いつまでも綺麗を保つための掃除のコツ

部屋を掃除するための勘所すなわちコツとはなんだろうか。

そう思ってこの記事にアクセスしていただいた方の期待には、残念ながら応えられそうにない。

その肝心のコツを、私も知らないからだ。

大学に入学した頃に一人暮らしを始めたから、独居歴はもう片手で足りないほどになっている。

しかし、それだけ一人で暮らしていても、私はいっこうに掃除のノウハウを蓄積できていないのだ。


べつに実家から頻繁に母が来てくれていたなんてことはないし、家事の得意な恋人がやってくれていたなんてこともない。

誰も部屋の掃除はしてくれなかったし、私もしていなかった。

また私は人を家に上げなかったので、来客があるから掃除を、という定期的な掃除イベントも発生しなかった。

その結果、私の部屋は当然のことながら汚かった。

部屋の隅にはいつも埃が溜まっていたし、ものは散らかり放題だった。


一人暮らしを始めて気づいたのだが、私は私自身の生活の豊かさにはまるで無頓着だった。

ものが散乱して足の踏み場がなくても、冷凍庫の中で野菜が腐って液状になっていても、風呂桶に溜めた水を抜き忘れてその風呂桶を使用不可にしても、どうでもよかった。

本当に、どうでもよかったのだ。


昨年の夏頃から家具を買い始めた。

それまで一年半ほど、引っ越し用の段ボールを解体しないまま、段ボールだらけの部屋で生活していたのだが、そうでない生活をしよう、と思うに至ったのだ。

ちゃんとテーブルのある生活をしよう、とか。

誰かを家に呼んでもいいのかもしれない、とか。

そのきっかけは主眼でないので詳述は避けるが、ここ近年の私においてこれは極めて大きな心境の変化であったことは記載しておこうと思う。


本を収納するために本棚を買った。

ご飯を食べたり、こうして書物をするためにテーブルを買った。

本を収納するために本棚を買った。

ラップトップを買った。

本を収納するために本棚を買った。


掃除は一度やって終わりではないから厄介だ。

どうやらSNS上の情報から察するに、掃除において肝心なのは、継続的に掃除しやすい部屋にしておくことらしい。

そして、それを妨げ、かつ部屋の綺麗さを損なう一番の原因は、ものを床に置くことらしい。


私は掃除が苦手で、今でも気づけば部屋の隅に埃が溜まっている。

人手でやるから掃除し忘れるのだと思い、自動掃除ロボットの導入を検討したこともあった。

しかしそれは、即座に断念せざるを得なかった。


先ほど「本棚を買った」を三回書いたしたが、それは決して誤植ではない。

実際に、私の部屋には本棚が三つある。

しかし、本はまだ床に溢れかえっている。

自動掃除ロボットがパフォーマンスを発揮する条件は、床の上に障害物がないことだ。

だから私は、ロボットの購入を諦めた。


相変わらず片付いていない、人を呼べる状態には程遠い部屋の中心でどうしたものかと思案する。

私の部屋で真っ先に手をつけるべきは十中八九本の山なのだろうが、果たしてどのように手をつけるべきなのか。

今でも私には、掃除や整理整頓の「肝心のコツ」が分からない。


【今回の一曲】

特撮/空想ルンバ(2011年)


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