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当たり前なんてない。だけど、奇跡はある。【Oh My Diner〜踊るぶんぶん狂想曲】


「Oh My Diner〜踊るぶんぶん狂想曲」を観劇しました。

久々の推し!!!と思ってとってもとっても楽しみにしていたのですが、
千穐楽日の2公演以外全て中止になりました。


ちょうどいろんな作品がバタバタ倒れていく中で、まだ初日を迎えていなかったこの作品も心配していましたが、
まさか初日を迎える前に中止になるとは。

もちろん観に行く予定だった作品が中止になることはここ2年でたくさん経験しました。
推しが出演する作品でももちろん、たくさん経験しました。


それでもやっぱり、悲しい、悔しい、なんで、という感情を持たずにはいられなかった。

「誰が一番悔しい」とかいう言い争いは無意味だと思ってます。
もちろん企画立案から制作、キャスティング、稽古、色々準備してきた制作側とキャストさんたちだって悔しいに決まってる。
でも、それを楽しみに待っていた、それを楽しみに毎日頑張っていた私たちお客さん側だって悔しいわけです。


個人的に7月は仕事が大変だったので、OMDのために日々頑張ってきていました。
中止という文字を見た瞬間「なんのために……」と思ったことは事実。
絶望感でした。


でも、神様は見捨てなかった。
奇跡は起きた。


私が唯一持っていた千穐楽チケットがただの紙切れにならずにすんだ……!!(電子チケットだけど)

初日にして千穐楽。
誰もが望んだ形ではなかったかもしれないけど、それでも陽の目を浴びる日がきて良かった。
そう思いました。
皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。



脚本・演出の色

初演のOMDは三浦香さんが演出だったのですが、今回は川本成さんに変更になりました。

結論から言うと、ここからは個人的見解なのでアレなのですが
私は初演の演出のほうが大好きだった。


OMDの強みは、演劇×ノスタルジック音楽だと思うんだけど
いわゆるノスワンに演劇という色がついた感じ。
1幕はお芝居、2幕はライブ、というパート分けでどちらも緩みなく楽しませてくれたのが、初演だったなあ、と。

私はストレートプレイよりミュージカルの方が断然楽しめる派なので
今作の1幕ストプレは、OMDの色が薄れた…という印象になってしまった。

あと初演で色濃く描かれてた各キャラクターの個性が、今作では薄れてしまって別物になっちゃったイメージ。


唯一の救いだったのは、三浦宏規くんのバレエ。
あれがなかったら私は正直残念という気持ちの方が強くなってたと思う。


でも、今作はライブ配信もあったので、おそらく配信ができるように調整したんだろうな〜と思います。
ほとんどが中止になってしまった分、行けなかった方は配信で見れるのでとってもありがたいですね。


それでも今作が面白かったのは「トンチキ」極まりないストーリーかな???な気がする。
見事に(?)サブタイトル「踊るぶんぶん狂想曲」を回収したストーリーだった。
ぶんぶんって、まさかハチとはね??
もしかして、グッズの蜂蜜から気付くべきだったか…ごめんね…気づけなくて。



個性豊かなキャスト

初演から結構好きだったのは、神里くん演じるノア。
初演からキャラ設定は、頭の切れるイケメン人気者店員。
最高じゃん~~~!またノアに会えるの本当に楽しみ~~!
とドキドキワクワクしていた。
ノアは、今作も本当に素敵なリアコ枠でした。(個人的感想)

あとは、今作で新登場だったライトマンブラザーズが可愛かった。
長男はきっとエアコン修理の達人なんだろうけど、自由人。
次男は兄ちゃんが大好き。
三男はしっかりもの。
かわいいね~~~。

個人的には初演のザック店長が結構好きだったのでいてほしかったけど。
というか、今作、ノアが店長に昇進していた!
おめでとうノア!
ザックさんは…オーナーということになっていて自分探しの旅に出ていた。
ザックさんが戻ってきたときにまた会いたいな~~~。

