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アルゼンチンの旅編ー移民のルーツに思いを馳せる

 みなさん、こんにちは、ブエノスアイレスに来て半年が経ちました。住んでいるアパートをホームと思えるぐらい、ここの生活になじんできました。
 そんな週末、仕事も兼ねてアルゼンチン第二の都市、コルドバにやってきました。コルドバ大学がある一帯は世界遺産として登録されていて、古い欧州の雰囲気を残しています。
 街中散策を楽しんだあとは、日帰りバスツアーに参加しました。行き先はラ・クンブレシータ(小さい峰)、人口1000人の小さな村です。15世紀のドイツがそのまま残ると言われる山間地区で、車の乗り入れは禁止です。
 入口付近で車を降り、ツアーの仲間とともにのんびり歩きます。山あり、谷あり、川あり、豊かな自然の中を歩くと自然に深呼吸したくなります。このnoteのタイトル写真にした Carpe Diem の標識に差しかかると、一人のツアー仲間が声をかけてくれました。
「Carpe Diemはラテン語で、’今を楽しめ’という意味です。今日の私たちにぴったりね」
 聞けば、三姉妹でこのツアーに参加しているとのこと。普段はそれぞれ、広いアルゼンチンの異なる地方に住んでいますが、ことあるごとに集まって旅を楽しんでいるそうです。私が一人だったのでランチのテーブルにも誘っってくださり、話に花が咲きました。

「ここはドイツからの移民が住み着いた場所。だから今でもドイツ風の建物がたくさんあるでしょ。ほら、ドイツ人は頑固だから(笑)、ずっと古いものを守っているの」
「私たちの家族はスペインのバスクからアルゼンチンに行きました。私たち姉妹は3世だけど、子どもの頃は少しバスク語を習いました。すごく難しくて、全然できなかったけどね」
「私はすごく日本に興味があって、近いうちに行きたいと思っているの。でもちょっと地震が怖い。経験したことがないから、地面が揺れたら歩けるかどうか心配…」
「川端(康成)、村上(春樹)はアルゼンチンでもすごく人気で、翻訳されているからよく読んでいます」
などなど、3人が代わるがわる話すのでとてもにぎやかです。

 そのうち、アルゼンチンに住む日系の人たちの話になりました。
「うちの近くにも日本からの家族がいます。ヨーロッパからの移民と違うところは、私たちは世代が進んで、いろいろな結婚があって混ざり合っているけど、日系の人たちは今でも自分達のコミュニティーの中で生きている感じがします。外見からわかるということもあるけど、もっと何か考え方とか価値観とか、そういう点でも違っている印象を受ける。こんなこと言って失礼だったらごめんなさい」
 これは、この半年で私もぼんやりと感じていたことなので、やはりアルゼンチン人にとっても同じ印象があるのかとうなずいてしまいました。
 私のアルゼンチンでの任務はこの日系コミュニティーのお手伝いをすることです。日系として生きる誇りを持つ人たちに、これから何ができるのか…、帰り道、心地よい疲れとともにバスに揺られて考えたのでした。
 私の旅はまだ始まったばかりです。

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