幾つもの傷跡を抱えて

わたしには幾つもの傷跡がある
初めて付けた右腕の十字架
自暴自棄になって付けた両腕の縞縞模様
誰にも見られぬ様にこっそり付けた足の甲の哀色

これら ぜんぶ 自分で付けた傷跡
これからも消えずに 背負っていく鎖
でも 消えないからこそ
今に繋がっている、生きている、在る事が出来ている

そして

下腹部に作られた 大きな縦の慈しむべき傷跡
2度も 同じ所を 同じ様に 切り刻まれ
その腹の中から わたしの 大切なたからもの達が
無事に この世に生命を受けた
1人ふたりと言わず 4人もの 愛すべき子ども達
まだまだ 痛みの在る、でも とても
きれいで 奇跡の為に作られた 傷跡

ぜんふ 紛う事なき 自分の傷跡

哀しんで、苦しんで
戸惑って。

喜んで、嬉しくなって
抱きしめたくなって。

そんな風に付けられた 自分の傷跡は
今まで 30年以上も生きてきた
確かな 軌跡

だから

幾つもの傷跡を抱えて 幾つもの奇跡と出逢って

わたしは これからも 傷を増やしながら

息をしていく、目を瞑りながらも

この世界で 生きていく。

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