみといった感情が自律的感情に当たります。
「社会的感情」とは、他者との関係を前提として作られた感情です。
怒りや妬み、憎しみ、共感といった感情が社会的感情に当たります。
感情は、自分と他人に対して「コミットメント(確約)」をつくり出す能力も持っているといいます。
コミットメントとは、自分の行動を明示し、これからその行動を必ず実行するという意思表示のことです。
つまり、「買ってくれる」というコミットメントを作り出すことが営業の目的になります。
では「買ってくれる」コミットメントにおいてキーになる感情は何に当たるのでしょうか?
「買いたい!」がより強い感情とは?
買いたいと思う感情は結論から言うと
他人を思いやる感情(本書では「愛」と表現されています)
です。
プレゼントや贈り物といったシステムがいつになってもあることにはちゃんと理由があるのです。
加えて、他人を思いやってプレゼントを渡すことには、
「自分はこんな商品をプレゼントできるくらい余裕があるんだ!」
という優れた一面をアピールできます。
また、「返報性の原理」という、送られたらお返ししなきゃという原理も働くため一層関わる機会も増えます。
だから、売る側はそれを持って
食料だったら試食
ペンだったら試書
ネットだったら無料お試し
みたいなサービスを展開した方が明らかに売れ行きが良かったりします。
今回は「買いたい!」欲求を生み出すには?というテーマで話しましたが
本書は感情的なのは意外と賢い結果を生み出すよ!
という主張がメインで面白い作品となっております。
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