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きっかけはドラゴンボール?旅するお葬式"旅葬"誕生秘話 前編

お葬式は式場に集まって行うもの、それが現代のスタンダードです。

ですから、当社代表である村本が、
「故人さんと一緒に、バスで想い出の場所を巡る葬儀をやりたい!」
と言い出した時は、取締役からパートタイマーまで、ほぼ全ての従業員が、
「なんで?」
と首をかしげ、訝しげに眉間にシワを寄せたものでした。

しかも村本は、バスの座席の隣にお棺を安置する場所を備えた、特注バスを作ると言います!

「お葬式で想い出の地を巡りたいと思う人がいるだろうか?」
「特注バスを作るなんて、価格が高過ぎて採算が合わないのでは?」
「うまく行く気がしない…」

そんなネガティブな反応を横目に、「旅葬」のプロジェクトは始まりました。

着想から2年、反対意見や多くの課題を乗り越えて完成した旅葬のためのバスは「巡輪偲(じゅんりんさい)」と名付けられ、2021年9月、満を辞して走り出しました。

果たしてこのサービスをお客様にお選びいただくことは出来るのか?選ばれたとして、ご満足いただくことは出来るのか?この全く新しい「旅葬」という葬儀サービスについて、NOTEでご紹介していきます。

第1回となる今回は、旅葬の発案者であり、めもるホールディングス代表取締役である村本に、旅葬を思いついたきっかけについて聞きました。

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プロフィール
株式会社めもるホールディングス 代表取締役 村本隆雄
1972年7月生まれ
祖父が創業した葬儀社に入社後、葬儀部・生花部などに携わる。
2011年代表取締役就任



ーー旅葬は、お葬式の常識を打ち破る新しい発想だと思いますが、それだけに、これが成功することをイメージできない従業員が多かったと思います。旅葬をはじめようと思ったのはなぜですか?思いついたきっかけを教えてください。

村本:僕はある時、互助会(冠婚葬祭に備えて資金を積み立てることができる組織)の勉強会に講師として招かれ、他の講師の方、保険会社のエコノミストの方のお話しを聞く機会に恵まれました。

その方は、日本国内は高齢化が進んでいて、車の運転ができない人や公共交通機関を利用することが難しい人が増えていて、自分の友達とかが亡くなった時に、葬儀会場まで行きたくても行けない人も増えるというお話をされた。そういう社会背景があるから、みなさんが働かれている葬儀の業界も変わっていきますよねと。

それを聞いた僕は、確かにそうだよなと思った。これから葬儀に集まりたくても集まれない人が増えるよな、と思った。

それが頭の片隅にずっと残っていて、ある時に、この問題を解決するには、亡くなった人の所にみんなが集まらなくても、亡くなった本人と家族が挨拶に回ればいいじゃん!という発想がぽんっと出てきたの。


ーーその発想に至ったきっかけはありますか?


村本:ドラゴンボール!

ーードラゴンボール?え?どういうことですか?

村本:ドラゴンボールの最終回って、孫悟空が死んで天に召されるんですけど、その時に、瞬間移動ができる彼は、ピッコロとかやじろべえとかのところに瞬間移動でピッと行って、
『じゃあな!』って言って、ピッピッピッピッてあちこち回るんですよ。

ドラゴンボールのそういう世界観が葬儀であってもいいんじゃない、みたいな。

ーー旅葬を考えていたタイミングで、ドラゴンボールを見たんですか?

村本:いや、前に見た記憶が残ってた。別にドラゴンボールをずっと見ていたわけじゃないんだけど、何かで最終話を見たことがあったんですよ。そことパチンとリンクして、そこからです。

だから、旅葬のスタートって、挨拶回りができるご葬儀っていうところから着想してるんですよね。

で、それできるよね、バスだったらできるよねってイメージしていく中で、確かに挨拶回りもいいけれど、どうせ家族と故人が一緒に動き回れるんだったら、想い出の場所とか色々巡ったらそりゃ楽しいよね。楽しいって言ったらあれだけど、それは嬉しいよねっていう発想に変わった。

ーー挨拶回りから想い出の場所巡りに変わるって、ハードルが高いような気がするのですが、自然に変わったということですか?

村本:そうだね。結局今コロナになったから、みんなしみじみ感じてるけど、人間って出かけたい生き物じゃないですか。

外に行って、お日様の光を浴びたいとか、空気の良いところに行きたい、景色の良いところに行きたいとか。そういう、出かけたいっていう欲求がある。でも亡くなる人って、たいがいは病気になってさ、病院に長く入院したりとか、自宅療養でずっと介護ベッドに寝たきりになっていたりして、最期の時間を過ごしてるじゃないですか。

その人達だって、出かけたいっていう願望はあるはずなんですよ。例えば病院のベッドでずっと長く入院している人だったら、窓越しに外を見て、『今日は天気がいいな』とか、『そろそろ桜咲いてるだろうな』とか、そんなことを思いながら過ごしてるだろうなと。そうやって命を終えていくんだけど、桜見たかったなとか、もう一回あの公園に散歩に行きたかったなとか、そういうことを思いながら亡くなると思うんですよね。

片や家族も、『最期にあの場所に連れて行ってあげたかった』という後悔が残る人って多いと思うんですよ。例えば故郷に帰りたいって言っていたおじいちゃんを帰らせてあげることもできなかったんだよね、っていう後悔が残ったりして。

本人も出かけたい、家族も連れて行ってあげたかった、これが叶わないまま終わります。じゃあ葬儀でそれを実現したら良いんじゃないかなと思ったわけです。

後編に続きます

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座席のかたわらにお棺の安置場所を備えたバス「巡輪偲」で、想い出の地を巡ったり、会いたい人を訪ねたりすることができる旅葬。詳しくはホームページをご覧ください。

「旅葬」公式ホームページ

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