転職エージェントからの連絡を無視してる
就職するつもりがないわけじゃない。
資産家じゃないので、いずれは働かなくてはならない。
でなければ、生活のための資金もいつか尽きる。
とはいえ、だ。
転職エージェントを使って、ガッツリ転職するつもりもなかった。
前回の転職では、そのせいで、しきりに面接の予定を詰められてしまい、日々こなすだけの面接が続き、落ち続け、それでなんとか内定の出た企業に行ったところ、適応障害になった。
だから、まあ、のんびりやれればいいか、と思っていた。
そういうわけなのだが、どういうわけか、私は転職エージェントに、面談の希望日程を聞かれてしまっている。
経緯はこうだ。
即座に転職する気がなくても、まあ、求人ぐらい見ておくかと思った。
あとは、自己肯定感の低いもの特有の、とりあえず適性診断を受けるみたいなノリ。
それで、とあるサイトに登録した。
それは、AMBIみたいなものだと思っていた。
つまり、時々スカウトが来て、求人も載っているような。
とはいえ、無職で、収入がゼロの私は、別に「ハイクラス」人材でないので、そうでなくても登録してて良いような——。
そのサイトが、転職エージェントだった。
おかしいとは思っていた。
何せ登録直後に、「面談の時間をいただきたい」と電話が来たのだ。
そのような求人掲載サイトで、面談の時間を設ける理由が分からない。
しかも面談前に、履歴書と職務経歴書をアップロードしろという。
めちゃくちゃなスケジュールだ。
しかし従順にその電話の指示に従い面談に臨むと、その面談ではっきりと、エージェントです、と言われた。
かくして私は、エージェントサービスに登録することになった。
それが二ヶ月ほど前の話。
その面談で「もっと職務経歴書を具体的にしましょう」という初歩的なアドバイスをもらい、しかしこのレベルから始めなければならないなあ、と思いつつ、ずっとそれを放置していた。
というのも適応障害を診断した主治医から、まあ焦らずやっていきましょう、と就職活動を始めるのを控えるよう言われていたからだ。
そして、それが晴れてそろそろ「解禁」となった。
まあ、12月ごろから始めましょうか、なんて言われた。
だから、職務経歴書の記載を具体的にした。
そして、書いたからにはアップロードせにゃ勿体無い。
そう思って、エージェントの利用者サイトにアップロードした。
アップロードすると、即座に電話がかかってきた。
「あ、職務経歴書をアップロードした件ですか?」
「いいえ、満足度調査です」
そんなことある?
「アップロードした件、行き違いになってしまい申し訳ございません。その旨、申し伝えておきます」
いいえ、いいんですけど。
そんなわけで、職務経歴書を「ブラッシュアップ」したことがエージェントの知るところとなり、次の面談をしましょう! と圧をかけられている。
いや、「圧をかける」は人聞きが悪い。
私が全て発端なのだし、向こうは仕事なのだから。
しかし、こうも「就職活動じゃい!」と来られると、ちょっと足がすくんでしまう。
これが社会不適合性の現れか、と思う。
自分で「社会不適合者!w」と名乗るユーモアは、この歳になってするものでもない。
とは思うが、就活を中途半端に済ませ、転職活動でもスケジュールに翻弄されて内定がでず、適応障害になった私は、少なくとも事実として、労働市場に溶け込めてはいない。
私は今のところ、転職エージェントからの連絡を無視している。
どうしようかなあ。どうしようかなあ。
いつと答えようかな、あるいは答えまいかな。
そう思っているうちに日が暮れる。
私は就職できるのだろうか。
働きたくないが、金は欲しく、妥協案として就職する気はすごくあるのだ。
妥協案だけれども。
でも、まあ、みんなもそうでしょ?
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