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コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務 vol.2『投資判断の方程式』

【即戦力となる実践的な考え方とテクニックが学べるnote】
(⚠有料化を検討中の記事)

足を引っ張る大企業』『ベンチャーを支える大企業』どちらになるかはCVC担当の腕次第。

前回記事は『こちら』から

〚投資判断の方程式〛
=①市場成長性
×②経営者の魅力度
×③ビジネスモデルの優位性

さっそく前に進めていきます。


①市場成長性

〚その生け簀に魚はいるか?〛


 基本的に投資対象は『成長性の高い市場』となります。
追い風に乗れるビジネスというのは少々不完全で競合と比べて劣後していたとしてもマーケットのパイが拡大しているわけですから生き残っていけます。
 もちろん、衰退産業(斜陽産業)と呼ばれる縮小市場に対して挑むベンチャーに投資をしないということではありません。
そうした市場に対しては、テクノロジーを活用して構造改革することで残存者利益を勝ち取ることも可能です。
そうしたベンチャーに対しては、『②経営者の魅力度』『③ビジネスモデルの優位性』をより細かく調査(デューデリジェンス)していくことになります。


〚数字の裏付けと起業家独自の解釈〛

 単純に『市場の規模(額)』や『市場の成長率』を知りたいなら、インターネットでいくらでも数字を拾うことができます。
政府や協会、関連団体などが発表している統計資料や調査レポートを参照しましょう。
 しかしながら、単なる数字だけを見て市場の魅力を判断してはいけません
大事なのは『その市場がなぜ規模が大きいのか、あるいは、なぜ成長余地があるのか』という構造的な要因に目を向けることです。
そこには『消費者行動/価値観の変化』『政治方針や法制度の変更』『テクノロジーの進歩』『経済環境の変化』『メガプラットフォーマーの台頭』など構造上の変化が必ず存在します。
「市場規模」という『概念的な数字』を起業家がどのように捉えているのか?を探ることが非常に重要になるわけです。
 なぜならば、事業というものは需要に対して適切なタイミング、質、量、方法で供給をすることで成り立つわけですから、戦う市場に対して誰よりも本質と細部を理解できていなければ、市場にフィットした勝ち筋を見出すことはでません。
 こうした市場認識について起業家が独自の視点で語れてはじめて、市場規模とその成長性の数字が現実味を帯びてくるというわけです。


〚具体的な調査項目と考え方〛

 『市場成長性』を評価する時に具体性にどういった項目で調査していくかを下記にリスト化しました。

• 市場規模
• 市場変化
• 変化の要因
• リスク/課題
• 市場構造
• 最新事例
• 成功要件


 私はそれぞれの項目に対して、より細かく調査項目を分解して投資検討をしていました。
上記の項目とそれを更に分解した項目の説明は、次回記事にする予定の『CVCデューデリジェンスの実務』でお伝えしたいと思います。
 ここで重要なことは、先に述べた通りで、『市場規模と成長性に対してどれだけの裏付けや根拠をもって認識できているのか?』という論点で調査することです。
これさえ抑えておけば問題ありません。調査項目の切り方なんてものは人それぞれですから、あまり拘る必要もありません。


〚投資検討(意思決定プロセス)で起こりうる失敗〛

 実際に投資検討を行う際は、投資決定をする役員と議論を重ねる必要があります。
自分だけが投資したいと思っても意味がありませんので、如何にして投資実行まで推進するか、あるいは健全な判断によって投資を取り止めるか、を自らファシリテートしていく必要があります。
この投資の意思決定プロセスにおいては、やはり投資役員やメンバーとの認識の違いやコミュニケーション齟齬によって思わぬ方向へ議論が流れてしまうことがよくあります。
私自身、調査報告や合意形成には非常に苦労をしました。
そのため社内意思決定プロセスにフォーカスしたシリーズを作成することも考えてはいますが、まずここでは『市場成長性』の範囲に限定して『失敗』を共有したいと思います。

続きの記事↓
コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務 vol.3『投資判断の方程式』 https://note.com/mem_yu/n/n32aa50231a8a


vol.33

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