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亡き夫の代わりに、彼の人生を振り返る

パソコンがついに死にそうだ。

私はWordやパワポは好きで、色々な書類を作るのも嫌いではない。
アメリカに住んでいた当時通っていた高校ではタイピングを教えてくれる授業があり(世代がバレる・・・)、先生がスパルタだったこともあり、ブラインドタッチというのか、パソコンを打つスピードはめちゃ速くなった。

そのせいか誤解されやすいのだが、世の期待に反してパソコンは嫌いである。どれくらい嫌いかというと、買い換えるのが面倒で使っているこのパソコン、数字ボタンは押せないボタンがいくつかあり、キーボードも軽く叩くと反応せず(→「ず」を押すのに「Z」を3回くらい押した)、誤変換も変換スピードも遅くて、相当困っている。

が(→「が」の「G」もなかなか反応しない)、買い換えるために選ぶことやヨドバシに行くことも面倒。データ移行も面倒。古いパソコンの処分も面倒(→面倒の「ど」がなかなか打てない)で、処分しなければと放置してあるノートパソコンが3台ある・・・

そんな中、これを書いている(笑)

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本題に移ろう。

11月にご縁があって、昨年脳腫瘍で亡くなった夫の「高次脳機能障害」についてお話をする機会を頂いた。
彼の脳腫瘍はタチが良かったのか、本人に似て穏やかだったのか(飼い主に似るのか?)、脳腫瘍により苦労したことはあまりない。
最期もとても穏やかだった。

ただ、高次脳機能障害は辛かった。

脳腫瘍になったのが20年近く前。
当時は高次脳機能障害の概念が世の中に出始めた頃で、手術の際にも、入院中も、「高次脳機能障害」という言葉は一切知らなかった。

身体障害は殆どなくそのまま退院し、病院としてはめでたしだった。
でも私は夫の性格の変化、会話のズレ、今までになかった感情の起伏(何でもない会話で突然怒る)、会話が成立しない違和感等に悩まされた。

そこから15年位、離婚も何度も考えながら生活をしていた。
そして、小室哲哉さんがご自身の不倫騒動の時にKEIKOさんについて「小学校4年生の女の子みたい」「大人の会話ができない」等、高次脳機能障害について話したことをキッカケに、夫への違和感は高次脳機能障害なのかもと気づき、判定を受けて障害が確定した。

軽度な障害なのかと思いきや、見かけには分からないが「結構ガッツリ高次脳機能障害ありますね」と言われた時のことは忘れない。

ということで、彼が亡くなった今、思う存分遠慮なく(?)、彼の障害が判明するまでの妻が感じた違和感、そして判明してから感じたこと等をお話してくる予定だ。
小室哲哉さんの話で我が家のように「ウチもそうかも」と気づいたケースは多いと聞くので、わたしの話も何か誰かのキッカケになってくれたらと思っている。当事者でも、その家族でも、支援者の方にでも。

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話をするにあたり、彼の20年間を遡り、色々な資料を引っ張りだしてきた。
脳の手術は本人が一番、自分の置かれている状況を知らないのではないかと思う。彼が手術の麻酔で寝ている間の10時間以上、3回の手術の待ち時間の長さ、意識が朦朧としている姿、脳出血で危なくてICUに居た姿、腫れた頭の様子、頭から管が色々出ていた様子等、本人は見えないし、記憶にないので知らない(手術からしばらくの記憶は落ちるらしく、後で聞いても当時のことはあまり覚えていない様子だった。)
なので、当時の私は願掛け半分に色々なことをメモしたり、写真に納めたりしていた。彼が復活したら「こんな感じだったんだからね!」と言ってやるつもりで。

脳腫瘍の再発により末期を迎えた頃、ケアマネさんや訪問看護の人たちに経緯を説明する際に、これらの資料はかなり役立った。
でも、当時は見直したくなくて、あえて開かなかった資料も沢山あった。

それを、今回お話するにあたり、色々ひっくり返してみた。

病院の診断書、入退院時の書類、当時の手帳、写真、記録等。
見ると色々思い出すので、辛くなるものも沢山あった。
でも、聞きに来てくれた人にちゃんと理解してもらいたいと思ったのと、何だか記録を整理し出すと止まらなくなって、20年間をみっちり振り返ってしまった。

彼の人生は病気だけの日々ではなかったのだけれど、
楽しいことも、友達との時間も沢山あったと思うけれど、
私にはやっぱり病気の20年が一番記憶に残ってしまう。

そんな書類をみながら、お話する資料を作っていて思ったのだが、
私、自分の人生だってこんなに細かく振り返ったことないよー(笑)

キャリアセミナーでライフラインを書いたり、人生の振り返りとかはやったことはあるが、それだって長くて半日くらいのものだろう。

自分の人生のことを、こーーーーんなに事細かく、丁寧に振り返ってまとめてもらえるなんて、しかも自分は何もしないのに、勝手にやってもらえるなんて、夫ってめちゃくちゃお得じゃない?
人使い荒くないか??と思って笑ってしまった。

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結婚当時、彼のお父さんが、彼について「あの子は、ボーッとしてても周囲が何となく自然に助けてくれるところがある」と言っていた。
えらくポジティブな表現だなぁと感心したのだが、まさにそう。

本人は何もしていないのに、彼の伝記みたいなのが出来上がってる。

ホントに私って偉いよね、妻に感謝してよね、ここまでしてくれる妻っていないよね、と、本人に頼まれた訳でもなく、自分でやり出したことなのに、ブチブチ言いながら準備をしている。

彼の良いところは、欲がなく、自分の何かが誰かの為になることがあるなら、すんなり渡してしまうこと。
だから、きっと、ちょっと彼にとっては耳が痛い話も多いとは思うけれど、自分の経験が誰かの役に立つなら資料も使って良いよ、話してきて良いよ、と思っているのではないかと思う。

話したいこと、伝えたいこと、知って欲しいことは沢山ある。
誰かの何か役に立つと良いな。






申し訳ないけど、あなたが拒否したリハビリのことや、やってた漢字ドリルとかご紹介しちゃうからね。
色々ネタにしちゃうからね。
まったくさー、妻すごいよね。分かってる?(笑)
あなたの経験はちょっと特殊だけれど、世の中のお役に立てると良いね。

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