あと、Uber Eeats配達員のエリオットが、いまどき若者って感じでよかった。
ちなみに、お店のすぐそこにあるマンションからデリバリー注文入るって話。
そのマンションの人、ジョシュアさんだったりする???
前回、プリンスからマシューに目移りした(?)ジョシュアさん、
マシューがバイトし始めたお店の前に引っ越してきた説を考えた。
わからないけど!そうだったら面白いな~と思った。


推しが元気でよかった

なんといっても、我が推し、三浦宏規くんの華麗なるバレエで、この一週間の公演中止という傷が癒えたのは事実。
本当に美しかった。

そしてやっぱり、好きだな~~となった二幕のライブパート。
聞いたことある!という曲ばかりで、なんだかノスワンを懐かしく思っていた。
三浦宏規くんは、「Piano man」を歌っていたけど、いつの間にかハーモニカを吹けるようになっていた。

And the piano, it sounds like a carnival
And the microphone smells like a beer
And they sit at the bar and put bread in my jar
And say, “Man, what are you doin’ here?"

私は宏規くんのことを、天性の表現者だと思っている。
「どうしてこんなとこで歌っているの?」
「どうしてこんなところで踊っているの?」
宏規くんだったら「ここに導かれたんだ」と答えそうだなって
勝手に妄想してエモくなっていた、Piano manのパフォーマンス。

私にとって推しを舞台上で観ることは、
私の応援しているその人が今を生きていると証明することでもあり、
そんな彼を見て私も勇気をもらう瞬間でもある。
一週間の公演中止となった今作の、まさに”最後の夜”に
元気な姿で、彼が舞台の上で歌って踊っている。
それを確認できただけで、安心だったのを覚えている。


とっても楽しみだったOMD、沢山笑って沢山楽しむ予定だったOMD、
最終的にこんな感情になるなんて思ってませんでした。
でも、だからこそ、「奇跡はある」、と実感できたのかも。


「夢はなくてもいい」「自分を大切にしてくれる人を大切に」

仕事に飲み込まれていたオリビアに
「夢って、なきゃダメっすかね?」
って言ったエリオット。

そして、仕事に追われて大切なイーサンの顔も
まともに見ていなかったと気付いたオリビア。
イーサンとの仲直りのために走り出す。

この辺が、今回私が受け取ったメッセージでした。
作品から受け取るメッセージはお客さんの数ほどあると思うから、
私はここが一番刺さったよってお話。


明確な夢、「プロのバレエダンサーになる!」みたいな明確な夢、
なくてもいいんじゃないかなって言葉はすごく有難いなと思う。

考え方的には私も同じで、「こうなりたい」という夢は今も昔も持っていなかった。
だからこそ、周りの夢を持つ人たちがキラキラして見えていたのは痛いほどわかる。
でも、夢を持たない生き方も案外楽で好き。
今を楽しみたい、今を頑張りたい、それだけでも結構やっていける。

だから、エリオットが言った
「夢って、なきゃダメっすかね?」という言葉は、
私にとってはとても心に残る台詞だった。


それともう一つ。
「忙」は心を亡くすと書くけれど、今作のオリビアの状態そのものだと思った。
一つ一つの事象はオリビアにとって重大なことで(洗濯物、イーサンとマイケルのハグ)それに対して怒ってしまうことは分かる。
でも仕事に追われてイライラしている状態で正気になれる人はいない。きっと。

だからこそ、一番大事なイーサンのことちゃんと考えられてなかったし、
イーサンがいる有難さを感じられてなかったのかなって、思っちゃった。

「忙」状況で誰しも経験あると思うけど、自分を大切にしてくれる人たちのことを、自分もちゃんと大切にしなきゃなって思った。


おわりに

OMD、最終的には多分悔しい結果になったかもしれない。
だからまた、OMDのみんなに会いたい。
どこかで再演、新作、観れる日が来ることを楽しみにしています。


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