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1 なぜ美しくなくてはいけないのでしょうか。 なぜ不服なことも笑ってやり過ごさなくてはいけないのでしょうか。 なぜ生と死は完全な二項対立なのでしょうか。 なぜ個性を持つことを強要されるのでしょうか。 なぜ自分のものを残したがるのでしょうか。 なぜ命を奪うことを嫌うのに花を摘み取るのでしょうか。 なぜ死を忌むのに死後の世界に夢を見るのでしょうか。 なぜ生きていなくてはいけないのにただ生きているだけでは誉められないのでしょうか。 なぜ自分の感情を否定するのでしょ
眠る。 死に近づく。 飛行機の中で眠る。 空の上。 天使が見える。 このまま私も一緒に空を泳ぎたい。 柔らかな浮遊感に弄ばれて。 目覚める。 狭い飛行機の座席。 私はそこへは行けないのね。 死はさぞ気持ちいいのだろう。 その時に備えて 私は毎日眠って練習をする。 2024/06/26
破滅 「破滅したいと思ったりすることない?」 昼の喫煙喫茶 あなたはタバコをふかしながらそう言う
弔いなんてものがあるから厄介なんだ。 つくしのように 春の訪れを喜んで 日差しをいっぱいに受け止めて 背伸びする たくさんの友達と一緒にのびのび 春のうららを楽しむの つるんと しっとりと ある日誰かに摘み取られるの でも誰も気にしないの 気にせずにただ春の喜びに身を埋めるの 私も気にしないの みずみずしいまま 春の喜びの中で死んでいく 誰も弔いやしない 誰も悲しまない それがいい 残ったつくしは ただ春風に身をまかるの みんなただ笑っ
「夜に爪を切ったら親の死に目に遭えない。」 そう言われて育ってきた。 私は親の死に目になんて遭いたくない。 親は自分のこの世からの旅立ちを我が子に見てもらいたいものなのだろうか。 私は誰の死に目も見たくないし 私の死に目は誰にも見られたくない。 誰かをこの世から見届けるなんて そんな崇高なこと私にはできない。 どんな綺麗な涙も感謝の言葉もあげられない。 私はいつもそうだ。 大切な言葉は私の口からは出てこない。 暗いバスタブの底に沈んだかのような空気の中に
死が近づく。 誰かが恋人を殺した。 死が近づく。 あの子のお葬式に参加した。 死が近づく。 死にいたる病が蔓延る。 死が近づく。 誰かが追いかけてくる夢。 死が近づく。 そうやっていつも思い出させる。 人間が忘れてしまったもの。 2024/06/23
もし私が誰にも見つからず ひっそりと死んでいけば 私は一生どこかで生き続けていることになるのでしょう もし私が誰にも見つからず 一人で生きていけば 私は死んでしまったことになるのでしょう 2024/06/21
これは悲劇。 悲劇は美しい。 結ばれぬ恋。 儚く散る若い命。 夢は夢のまま。 幸せ数秒手前の美しいこと。 幸せの絶頂だなんて。 あとは下り坂が待つだけ。 喜劇はいつも幸せの絶頂で終わる。 だから信憑性に欠ける。 喜劇の後は美しくない悲劇が待っている。 冷めゆく愛。 老いゆく命。 満たされない日々。 一度最上級の幸せを体験してしまったこと。 それが喜劇の終わり、悲劇の始まり。 どうせ悲劇で終わるのなら 美しい物語を。 2024/06/20
若いままで。老いる前に。 愛されているままで。愛が冷める前に。 美しいままで。醜くなる前に。 幸せなままで。不幸を見る前に。 夢の中にいるままで。現実に引き戻される前に。 ・・・ ずっと書き溜めていた詩をnoteに上げることにしました。 この詩を『死に向かう二十歳のうた』のシリーズの始まりとし、これから更新していく予定です。 私が詩を書くのは淋しくて死にそうな時がほとんどです。 『死に向かう二十歳のうた』はその淋しい自分の供養の場になれば嬉しいです。 ・・・