死者はいかにしてよみがえるか
"死んだ者は、生き返らない"
某死神の落としたノートの最後のルールだったでしょうか。確かに死んでしまった生き物にホイホイ生き返られても、地球が狭くなるばかりです。
ですが死んだ者の魂が、黄泉の国から帰ってくるという行事なら、いくつか心当たりがありますね。これはそんな雑談です。
ハロウィン
お化けの類が堂々と街を闊歩するイベント。ありましたね。今年ももうすぐやってくる "ハロウィン" が。
近代日本ではコスプレをして練り歩くおもしろ行事として定着していますが、元を辿ると古代ケルトで一年の終わりに開かれていた "収穫祭" だったようです。
一年の終わりには悪魔や悪霊が霊界から現れ、作物や子供達といった、その土地の大切なものを奪っていくと信じられており、それらから身を守るため魔除けの仮面をつけたり、篝火を灯したりしていたのだそうです。
現代では悪魔や悪霊も忙しくなったのか、人里にあまり姿を現さないようで、今では人間が悪魔や悪霊の役割まで演じることで、この風習が続いています。
ちなみに、ハロウィンというとカボチャのランタンが思い浮かびます。あれはあんな顔してますが、魔除けのためのランタンだそうですね。そして、本来はカボチャではなく "カブ" をくりぬいた、こんなものだったそうなのですが......
これもう悪霊なんじゃない?と思うほど禍々しい......目には目をということなのでしょうか。
なんにせよ現代ではすっかり、人による人のための風習ですね。では、死者や霊に向けた現代の風習にはどんなものがあるでしょうか。
あの世の蓋が開く
日本において死者のための風習というと、お盆がポピュラーですね。
地域によって、8 月に行うのか 7 月に行うのか違いがありますが、その月の 1 日には地獄の釜が開き、あの世とこの世の境目が曖昧になった結果、死者の魂がこの世にやってくると言われています。
それじゃあいい機会だから、ご先祖様の魂を自宅に招いてもてなそう、というのがお盆。
7 日には迎え入れるための祭壇を設え、13 日には迎え火を灯してお出迎え、14, 15 日はお供え物をして、滞在するご先祖様をもてなし、16 日の午後に送り火を灯して盛大に送り出す、というのがお盆の大体のスケジュール。"故人が帰ってくるならば" という事を、現世の人間が丁寧になぞらえる風習です。
死者は、生きている者の頭の中や心の中にしか存在できませんから、年に一度こうして、身の回りの人たちと一緒に、確かに存在する "個人" として扱うことで、その存在を繋ぎ止めようとしているのかもしれません。
極論、儀式的な部分の形態はなんでも良いのかもしれませんね。
例えばメキシコ南部の場合、それは日本の風習と比べて、随分と華やかな形で催されるようです。
どうせなら盛大に
"Day of the Dead" 直訳で "死者の日" と呼ばれたりしますが、メキシコでは 11/1, 2 に死者の魂が現世へやってくると言われています。
現地では帰ってきた魂をもてなすことはもとより、死者も生者も呑めや騒げや "一緒にこの日を祝おう!" という側面も強いみたいです。日本の風習で当てはめると、ずっと盆踊りしてるみたいな感じでしょうか。
とはいえ、もてなすための祭壇があったり、道しるべがあったり(マリーゴルドの花がその役目らしい)と、形態としてはお盆とそっくり。どこかで繋がっているのでしょうか。
しかし大きく違うのは、その華やかさ。祭壇もお墓も街の様子も、とにかく 派手に派手に盛大に!老若男女で仮装したり、パレードなんかもあるそうで、そんな様はハロウィンのお祭りのようでもあります。パワーがすごい。
人間の死後のキャラクターは、思い出す側の心の状態に依るのではないかと思います。悪い面ばかりに目が向くバイオリズムの中で彼らのことを思い出したなら、愉快だったあの人も、悪霊になってしまうかもしれません。
それなら明るくハッピーなお祭りの中で死者と語らった方が、良いに違いありませんね。なんだか楽しげでいいなと思ったので、お祭りの代表的なシンボルであるカラフルなドクロを、僕も塗ってみることにしました。
こんな感じ?あってるのかな。
おわりに
そういえば今年は "バーチャル渋谷" なるものができて、ハロウィンのイベントをそっちでやろう、みたいな話もあるみたいですね。時代は進みました。
第七女子会彷徨という漫画が好きで、そこにはバーチャルなあの世 "デジタル天国" というのが出てくるのですが、そんな世界も近づいているのかもしれません。
そうなったなら、お盆や死者の日には、デジタルなあの世の蓋が開いたりするのでしょうか。
僕はそろそお酒の蓋を開きたくなったので、物書きはこんなところでおしまい。
それでは!
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