あの人の声が聴こえる
研究がなかなか進まず、気が滅入っていた。
朝起きた瞬間にもう憂鬱で仕方がない。
2年前の修論の提出に追われていた頃の精神状態とすごく似ているけど、
これから取りかかる博論はやっとインタビュー調査を始めたばかりで、
執筆という道を走ることに身体がちっとも馴染んでいない。
この研究をやることに何の意味があるのだろうか。
もっともらしく研究意義を掲げてみたものの、
こんな論文が一本ひっそりと世にでたところで、
果たして誰かが救われるのだろうか。
草花を育てたりパンを焼いたり、
家