ルネサンス
世界史の学習では「理解すること」と「覚えること」が車の両輪。そして、直前期のいまは復習のとき。ちゃんと勉強してきた人も、この時期は文化史の知識が頭から抜けがちです。私なら過去問を解いたあと、教科書に載っている「文化史のまとめ」を使って確認します。これはそんな10分間の営みを効率化させたもの。勉強してきた人ほど劇的に得点が伸びます。最後まで諦めないで!
⑴文芸
<フィレンツェとルネサンス>
①イタリアのフィレンツェは、毛織物産業で栄え、ルネサンスの中心となった
②フィレンツェのメディチ家は、金融業で繁栄し、ルネサンスの学芸保護に努めた
【重要ポイント ルネサンスの文芸】
①イタリア=ルネサンス
ダンテ(伊) 『神曲』 ☆口語のトスカナ語で書かれた
ペトラルカ(伊) 『叙情詩集』
ボッカチオ(伊) 『デカメロン』 ☆ペスト(黒死病)の流行が背景
②北方ルネサンス
エラスムス(ネーデルラント)『愚神礼賛』 ☆16世紀最大の人文主義者
トマス=モア(英) 『ユートピア』 ☆エラスムスと親交
チョーサー(英) 『カンタベリ物語』
ラブレー(仏) 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』
モンテーニュ(仏) 『エセー(随想録)』
セルバンテス(西) 『ドン=キホーテ』
シェークスピア(英) 『ヴェニスの商人』『ハムレット』
<近代政治学の祖>
フィレンツェのマキァヴェリは『君主論』でイタリア統一の必要性を訴えた
⑵美術
<ルネサンスの三大巨匠>
レオナルド=ダ=ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ
【重要ポイント ルネサンスの美術】
①建築
ブルネレスキ(伊)サンタ=マリア大聖堂ドーム ☆フィレンツェ
ブラマンテ(伊) サン=ピエトロ大聖堂 ☆ローマ(現在のヴァチカン市国)
②イタリア=ルネサンス
ジョット(伊) 「聖フランチェスコの生涯」
ボッティチェリ(伊) 「ヴィーナスの誕生」「春」
レオナルド=ダ=ヴィンチ(伊)「最後の晩餐」「モナ=リザ」☆万能の天才
ミケランジェロ(伊) 「ダヴィデ像」「天地創造」「最後の審判」
ラファエロ(伊) 聖母子像 「アテネの学堂」
③北方ルネサンス
ファン=アイク兄弟(ネーデルラント) 「ヘントの祭壇画」 ☆油絵画法
デューラー(独) 自画像 「四人の使徒」 ☆版画も有名
ホルバイン(独) 「エラスムス像」 ☆イギリス宮廷画家
ブリューゲル(ネーデルラント) 「子どもの遊び」「農民の踊り」☆農民画家
<カトリックの総本山>
ヴァチカン市国は、1929年のラテラノ条約でムッソリーニ政権から主権が認められたローマ市内にある世界最小の独立国家。ローマ教皇が統治する。主聖堂のサン=ピエトロ大聖堂は使徒ペテロの墓所上に建てられた。ヴァチカン宮殿の中にあるシスティナ礼拝堂は1481年に完成した。16世紀初め、サン=ピエトロ大聖堂が老朽化したため教皇ユリウス2世により大改築工事が始まった。次の教皇レオ10世に引き継がれ、1626年に完成した。当初はブラマンテが設計にあたり、のちにラファエロ・ミケランジェロが建築に携わった。
①フィレンツェのサンタ=マリア大聖堂のドーム ☆ブルネレスキの設計
②ローマのサン=ピエトロ大聖堂 ☆ブラマンテの設計
カトリックの総本山。使徒ペテロの墓の上に建てられた。
③ジョット 「小鳥にも説教するフランチェスコ」
ルネサンス絵画の先駆者。
④ボッティチェリ 「春(プリマヴェーラ)」
フィレンツェのウフィッツィ美術館にある。
⑤レオナルド=ダ=ヴィンチ 「最後の晩餐」
ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂。テンペラ画法。
⑥ミケランジェロ 「最後の審判」
システィナ礼拝堂の正面壁画。天井壁画は「天地創造」
⑦ラファエロ 「アテネの学堂」
ヴァチカン宮殿の署名の間。
⑧ブリューゲル 「農民の踊り」
国王や貴族ではなく、農民の生活を描く。人間中心のルネサンス的な優しい視線。
⑶科学と技術
【重要ポイント ルネサンス 科学と技術】
①16世紀前半、ポーランド人のコペルニクスが地動説を唱えた
②15世紀半ば、ドイツ人のグーテンベルクが活版印刷術を改良・実用化した
【センター試験の過去問】
印刷・出版物とその著者の組み合わせとして正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
①『君主論』ーシェークスピア
②『ガルガンチュア物語』ーチョーサー
③『エセー(随想録)』ーモンテーニュ
④『キリスト者の自由』ーエラスムス
<解答>③
①『君主論』の著者はマキァヴェリ ②『ガルガンチュア物語』の著者はラブレー ④『キリスト者の自由』の著者はルター(エラスムスとは対立した)
【センター試験の正誤問題】
①ダンテは、『神曲』をラテン語で書いた。
②『デカメロン』は、トマス=モアによって著された。
③ラブレーは、『愚神礼賛』で教会を風刺した。
④ブルネレスキが、ハギア=ソフィア(聖ソフィア)聖堂を建てた。
⑤ヴェネツィアのメディチ家は、ルネサンス文化を保護したことで知られている。
⑥コペルニクスは、地動説を唱えた。
⑦12世紀半ばに、グーテンベルクが活版印刷術を実用化した。
<解答>
①誤 ラテン語→トスカナ語 ②誤 トマス=モア→ボッカチオ ③誤 ラブレー→エラスムス ④誤 ハギア=ソフィア聖堂→サンタ=マリア聖堂 ⑤誤 ヴェネツィア→フィレンツェ ⑥正 ⑦誤 12世紀半ば→15世紀半ば
【早慶良問】
①メディチ家の後援で、サンタ=マリア大聖堂のドームを設計した建築家は誰か。
②教皇ユリウス2世の依頼で、ヴァチカンのサン=ピエトロ大聖堂改築の最初の設計を行ったのはだれか。
③フィレンツェ生まれのイタリア=ルネサンスの先駆者で, 『神曲』 を口語のトスカナ語で書き, 当時の学術語として用いられていたラテン語から文学を解放しようとしたのは誰か。
④14世紀半ばの黒死病の大流行のときに、フィレンツェから近郊に避難した人たちが物語を語るという形式の作品を書いた人物は誰か。
⑤ルネサンス中期に「春」「ヴィーナスの誕生」で古代神話の世界を華麗に描いた画家は誰か。
⑥多くの聖母子像を描き、ダ=ヴィンチ、ミケランジェロと並び称される画家は誰か。
⑦イタリア統一のためには宗教や道徳とは次元の異なる、獅子の勇猛と狐の狡智を兼ね備えた人物が必要と主張したマキァヴェリの代表作は何か。
⑧イングランドの政治と社会を風刺、批判したトマス=モアの代表作は何か。
⑨ルネサンス期のフランドル地方で代表的な画家は「ヘントの祭壇画」で知られる【 】兄弟である。彼らによって完成された油絵の技法は、今日にいたるまで西洋絵画の基本として用いられている。
⑩アントワープで修行した後、ブリュッセルで活躍し、『農民の踊り』や『結婚の祝い』などの作品で農民の生活を精力的に描いた画家は誰か。
<答え>
①ブルネレスキ ②ブラマンテ ③ダンテ ④ボッカチオ ⑤ボッティチェリ ⑥ラファエロ ⑦『君主論』 ⑧『ユートピア』 ⑨ファン=アイク ⑩ブリューゲル
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