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イタリア語を学ぶメリット(Polygotへの道)

第二外国語として何を選ぶべきか、フランス語?ドイツ語?ロシア語?
色々な候補があるかもしれないが、ここではイタリア語をお勧めしたい。
何故かと言えば日本人にとっては最も発音がしやすく、かつ第三外国語以上の学習を考えたときに、最も汎用性が高いからだ。

イタリア語を学ぶメリット

  1. 発音の容易さ

  2. アルファベットの少なさ

  3. 主語を省ける

  4. 語彙の流用性

  5. 英語力向上

  6. スペイン語ができるようになる

  7. フランス語が読めるようになる

  8. ラテン語学習の土台になる

  9. 他の欧州語の文法理解に役立つ



1. 発音の容易さ


イタリア語は日本語と同じでa, e, i, o, u,という母音で終わる単語を好む。そして何より基本はローマ字読みだ。例えばイタリア語で「知識」という単語は、「Conoscienza(コノシェンツァ)」で、英語のように「Knowledge」のKを落として読んだりしない。

これは英語が千年前の発音表記をそのまま使っているのに対して、イタリア語は時代の変化に合わせてしっかりと使いやすいように変えたからだ。

なのでPhなどは全部Fにしてあるから、「Phoenixの頭文字はFじゃないよ」とかツッコミがあっても、イタリア語ならFoenixです!と言える。


2. アルファベットが少ない。
英語のアルファベットは26文字あるが、イタリア語は21文字。つまりJ、K、W、X、Y がない。JはG、KはCかQue、WはU、YはIで代用できるからだ。
(詳しくは動画を作ったので観て欲しい)

Jは「Iの異体字」として中世になってできたもので、イタリア北西部から西ヨーロッパに普及したけれど、中部(トスカーナ)方言から発展した今日のイタリア語(スタンダード)では使わない。なのでJusticeはGiudiziaとなる。

K、C、Queはローマ人ですら混同していたけれど、イタリア人は少なくともKだけは落として単純化。CalenderのスペルをKにしようかと迷う必要はない。

WはV(当時の発音はU)を二つ繋げたもので「ダブルユー(二つのU)」として、中世になって生み出されたものだが、イタリアではこれを採用しなかった。なのでWineはVinoと言われる。

Yなどはかつては「ギリシアのI」と呼ばれていて、外来語にしか使わなかった。これは今日のイタリア語も同じ。このYとIの互換性は英語やスペイン語にも見られるのでまた別の機会に解説したい。

結論としては、他の言語よりも表記揺れの心配が少ないということだ。


3. 主語省略


日本語では主語を先に述べて文を作るというのはすごく違和感のあることだが、イタリア語でも理由は違うが似たような現象が起きる。例えば「勉強する」と言う時、英語ではI studyとまず主語の特定から入るが、イタリア語ではStudioと一言で終わり、語尾で主語を決める。

Studio=I study
Studi= you study
Studia=He or She studies

以上のように、Io(I)とかTu(You)とかどっちを言うか決めてから喋る必要がないので、ほんの数秒だけ時間の猶予が得られるし、二語作る必要は絶対にない。
この点は英語を得意とする人が苦手とすることで、逆に苦手とする日本人などが得意とするところだ。

4. 語彙の流用性


先進国とされてきた西ヨーロッパは全て元を辿ればローマ帝国の版図に入る。
英語の語彙はフランス語経由のものも含めると60%以上がラテン語由来のものとなるので、ラテン語の直系であるイタリア語と半分以上は共通する。
原始的な言葉、例えば「Go」は「Gehen」(独)と同じくゲルマン語彙であったりするが、英語の「Organaization」は「Organazione」イタリア語でも殆ど形が変わらない。何故ならゲルマン人たちの知らない概念などは、より発達した文明人の言葉から取り入れてくるしかなかったからだ。

