悪魔の館

濁流に押し出されるような勢いで
悪魔の館から逃げて逃げて
大切なものを忘れてきたような不安に
一瞬でも振り返れば罠にはまる
悪魔の館から連れ出してくれるその手を
溺れる者が必死に掴むように
彼女は奇跡を見た思いで走り続ける

まるで巨大な姿でこの私の行方を全て見下ろし
その爪で弾かれその指先で潰されるように
簡単にあっけなく砕かれる存在を
引きずるように逃げて逃げて
やっと辿り着いたそこもまた悪魔の館でした

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