見出し画像

【死霊館 悪魔のせいなら、無罪。】闇を照らすは愛なる光

・ウォーレン夫妻の実体験を映画化した死霊館シリーズの第3作目(死霊館ユニバースとしては第8作目)である『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』を鑑賞して参りました。

・今回は死霊館の名を冠していながら、今まで監督を務めて来たジェームズ・ワンの手から離れてしまった為に鑑賞前から正直不安でした。死霊館ユニバースはワンの作品以外、面白い作品はあるがどれもこれも手放しに褒められる代物では無かったからです。今回ワンは過激なホラーを目的とした『マリグナント 狂暴な悪夢』の監督制作に忙しく、代打を任されたのは同じく死霊館ユニバースで『ラ・ヨローナ 泣く女』を監督したマイケル・チャベスでした。

・この『ラ・ヨローナ 泣く女』にて長編映画デビューを果たしたマイケル・チャベス。残念ながら、華々しいデビューとは言えず、ユニバースの中でも評判は芳しく無い映画となってしまいました。普遍的でパッとしない脚本とワンパターン的なホラー演出が完全に悪手だった作品と言えます。しかし個人的には透明な傘越しにだけ霊がチラリと見えるユニークな演出等、光る部分はあったと感じていました。

・そして今作は蓋を開けて見れば、その不安が如何に杞憂であったかと思わせる良質なホラー作品でありました。まあジェームズ・ワンの2作品には流石に勝てないかなぁとも思いますが、ユニバースの中では群を抜いて良い映画だったのではないでしょうか。

・悪霊に操られて殺人を起こしたアーニー・ジョンソン事件という実話を元に描かれた本作は"愛"の強さを説く作品でありました。それはウォーレン夫妻、アーニーとその彼女であるデビーにも共通する愛です。特に主役だからとも言えますが夫妻の描き方が非常に良かった。2人の馴れ初めから、お互いがお互いの事をどれほど理解し合い想い合っているのが良く伝わる物語構成になってます。

・神の御名において悪魔と対決する時、その権威に逆らう圧倒的な悪を挫くにはどうすればいいのか。その答えは深き愛を持ってして、根源に立ち向かうしか方法はないという事です。

・今作は殺人の悪魔証明が基軸になっているので、サスペンスとしての側面が強く、悪魔を立証する証拠集めや悪魔崇拝者の出現だったりと人間側でのやり取りも多いのですが心配せずともホラー演出には一切の手抜きがありません。悪魔に取り憑かれる状態の恐怖、名作『エクソシスト 』から続くその不気味さを十分に堪能出来ます。

・ラ・ヨローナと照らし合わせて考えるとマイケル・チャベスは恐らく手を恐怖の対象として見せるのが好きなんだろうなぁと。悪魔や悪霊の手の顕現やソレに接触される事をかなりの邪悪と捉えている印象です。まあそれはさて置き、この作品のホラーとしての絶対的魅力ポイントは超能力バトル要素が組み込まれている所です。近年の有名な作品としては『ドクター・スリープ』に近い作風とも言えます。

・ロレイン夫人の持つ霊視能力と魔女が扱う呪術のぶつかり合いが滅茶苦茶カッコいいんですよ…。神から授かった能力を駆使して人助けに奔走する人間と悪魔から借りた力で呪いを広げようとする人間の相反する闘争の良さよ。ロレイン夫人が能力を使い、過去の記憶を再現したり視界ジャックしたりする姿はもう完全にバトル漫画ですよ。そんな彼女を必死に支える夫エド、ウォーレン夫妻が如何に素晴らしいコンビかよく分かりますね。他にも相手側の魔女による悪魔や屍人を使役した戦い方や術対象者を幻覚空間へ封じるやり口の演出等々、見所が沢山あるので必見です。

・取り敢えず今までシリーズを追って来た人達は安心して、劇場にレッツゴー陰陽師!!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?