なのである一定の基礎語彙と文法の違いさえ頭に入っていれば、むしろ高尚な内容の歴史書の方が読みやすいという愉快な事態がまま発生する。

5. 英語力向上


英語からイタリア語に語彙転用ができるということは、逆にイタリア語を学んでいて新しく英語の語彙が増えるということもあり得る。例えば健康的なという言葉をイタリア語で調べてSalburiousoという単語に出会い、これを英語にかけてみると殆ど同じ形でSalburiousというHealthyと同じ意味の言葉が出てきたりする。

6. スペイン語ができるようになる


イタリア人とスペイン人は殆ど問題なく会話を成立させられる。これは多くの検証動画が出ているので見ていただきたいが、実際少しコツを覚えれば喋れるし聞いてなんとなくわかる上に少なくとも読める。正直関西弁と標準語レベルの違いしかない。

なのでイタリア語を学べば第三外国語としてスペイン語が殆ど同時に扱えるようになり、もうPolygotと呼ばれても差し支えない。

しかもスペイン語は英語の次くらいには広く話されている言語で、昨今は南米からの移住者も多い日本でも使う機会には、むしろ英語より恵まれることがある便利な言語だ。

なら最初からイタリア語よりスペイン語をやれという話だが、イタリア語の方がアルファベットが少なく表記揺れが少ないという容易さから、ここではイタリア語を推させていただく。


7. フランス語が読める


これに対してフランス語とイタリア語の互換性の方は、せいぜい読み書きができる。という程度だ。話す聞くになると殆ど成立しない。

フランス語はお隣のドイツから来たゲルマン人の影響が大変強く、子音の前の母音を意識しすぎて、元は語尾で変化をつけていたラテン語の特性を台無しにしてしまった。
結果として英語と同じくこいつだけ主語が省略できない、その癖伝統には拘ったから昔の表記を使い続け、綴りと音に著しい不一致を発生させた。

しかしやはり語彙は同じなので読めるし、ゲルマンの影響の少なかった南フランス語などは殆どイタリア語と言って良く、依然としてドイツ語よりも互換性は高い。

(南仏語Occitan languageオック語)

イタリア語の学習が後にフランス語学習の助けとなる部分も、(スペイン語ほどではないにしろ)多い。

8. ラテン語学習の土台になる


イタリア語ができればラテン語もできるようになるかというと、一概にそうとも言い切れない。少なくとも語彙はほぼ同じだし、文法も共通する部分があるが、イタリア語が省略してしまったラテン語にしかない文法がある。

なのでその理解度は、中国語を知らない日本人が漢文を何となく理解できる程度と思っていただいて良い。けれど少し教育を受けさえすれば、瞬く間に花開く土台が手に入る、それがイタリア語の利点だ。

9. 他の欧州語に役立つ


「格変化」と「名詞の性別」、この二つは英語以外の欧州言語ならばどれでも持っている性質である。(フィンランドとハンガリーはアジア系)

一つ目の格変化とは、主語省略の時に扱ったStudio, Studi, Studia, という風に主語によって動詞の語尾を変えるという性質だ。これはドイツ語やロシア語にもあるので、イタリア語を一度学んでいると英語から勉強するよりも楽になったりする。

二つ目。名詞の性別。これは例えば太陽がSoleとeで終わるから男、Lunaがaで終わるから女という風に、何にでも性別をつけたがる欧州言語の特性である。

ちなみに太陽を男、月を女とするのはラテン系民族の考え方であるらしく、ドイツ語だと逆転する。つまり月が男、太陽が女となる。おそらくあの陰鬱した空の元では太陽が女々しく見え、夜を照らす月明かりの方が雄々しかったのだろう。

この違いは土地柄を反映していて面白かったりするのだが、学習にはちょっと邪魔だったりするので、語尾の違いから容易に判別できるイタリア語からこの概念を学ぶことをお勧めしたい。何故なら、ドイツ語などでは単語から男女の区別ができず、その前の冠詞Die(The)とかで判断するしかないからだ。


Quindi, dovete studiare l'italiano!

以上のように、イタリア語学習は様々なメリットを提供してくれる。英語をより深く学ぶ意味でも、Polygotへの道を開く意味でも、第二外国語としてイタリア語は素晴らしい。

ということをイタリア訛りの英語でドゥーチェに語らせてみたので、良かったら観てね。茶番だよ。

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