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コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務 vol.1『投資判断の方程式』

【即戦力となる実践的な考え方とテクニックが学べるnote】
(⚠有料化を検討中の記事)

足を引っ張る大企業』『ベンチャーを支える大企業』どちらになるかはCVC担当の腕次第。


〚この記事から得られるモノ〛

• CVCの運用スキルが身につく
新規事業の考え方が身につく
投資業務のノウハウが身につく
経営視点の思考法が身につく


〚本シリーズの目的と意義〛

 この『コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務』シリーズは、私がCVC担当として実体験から得た学びを共有するnoteです。
 日本市場では海外市場に比べて、ベンチャー投資や新規事業の経験値とノウハウが少なく、投資先含む関係会社との連携がうまくいかない事例が多発しています。
 成功体験や失敗事例から学んだ考え方やテクニックを事前に知っておくことで皆さんのビジネスの成功確率を高めることをこの記事の目的としています。


〚ここで得られる情報の背景〛

 私はリテール大手企業で新規事業として立ち上げたCVCの初期メンバーとして3年間ベンチャー投資に携わりました。
自社には投資ビジネスの知見もCVC経験者も皆無の状態でした。
「独学でとにかく突き進んだ3年間」の過程では、ベンチャー投資に携わる多くの関係者の力をお借りしました
その点において、多くの諸先輩方のノウハウや知見を掛け合わせて今の私の考え方や実践手法があることに心から感謝しております。
 少しでも役立つ情報が皆さまに届くことを願います。


〚投資判断の方程式〛

 様々なポリシーを持って投資家は投資判断を下しますが、CVC運営においては社内の意思決定プロセスを円滑に進める上で、投資判断のフレームが存在しているとコミュニケーションがしやすいと考えています。

その投資判断の方程式というのがこちらです。

投資判断判断の方程式
=①市場成長性
×②経営者の魅力度
×③ビジネスモデルの優位性


 本シリーズでは、大前提となるこの3つの要素についての考え方から話を進めたいと思います。

 ただその前に、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を運営するにあたって『前提として認識すべきコト』をお伝えします。
多くの事業会社ではCVCの本質が理解されずに運営がなされています。
これから話す内容は成功のためには絶対に抑えるべき『大前提』であると認識いただきたいです。


〚CVCの前提として認識すべきコト〛

 そもそも新規事業やイノベーションというのは、99%の人が理解できないからこそ『』なわけです。
つまり、ロジックだけでは語れない『非常識の連続』であり、論理性を正義に仕事をしてきた一般のサラリーマンである私たちが理解するのには非常に難しい領域です。
 更に言えば、もしCVCを担当する社員が今までのキャリアにおいて、社外交流が少なく、マクロ環境の知見や感覚を持ち合わせていないのであれば、担当者のビジネスセンスによって投資の良し悪しを判断することも非常に困難だと言えるでしょう。
 日本市場においてコーポレートベンチャーキャピタルはまだ新しい分野ですから、長年ベンチャーキャピタルに従事していない限り、「過去の成功体験をもって自分の力だけで適切な投資判断ができるんだ」という考えは捨て去るべきだと考えます。
 加えて、ベンチャー投資には不確実性要素が多分に含まれるのに対して、大企業の意思決定プロセスは合理性を高めることを目的としています。過去の実績に裏付けされた既存事業の運営には「リスク最小化のための合理性ある判断」というものが必要不可欠だからです。
 しかしながら、ベンチャービジネスという不確実性の高い事業への投資判断をその既存ビジネスの合理性と同様の判断基準で語る事例が跡を立ちません。
事業の規模やフェーズによって経営判断や投資判断の基準は全く異なる」ということを理解しておく必要があります。
 ではどうすれば良いのか?それは、CVC担当者がその投資対象となる事業領域のプロや投資経験者との交流を大切にして、不足する情報や考え方の視点を身につけていくことが何よりも重要だと考えます。
 そしてそれは、CVC側だけでなく、ベンチャー企業やその株主(投資家)にとってもメリットのあることでもあります。
間違った認識を持ったままベンチャー企業の株主となったCVC(事業会社)ほど、後々のディールで足枷になっているのを私は多く目にしてきました。
最悪の場合、ベンチャー企業の成長を阻害し、殺してしまう可能性だってあります。

 大企業の既存事業の感覚は、ベンチャービジネスにはほぼ通用しないことを前提とした上で、スタートアップの『非常識の連続』に対してどのように向き合うべきか、を常にゼロベースで考えるべきだと考えます。

 ベンチャーが羨むほどのリソースを大企業は保有しているわけです。「先に説明した前提の上にCVCは成り立つんだ」ということを認識すれば、ベンチャー企業にとってはこれほど心強い株主はいないと思います。


〚前提のまとめ〛

• 新規事業とは『非常識の連続』である
• 既存事業とベンチャー投資の経営判断は全く異なる
• ベンチャー投資のノウハウが自社には不足している
• その上で、知らないことはその領域のプロや経験者に頼る


 では、さっそく次回より、CVC担当として意識すべき〚投資判断の方程式〛を説明していきます。

続き記事↓
コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務 vol.2『投資判断の方程式』 https://note.com/mem_yu/n/nbbd472dec8bc


vol.32

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