マガジンのカバー画像

どついたるねん。

100
きっと仕事のためにはならないでしょうが、暇つぶしにはなるかと思います。そんな、エッセイです。(2019/10/1〜2021/5/23)
運営しているクリエイター

#仕事

「オフィスでセックスしたい?」

「ねーねー」と、夜中にいきなりLINEが来た。 通知の送信者欄を見ると、そこには大学時代からの女友達の名があった。 こんな時間になんだろう? と思いつつ、その晩、私も眠れずにいたため、何気なく「なに?」と返した。 すると彼女は、脈絡もなく「オフィスでセックスしたい?」と訊ねてきた。 わけがわからず、一気に目が覚めてしまった。 少し時間を置いて、彼女は弁明するかのようにメッセージを送ってきた。 それの伝えるところによると、こういうことらしかった。 「自分は、内定こ

バット振らなきゃ話にならない

働きたくない。 できることなら、自分の頭上にだけお金が降ってきてほしいと思う。 贅沢は言わないから、今の手取り分ぐらいだけ降ってくればいい。 しかし、そんなことは起こり得ないから、仕方なしに労働に精を出す。 まったく難儀なものだと思う。 今の仕事には、まったく満足していない。 私が課せられたミッションを果たしたとして、それで誰かが幸せになるというビジョンがまったく思い描けないからだ。 また、そのミッションの達成を通じて身につけられる職能も、私の欲するものとは全く

出世は男の本懐か

「出世は男の本懐だ」 これは、映画『シン・ゴジラ』において、松尾諭演じる保守第一党政調副会長・泉修一台詞である。 映画の主人公である、長谷川博己演じる矢口蘭堂に対し、彼はこうも言う。 「そこに萌えんとは、君、なんで政治家になった?」 彼が内に抱える出世欲がよく表れた台詞である。 私の父も同様に「出世は男の本懐だ」と考えているのかどうかは定かでないものの、私が帰省するたび、出世について訊ねてくる。 「お前、ちゃんと上司には媚びを売れているのか?」 その内容、そして

グレープジュースは甘すぎる

グレープジュースは甘すぎていけない。 甘すぎることに後悔すると思っているのに、リンゴジュースのほうが良かったなと思うと分かっているのに、それでも時々飲みたくなるから不思議だ。 炭酸でもあればまだ飲めるのだが、ファンタグレープを1本丸々飲めるような季節でも年齢でもない。 あれは、小学生から、スラックスからシャツの裾を出しても様になる中学生までの、蝉しぐれ響く夏休みにこそ似合う飲み物だ。 まだ肌寒い日の続く3月に、社会人男性が飲むようなものじゃないのだ。 思えば遠くに来

頼もくなさと情報の非対称性について

私は、私自身のことを頼もしくないと思っている。 私はその実、仕事で――一つ一つは小さいけれど――ミスばかりしているし、さまざまな人のサポートがあってなんとかそれらをこなせているというのが現実だと認識しているからだ。 多くの人がそうなんじゃない? という慰めもまたあろうが、少なくとも私の自己認識はそうであり、そして私を除く多くの人は、私の目からは頼もしく見えてしまうのだ。 しかしプロジェクトマネージャーは、そんな私を「お客様からも信頼されていますし」と表現する。 そんな

それに対して、私は怒りを覚えない

「ラインが返ってこないと腹立ちませんか?」 とある研修の際に、講師が受講生全体に向けてそう訊ねてきた。 それは「みなさんも、雨が降ったら傘を差しますよね?」ぐらいに、当然コンセンサスの取れるであろう事柄を、わざとらしく確認するみたいな訊き方だった。 エンジニア職の社員に離職者や休職者が増えてきたことを理由として、私の勤める会社でエンジニア職全員を対象としたメンタルヘルス研修が開講された。 テーマは「ストレスを溜めないための考え方」。 研修は少人数制かつ予約制である、

ガセネタとサムズアップ

昨年、私の勤める会社ではチャットアプリを全社的に導入した。 導入当初は戸惑いや反発こそあったものの、数ヶ月経った頃にはほとんどの社員が利用するようになっていた。 営業のハウツーや最新技術動向など、種類を問わず耳寄りの情報を共有するチャンネルは、「学び」があるとして評判だった。 今年の二月頃のことだ。 私は出社してパソコンを起動し、くだんのチャットアプリを開いた。 社内全体向けの情報共有チャンネルに、新着投稿の通知があった。 それはご丁寧にもチャンネル全体にメンショ

有給休暇を取りたい

会社員として働き始めて、それなりの時間が経った。 その間に、かつて苦手だったことが出来るようになったり、反対に苦手だなと思うことを新たに見つけたりした。 けれど、ずっと変わらず私の頭を悩ませている問題がある。 有給休暇が取れないのだ。 有給休暇。 雇用主から賃金が支払われる休暇日のことだ。有休などと略されて呼ばれることが多い。 それが、私はどうにも取れないのだ。 取ることが禁止されているわけではない。 よく話をする先輩など周囲の人はみな、適当にそれを消化してい

休日のファッションどうすべきか問題

最近、会社に行くのが憂鬱で仕方がない。 元々、この会社が好きです! というタイプではなかったが、今年度に入ったあたりから特にひどく、その傾向は強まる一方だ。 その原因については思うところがないわけではないが、今回は特にそれは掘り下げない。 さて、この会社嫌い――仕事にやる気が出なくなるのは予想通りとして、ほかにも思わぬ弊害を私にもたらした。 会社に行くのと同じ服で休日を過ごしたくないという気持ちが、尋常でなく高まっているのだ。 ファッションに無頓着な私には、これはま

眠気から冴えるための、冴えないやり方

眠れないときにはどうすればよいのだろうか。眠いけれど、今寝るわけにはいかない、といったとき――。 たとえば一夜漬けの勉強中、自動車の運転中。 そして、オフィスでの仕事中。 眠気覚ましにコーヒーは王道である。 眠気を覚ますといえばカフェインだ。山といえば川みたいに。 しかし、私がナウ進行形の眠さを解消したいのとは裏腹に、どうやらカフェインに速攻性はないらしい。 レッドブルなどのエナジードリンクはカフェインと多くの糖を含む。 カフェインの効果については既述のとおりだ