見出し画像

1994年 SideA-9「サラリーマン/忌野清志郎」

忌野清志郎作詞 肝沢幅一作曲

・「ボクの就職」(TBS系 1994/4/10~6/26)主題歌

 TBS系日曜9時枠4月クールドラマ主題歌。そして矢沢永吉の初主演ド
ラマと同じクールの日曜劇場に忌野清志郎をキャスティングしていたのだから、この時期のTBSはなかなかカッ飛んでいた。後年役者として数多くの映画やドラマに出演した清志郎だが、この頃のドラマ出演はまだ珍しかったのでこの出演もまた大きな注目を集めはしたが、矢沢の場合のようなセンセーショナルなニュースには映らなかったかもしれない。売れないミュージシャン役というイメージを裏切らない役柄のせいもあるが、何よりこのころの清志郎の活動がなんでもありの百花繚乱期に突入していたからである。

 1991年のRC活動停止からの3年間(「パパの歌」のソロヒット、細野晴臣・坂本冬美とのHIS、ブッカーT&MG’Sとの共演などがあった)も凄まじかったが、94年の清志郎はもっと慌ただしい。2•3’sの活動を一段落させつつscreaming revueをバックにしたソロツアーを開始、8月にはチャボとの一夜限りの復活野音ライブ“GLAD ALL OVER”を行う一方、竹中直人監督の映画「119」で映画音楽に初挑戦、5年ぶりにタイマーズも復活させた。正直変化が激しすぎて、ドラマ出演くらいでは誰も驚かなくなっていたのである。

 それでも主題歌を清志郎に歌わせたことにはとても大きな意味があった。この「サラリーマン」は清志郎が自発的には絶対に書かない(おそらくは)種類の曲で、仕方なく書いてる感満載でありながら当時の「日曜劇場」のスピリットを一撃で撃ち抜く印象的なテーマソングになった。この時期の「日曜劇場」はまさに「終わらないサラリーマンのドラマ」だった(個人的には次のクールの日曜劇場「オトコの居場所」に出て、三浦友和と共演していたら結構話題になっていたと思う)。

 「ボクの就職」は仙道敦子と結婚直後の緒形直人主演。脚本は竹山洋。2017年に亡くなった渡瀬恒彦がダブル主演とも言える父親役で共演していた。社長役で伊東四朗も出演しているが、渡瀬と伊東はTBSの「十津川警部シリーズ」での共演が始まったばかり(1992年放送開始。シリーズ初期は竹山洋が多く脚本を手がけていた)。最終的に2015年まで全54作でコンビを組む間柄となっていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?