舞台の上で。

舞台の上からの景色が好きだった。

大人になると、舞台の「客席」に座ることが増えた。
演奏会、演劇、講演会、イベントなどなど…
客席に座ってステージの上を見ることが普通。
舞台上の演者側からの景色はなかなか見ることができない特別なものだ。

吹奏楽部に入っていた私は、ステージの上からの景色がとても好きだった。特に未だにコンクールの時の景色が忘れられない。

コンクールでの何とも言えない高揚感、
吸い込まれるような暗い客席、
曲が始まる前のブレスの音、
終盤に向けての高まり、
演奏が終わった後の一瞬の静寂の間、
そして客席からの拍手とブラボー!という声援。

定期演奏会では緞帳が上がると、最前列には必ず野球部男子が陣取っていて、何かと盛り上げてくれていた。

客席ではアイドルのライブのように手作りのうちわを持ってきてくれてる子もいた。

今でも楽器を吹きたくなるけど、あんな経験は高校生だったからできたこと。もう2度と味わうことはできないと思うと、少し寂しさもありつつ自分の心にはしっかり刻まれている。

アルトサックスを吹いていた私は、定期演奏会などではよくソロを吹いていた。
通常は目立つことが苦手な私だったけど、楽器を吹いているときは楽しかった。ソロが近づきどきどきしながら立ち上がり、ステージの前にあるマイクに向かって吹く。今考えると顔を覆いたくなるような恥ずかしさだけど、当時の自分は緊張しつつ楽しんでいた。

私は同期に比べて音楽の知識も吹奏楽の知識も浅かった。
でも、いまだに時々コンクールで吹いた曲を聴くとやっぱり心がワクワクする。
過去にとらわれすぎるのもよくないよなぁと思いつつ、
私の好きなことでもあるのでまぁいいかと受け止める。

まさに青春、ありきたりな言葉で恥ずかしいけど、この言葉にいろんな思いや経験がギュッと凝縮されている。

テレビでコンクールに向けての密着番組なんかを見ると、「あぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~」ともうやられてしまう。笑
いろんなことを思い出しては、心がきゅっとなる。なんだか甘酸っぱい思い出だ。

もうあのステージに立つことはできないけど
これからはステージの下から、心が躍る経験をしていこう。

今年もたくさん音楽に触れて、紡いでいけますように。



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