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勝利への感情マネジメント:スポーツ心理学の秘訣

どのように私たちは競技スポーツで感情をコントロールしているのか、その実態はまだ十分に理解されていません。競技中に感情を調整する必要があるかどうかを判断する際、以下の点を考慮しましょう。

● 今、感情の調整が必要か? プレッシャーを和らげる必要があるだろうか? 落ち込みから立ち直る必要は? 興奮状態で冷静さを取り戻す必要があるだろうか?

● 次に、どの調整法が適しているかを選ぶ。プレーの戦略を変えるか? 他のことに注意を向けて気を紛らわせるか? たとえば、あなたがピッチで緊張しているなら、プレーから逃げ出すのは得策ではないでしょう。それなら、呼吸を整えたり、ポジティブな思考に集中するといいかもしれません。

研究によれば、感情の調整法は大きく4つに分けられます。
「プレーの戦略を変える」
「注意を向ける対象を変える」
「状況をほかの視点から考える」
「反応の仕方を変える」

という方法です。

● 選んだ調整法をどう実行するかを決める。その方法を実行するべきか、他の方法に変えるほうがいいか、あるいは感情を調整する努力をやめるべきか、最終的に判断しましょう。

感情のコントロールは継続するプロセスで、「感情への気づき」の能力が中心となります。可能であれば、「プレーの戦略を変える」のが最も効果的な場合もあります。

変えられない時は「注意を向ける対象を変える」「状況をほかの視点から考える」という方法をとるといいでしょう。状況をほかの視点から考えれば、ストレスの多いプレーを違う枠組みで見られるようになります。

感情のコントロールは途切れずに続くプロセスです。私たちは1つの感情だけでなく、複数の感情をたえず経験しています。そのため、常に自分の感情に注意を払い、調整が必要かどうかを判断しています。

ネガティブな感情や思考に囚われると、「感情への気づき」の能力も弱まることがあります。脳は報酬を得られることよりも、目先の危険に意識を向けるため、ネガティブな情報に注意を向けがちです。

私たちの祖先は生き延びるために脅威を察知しなければならなかったため、ネガティブな見方に引かれるのは自然なことです。しかし、ネガティブ思考が常態化すると、「ネガティブ自動思考」という状態に陥ります。あらゆる状況にネガティブな反応をしてしまい、ネガティブ思考がエスカレートし、制御が難しくなります。

このような「ネガティブ自動思考」は、主観的で影響力が強く、多くのエネルギーを要します。生活のあらゆる場面に影響を与え、幸福感を損ないます。

ただし、ネガティブ思考が常に悪いとは限りません。時には、危険を察知して警戒することも必要です。ネガティブ思考をするからといって、誰もがうつ病になったり不安に苛まれたりするわけではありません。問題なのは、柔軟性のない思考パターンです。

ネガティブ思考に頭を支配されると、エネルギーを消耗し、行き詰まります。大切なのは、ネガティブ思考にブレーキをかける方法を見つけることです。

ネガティブ思考への対応

ネガティブ思考は役に立つこともありますが、悪影響を及ぼすこともあります。そのため、適切にコントロールすることが重要です。思考パターンを変える方法はたくさんあります。

たとえば、あなたがスポーツチームでリーダーシップを発揮したいと考えている場合、なぜそれが難しいのかを考えてみましょう。もし「押しが強いと思われるのが嫌だ」という理由なら、この考えを別の視点から見直しましょう。

「積極的にリードすると、うっとうしいと思われるかもしれない」「チームの改善を要求すると、無礼だと思われるかもしれない」といった思い込みがあれば、次のような質問をしてみましょう。

● その考えは、白黒がはっきりしすぎていないだろうか?
● その考えに思い込みはないだろうか? 「いつも」「絶対」といった極端なワードで物事を考えていないだろうか?
●「他人が考えていることが、自分にはわかる」という前提に基づいて、思い込んではいないだろうか?
● ネガティブなことばかりに目を向けていないだろうか?
●「こうすべき」「こうしてはならない」と、あなたが強く思っている規範が反映されてはいないだろうか?
● 他人を責めていないだろうか? 自分のことを「被害者」だと思っていないだろうか?

このように問いかけると、思い込みの呪縛が解けてきます。現実を直視せずに偏見のレンズを通して物事を見ていたことがわかります。

笠原彰プロフィール:

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
メンタルヘルスファーストエイダー
メンタルヘルス運動指導員

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