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1993年 SideB-6「CROSS ROAD/Mr.CHILDREN」

桜井和寿作詞・作曲 小林武史・Mr.CHILDREN編曲

・「同窓会」(日本テレビ系 1993/10/20~12/22)主題歌

 日本テレビ系水曜10時枠10月クールドラマ主題歌。90年代以降の日本のポップス界を文字通り背負って立ったグループのひとつ・Mr.CHILDREN、初めてのドラマ主題歌にして初のミリオンセラー。歌い出し(「Lookin’ for love 今建ち並ぶ」)の脚韻の鮮やかさに感じた衝撃は、その後の彼らの快進撃を予感させるに十分な、さわやかな革命であった。そして清涼感あふれるこの主題歌が、結果的にドラマの成功にも大きな役割を果たしていた。

 「同窓会」はそのテーマと描写の過激さゆえに、テレビドラマ史上一、二を争う問題作と呼ばれた。西村和彦、高嶋政宏、山口達也、国分太一らが演じる男性の主要登場人物は、ほぼ全てゲイかバイセクシュアルで、そこに主人公・斉藤由貴と田中美奈子ら女性陣も果敢に絡んでいった。設定自体が相当スキャンダラスである上に、ストーリー展開のぶっ飛び方もハンパではなく、当時から突っ込みどころには事欠かなかったが、このドラマの最も特徴的だったところは、脚本にも演出にもそして演技者にも一切冷笑的な姿勢がなかったことだろう。それはファンタジーとしてのリアリティーを生む最適の方法論(大映ドラマによく見られる)でもあったろうが、このドラマの場合、行為や裸体を逃げずに見せる誠実さと熱量が、有無を言わさぬ肉体的な説得力を生んでいたのだといえる。

 とにかく男性の全裸シーンやセックスシーンが多数登場したため、やり方次第ではもっとずっと安っぽく下品なドラマになっていただろうが、最後の一線で持ちこたえていたのは、スタッフやキャストの真剣さゆえであった。脚本を手がけたのは井沢満。すべての企てを受け入れて、真正面から逆風に立ち向かった見事な脚本であり、演出も演技も確かにそれに応えた稀有な作品。これもまた、もう二度と作り得ないドラマであろう。

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