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秋山幽
2019年8月7日 10:29
スマートフォンから響く素っ気ないアラーム音で目を覚まし、怜は誰に憚ることもなく大あくびをした。緩慢な動きでアラームを止めると日付が目に入り、ああ、と小さな声が漏れた。菜々緒がこの部屋を出ていって、今日でちょうど二ヶ月だった。 ダブルベッドの使われなくなった半分へと、知らず視線が向いた。モノトーンの調度で揃えた寝室の中で、そこに残ったままの菜々緒の枕だけが、ぽっかりとパステルブルーだった。 も