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2021年7月の記事一覧
短編小説「架空妖怪談義」
ミーンミンミンミンミン
「うへー暑いよー」
旧校舎のとある一角にて間宮楓は机に項垂れて夏の暑さを享受していた。一方隣に座り淡々と本を読み進める黒羽美鈴は涼しげな顔をして、窓から入り込む風で十分だと言わんばかりの表情である。
ここは現在使用されていない旧校舎の一室であり、木造建築であり、クーラーなどという高級品は当然付いていない。目下この場所は女子高生3人組の秘密の溜まり場と称する無断の
【小説】廻る終に最後の2人
「里内明美はまだ高校生3年生であった。夢見る年頃から、朧げであった現実の切実さに気付き始め最近は何もやる気が起きなかった。」
私はふぅー、と溜息を吐きながら口からポコポコと吹き出る白い煙を見つめた。くだらない世の中の全てが煙みたいに霧散してぜーんぶ消えちゃえば良いのに、そう思いながら年頃には似合わないというかハッキリ言えばアウトな煙草を灰皿に押し込んだ。
『雨原小百合は大学中退の引きこもりであ
短編小説「生きてる」
自分の愚か過ぎる価値観に気づいたのは、余りにも遅く、しかしまだ十分過ぎるほどに挽回出来るのもまた事実だった。これもまた言い訳になるのだろうと思うが、人間一度形成され切ってしまった自我が価値観を大きく変えるのは無謀な挑戦だと思う。
明日から頑張るぞ、今日から頑張るぞ、も全く同じでこれを心に固く誓う人間の半数は結局の所、一時的に自分を鼓舞し安心を得たいという現実逃避なのだと思う。俺も当然、こ