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【マリグナント/狂暴な悪夢】ホラー映画の新しい巨悪ここに生誕!!!

・ジェームズ・ワン監督が『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』の監督権を手放してまで撮影したかった超過激ホラー『マリグナント 狂暴な悪夢』を鑑賞しに行って参りました。

・結論としては期待していた以上に素晴らしい傑作だった。マイケル、ジェイソン、フレディetcの過去の怪物に続く新しいホラー映画のアイコニックキャラクターが誕生する瞬間を劇場で味わえたのは貴重で最高な体験であった。

・オカルトスタイリッシュホラーな前半、アクションスタイリッシュホラーな後半。最初から最後までジェームズ・ワンのセンスが爆裂したとんでもない映画が本作だ。好きを詰め込みまくりながらも物語のテンポ感は非常に良く、ダレる事なく最後まで雪崩れ込むスピーディーさを保つ手腕には圧巻の一言。その上続編を製作する気が最初から満々と来た、一応は一作で内容が完結しているがあのオチは次を期待して良いでしょう。

以後、ネタバレを含む感想の為ご留意を


・本作は『ブラック・ジャックの人面瘡』『バスケット・ケース』を彷彿とさせる肉体ホラーにジェームズ・ワンお得意のアクション性を足し込んだ非常にアクティブな映画だ。

・しかし物語の構造は実にシンプル。作中では殺人事件の犯人は誰か?というサスペンスが行われているが、観客からすれば恐らくこうであろうというのが与えられる情報から簡単に推測出来るようになっている。プロローグで病院のシーンを伏線として堂々と見せているのは、明らかに作品を読み易くする為の意図だ。

・では何故、わざと分かりやすい見せ方をするのかだろうか?その答えは単純で「観客の想像を絶する映像を見せる事が出来る!」という圧倒的な自信があるからに過ぎない。つまりは映像による暴力、ハウダニットを効果的に見せてやる事が出来るという監督の絶対的な自負の現れだ。そしてそのハードルを完璧に飛び越えるのが、ジェームズ・ワン。観客は展開を想像出来ても、映像までは想像出来ないのだから…。

・アクションやホラーとしての演出が良いだけでは無く、構図の凝りようがこの映画の魅力の一つ。家を天井からぶち抜きで映す映像が作中にあるのだが、これがまた痺れる映像なのだ。他にも場面展開や緩急の効かせた緊張感の美しさと来たらもう堪らない。これは実際に観ないと理解出来ない甘美に満ちていると賞賛して良いぐらいにキマっている。しかもPixies『Where Is My Mind?』のワンフレーズをアレンジしたBGMが何度か挿入されるのだが、このやり方が天才としか思えない。

・ガブリエルという名のモンスター。双子として誕生出来ず悪性腫瘍として片割れの身体にへばりつき生まれ落ちた異形の怪物。その非常な運命の残酷さ、そしてそれに振り回される片割れのエミリー、もといマディソンという女性。彼女の後頭部に潜む悪魔の顕現が巻き起こす惨劇と家族愛を描く王道さ、うーん素晴らしい…。

・終盤でのアクションシーンの異常さはホラー映画の中でも屈指の完成度であると思います。肉体が逆を向きながらも残酷で俊敏なゴアを繰り出す様は映画史上初の試みだったのではないでしょうか。シュールでちょっと笑えるのにカッコよくて恐ろしい、凄い演出です。しかもガブリエルはその鮮烈の戦闘スタイルだけには飽き足らず、電気機器に干渉する力を有しているのが作品もキャラクターの魅力も同時に底上げしている。

・ジェームズ・ワン監督もひくて数多の忙しい監督なのですが、是非とも続編でも監督を続投して欲しいと願うばかり。2021年のホラー映画の中では間違いなく1番楽しいという感情を湧かせてくれた本作、絶対円盤買います、買わせて頂きます。

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