その肘の痛みはピアノ肘?

「ピアノ肘」って聞いたことありますか?

ピアノ演奏中や演奏後に肘の痛みや関節のロッキング(固定されてしまうこと)が起きる症状です。

医療用語ではないと思いますが、担当の患者に言われてそんなものがあるのかと思いました。
実際検索してもあまり出てこない「ピアノ肘」

「ピアノ肘」解明してみましょう。


僕が出会った患者さんは30年以上肩こりや頭痛に悩まされ、最近仕事としてピアノ演奏することが増え、比例して練習量も増加した。
練習中や演奏中は特に何も感じないのですが終わると肘に激痛が走り、動かなくなってしまい。僕のところに来たそうです。

しばらく様子を見ていたけど一向に治る気配がなく、ピアノを弾いた後は毎回痛みがあり、本当に困っていたそうです。

練習は始めると2時間は演奏し続け、本番も2時間くらい弾き続けるとのことです。

お仕事としてやっているため妥協はできず、やるしかないが続けられるか心配になり、色々と試せることはやったけどどれもあまり効果がなかったそうです。



チェック項目


まずは全身の状態や痛みの部位など確認します。

・肘の関節可動域
・痛みの組織
・肩周囲の筋緊張や筋力
・肩の可動域
・立位姿勢
・座位姿勢


これらを確認します。
その中で気になったのは

・肩周囲の筋緊張
・姿勢


の2点です。

肩に関しては以前からひどい肩こりに悩まされ、いつも「張ってる感じ」「疲れている感じ」がずっとしていた。これは音大生の時から、いつからあるものかわからないほど昔からありました。
加えて
「頭痛」は不定期に訪れていましたが、本番前はいつも強くなるとのこと。


この肩こりや疲労感は姿勢由来のものでした。
人は姿勢をキープするときに体のどこかに力が入ります。

今回はそれが肩だったのです。
肩を練習などで長時間動かさないことによって筋肉の収縮弛緩がなく、血管が常に狭くなり、体液循環が悪化。
本来、肩が動き、肘が動き、その割合10:10だったとしましょう。
肩が動かなくなるとその割合が5:15になり、肘への負担が増します。


無理に、過剰に、肘を動かすことで肘への負担増。結果痛みを伴う症状になってしまったのです。


肩を中心として姿勢作りを無意識に行い、肩こりは増加。マッサージやストレッチでは改善しない理由はここにあります。

姿勢を改善しないことには肩こりも、肘の痛みも改善しません。
しかもピアノ演奏という特性上、長時間座っていることが求められます。

長時間座ることで勝手に股関節が硬くなります。股関節が硬い状態が継続すると腹部や腰部でのバランス維持が困難になり、上半身での対応が多くなります。
また肩でのコントロールになります。

特に僧帽筋という筋肉が過剰に反応して、姿勢保持に関与しすぎることがあります。これが肩こりの原因となってしまいます。

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