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なぜ女性は燃え尽き症候群になりやすいのか

この記事では、とくに男性よりも女性がなりやすいと言われている「燃え尽き症候群(バーンアウト)」はなぜ発生するのか?という疑問を、BBCで2021年10月に更新された記事 「Why women are more burned out than men」より、事例をもとに解説していきます。

燃え尽き症候群の事例 -ジアの場合-
彼女はアメリカの名門であるアイビーリーグのビジネススクールを卒業し、マンハッタンを拠点としてコンサルタントとしてのキャリアを着々と築いていました。
 しかし現実は非情でした。特に2018年に母親になってからは、性別を理由に職場での昇進や昇給を見送られていると感じています。
 ここで追い打ちをかけるようにCOVID-19が発生し、2020年3月には保育園が閉鎖されました。彼女はなんとか仕事を続けようとしましたが、常に気が張り詰めてやる気がなくなり、職場での信頼も低下してしまいます。そして、2021年初頭にジアは燃え尽き症候群と診断されました。

上記の事例のように、新型コロナウイルス感染拡大による働き方の変化は、日本だけではなく世界全体の企業やビジネスパーソンに影響を与えています。
ご紹介する燃え尽き症候群には、環境や外的な要因が大きく影響しているため、防ぐためには事前の対策が必要です。

原因や症状、解決につながる対策方法を具体的に解説していきますので、企業のメンタルヘルスに課題を感じている方はぜひ参考にしてみてください。

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■ 燃え尽き症候群(バーンアウト)とは 

そもそも燃え尽き症候群(バーンアウト)とは何か?を理解しておきましょう。
燃え尽き症候群とは、もともと働く意欲の高い人材が突然、意欲を失ってしまうことで、バーンアウト症候群とも呼ばれています。

母親として着実なキャリアを築いていた女性が、新型コロナウイルスや育児、家族からの負担増加により突然やる気がなくなる、ということがあります。

その後、仕事を続ける意志があるものの継続が困難となっています。
このように、燃え尽き症候群を発症してしまうと、自分の意思だけでは解決が難しいということがわかるでしょう。

燃え尽き症候群の主な症状には、「朝起きられなくなる」「出勤できなくなる」「人との関わりを避ける」などがあり、重症化するとうつ病の原因となる場合もあるものです。

■ 女性における燃え尽き症候群の主な原因

次に発症に至る2つの原因について見ていきましょう。

1.男女の不平等な要求

燃え尽き症候群を発症した女性の多くはワーキングマザーとして仕事や家事、子育ての負担を抱え込んでいたことです。

例えば、ほとんどの国では男性よりも女性の収入が低く、仕事上の理由で「ストレスを感じる」と答えた女性は74%で、男性では61%にとどまりました。また、働く母親は、働く父親よりも燃え尽き症候群が23%多く、米国ではパンデミック以降で235万人のワーキングマザーが燃え尽きの症状を自覚しています。

上記のような状況は、アメリカだけではなく日本の女性にも同じく考えられる不平等です。

2.パンデミックによる悪化

男女の格差は新型コロナウイルスによってより大きくなっていることがわかります。

2020年9月のアメリカの失業者は女性が86万人、男性は20万人でした。また、パンデミック発生から12週間で、25歳から44歳までの母親のうち4.8%がCOVID-19に関連する育児問題のために休職・退職しましたが、同じ年齢層の父親はほとんど休職していませんでした。

■ 燃え尽き症候群が与える影響

続いて、燃え尽き症候群の発症など、企業の中で女性に起こるメンタルヘルスの低下が与える影響をみていきましょう。

専門家は、職場の女性のメンタルヘルスが低下すると、将来の世代が積極的なキャリアプランを設定することができなくなるのではないか(特に家庭を持ちたい場合)と懸念しています。

女性のメンタルヘルス低下により、燃え尽き症候群などの発症が増加すると、社内での昇進はもちろん、長期的なキャリア形成にも影響を与えてしまうというリスクがあります。

■ 今後の課題と解決方法

最後に、記事内で紹介されている職場の女性にとっての燃え尽き症候群の原因となる職場の課題を解決する方法を考えていきましょう。

1.職場と家庭の古い慣習を見直す

まず最初に課題を解決するための方法は以下の通りです。

管理職が正式なトレーニングを受け、目的に合った職場を作るために陣頭に立たねばならないと理解する必要がある。燃え尽き症候群のリスクを減らすには、これが決定的に重要です。

企業だけではなく家庭での見直しも必要だと紹介されています。
職場だけが変わっても家族の理解を得られなければ、女性に必要な家事や育児の量と負担は変わらないからです。

この問題は、本人だけで解決できる問題ではなく、企業や社会全体の問題として改善していく必要があります。

2.管理職のトレーニング

現状を打開するためには、古い職場の習慣がもはや現状に即していないことを組織が理解する必要があると、専門家は述べています。

管理職が燃え尽き症候群のリスクを抱える従業員の課題や変化に気付くことができれば、職場の見直しに動き出せるでしょう。
社会全体の行動を変えることで、ワーキングマザーが抱える不安やリスクの理解と改善につながります。

■ まとめ

この記事では、新型コロナウイルスによって燃え尽き症候群になってしまったワーキングマザーの事例を紹介し、発症原因や課題、解決方法をまとめてきました。
女性の働き方環境や条件の改善は、社会全体で取り組むべき課題ですが、まずは企業単位での見直しを実施することが大切です。

企業が社員のメンタルヘルスを高めるには、これまでのストレスチェックや問診だけでは把握できなかった、本質的なデータ収集の方法を検討する必要があります。
定量的なデータを集めた上で、社員のメンタルヘルスの具体的な課題を発見できるでしょう。

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参考文献:Josie Cox, "Why women are more burned out than men", BBC Worklife, 2021年10月4日

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