私はMくんにとっての何者になりたいのか


皆さん毎日お疲れ様です、椿(ツバキ)と申します。

私はFセク(Fロマ)当事者であり、現在は非実在の恋人(以下Mくんとする)と暮らしています。

今回は、私がMくんに抱いている複雑な気持ちと、自身の恋愛観についてお話しようと思います(あくまで一個人のスタンスであり、他人に強要するものではないということをご留意ください)また、それも踏まえて私自身が彼にとってどのような存在でありたいか、ということも改めて考えてみたので、よければ最後までお付き合いください。


■彼への気持ちが変化した経緯


惚れっぽく、また恋愛脳な私にとって、Mくんは極めてイレギュラーな存在です。
というのも、私はつい最近までMくんのことを恋愛対象としては見ておらず、ただひたすらに尊敬の眼差しを向けていたに過ぎないからです。

なんなら、Mくんへの気持ちを自覚する前まで1年以上付き合ってきた非実在の恋人がいましたし(彼とは円満にお別れしました)、もうずっと前から知っているMくんに今さら恋するなんて想像すらしていませんでした。

私にとって、好きなキャラクター=性的に見てしまう人(異性として惹かれていて、付き合いたいor行為をしたいと思う人)なのですが、Mくんは唯一これが当てはまらず、どちらかと言えば私の理想像であり、目指したい姿(見た目も中身も)というポジションでした。

それが今さら、本当に今さら好きになってしまって自分でも酷く混乱しています。

 Mくんへの気持ちに変化が訪れたのは、去年の11月頃だったと思います。彼に憧れ、彼の母国語に関する資格に合格したあたりから、それまで「憧れのMくんみたいになりたい!」と思っていたのが、「もっと努力してMくんと対等になりたい!」という気持ちに変わりました。

これまでは私がMくんにどう思われるかなんて全く気にならなかったのに、月日が経たては経つほどに「Mくんにこう思われたい」という気持ちが、Mくんになりたい気持ちを上回るようになりました。

所謂、下心というやつです。

Mくんの祖国の文化や言語について学ぶのも、見た目を綺麗にしようとジムに通い始めたのも、もう何年もショートにしていた髪の毛を伸ばしているのだって「Mくんに好かれたい」「Mくんに綺麗だと思われたい」という下心が故の行動になっていきました。

とはいえ、これが結果として自己研鑽に繋がっているので、下心自体を否定するつもりはありません。ですが、それでも動機が変わったのは事実です。ヘテロの恋愛において、憧れの気持ちがいつしか恋愛感情に変わることが多々あるように、Mくんへの気持ちも変化したのだと思います。


■無条件に愛してもらえるなんて思っていない


セクシャリティを問わず、基本的に恋愛はギブアンドテイクの関係であると思っています。自分にとって何らかのメリットがなければ、相手に恋することもありません。それは有形の産物に限らず、精神的なものや感情面といった、無形の産物も含まれます。

自分を精神的に(あるいは身体的に)満たしてくれる相手の特徴といえば、何が考えられるでしょうか。

自分を理解してくれる人、価値観が合う人、優しい人、自分と同等の知識を持っている人、話が合う人?それとも魅力的なボディを持っている人、あるいは見た目がタイプの人でしょうか。

きっとどれも正解で、相手に好かれるためには、相手にとってメリットになる何かを持ち合わせていなければなりません。

よく「現実でモテないから2次元に逃げたんだ」という文章をネットで見かけます。色んな人がいると思いますが、少なくとも私は、相手が非実在だからといって何の努力もせずに好きになってもらえるとは思っていません。

いくらこの恋を誰かに認めて欲しいと願ったところで、自分が生きているこの現実でモテるための努力をしていなければ、説得力に欠けると思います。

Mくんに対しても同じです。彼はとてもストイックな人で、理想や目標のためなら努力を惜しみません。私は、そんなMくんから沢山の物をもらいました。それは形あるものではありませんが、よりよい人生を歩むために必要な考え方であったり、心構え(マインド)だったりと様々です。

彼は魅力的な人物であり、私が彼を好きになる理由は沢山あります。ですが、少なくとも今の私には彼に与えられるものがありません。

それって全然フェアじゃないですし、こんな私でも彼は愛してくれる♡何もできない弱い私も許してくれる♡なんて宣って何の努力もしていなければ「2次元に逃げてる」と思われても仕方ないです。

何より、Mくんのような人が受け身の人間を好きになるとも思えません。彼を愛し、彼に愛されたければ、自分の価値を引き上げるしかないと考えるようになりました。


■Mくんにとって自分がどのような存在になりたいのか


ここまで長々とお話してきましたが、じゃあ具体的に私がMくんに与えたいものって何なんだ?という肝心な部分に触れていきたいと思います。

結論から申し上げますと、私はMくんが疲れた時に背中を貸してあげられる存在になりたいです。

Mくんは決して弱い部分を見せません。いつも強気で、真っ直ぐで、目標に向かって途方もない時間と労力をかけることを惜しまない、粘り強く一途な性格です。劣等感を腐らせることなく、逆に原動力にして己の糧にしてしまうような人です。

彼は間違いなく強いですが、もし一時でも立ち止まったり、休みたいと思ったときに、何を言わずともありのままの彼を肯定してあげられる存在でありたいです。何もかも一人でやってのけて、たった独りで突っ走ってしまう彼の、決して揺らぐことのない絶対的な居場所でありたいです。

そのために、もし彼の身に何があったとしても、どんと構えていられるぐらいの心の余裕と自立心は持ち合わせておきたいところです。

余裕と自立心を手に入れるために必要なのは、知識と経験です。ただ彼に依存するだけの女ではなく、一人で生きていけるだけの強さを備えた上で彼と一緒にいたい。対等な関係を築くって、きっとそういうことだと思います。

でなければ、彼を支えるどころかお荷物になってしまいます。そんなのって全然フェアじゃないです。

彼の帰りを待つだけではなくて、お互いに肩を貸したり預けたりできる関係を築きたい。そうすれば、どんなに辛いことがあっても生きていけるかもしれない。最近はそう強く思います。

私はMくんのようなスピード感で成長することはできないかもしれませんが、いつかMくんのいる場所まで辿り着けるように日々を生きています。そして、その頑張りこそがMくんへの愛の証明になると思っています。これは単なる自己満足に過ぎないのかもしれません。ですが、それでも昨日より今日、今日より明日、前に進めるのなら、Mくんに近づけるならそれでいいじゃないですか。

こう告げたら、彼はぶっきらぼうに「アンタの人生なんだ、好きにすればいいだろ」と言いそうです。笑
きっと私の考えなんて気にも留めないだろうけど、私が頑張っていることは見てくれているような人だから。

私の憧れであり、目指したい姿であり、好きな人でもあるMくん。
彼によって形作られた私は、今日もこの世界に存在しています。


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