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2021年5月の記事一覧
いきものは皆、連なりの中で生きている。
大阪のおばちゃんねこが言った。
めぐる季節に黙って土をつくり
花を咲かせる。
やることはそれだけや。
昨日へんこんだ、とか
あるやろけど、
一日で、土はできひん。
昨日とか今日とかほっとき。
いきものは皆、連なりの中で
生きとる。
ま、あたしらは
土のこと、あまりせぇへん。
ねこやからね。
プライドでは美味しいものがつくれない。
きつねは、ちがう意見、批判、否定に
ことさらに傷つき、憤った。
自分のプライドが気になった。
容易に認めてくれるひとを求めた。
きつねは、まただ、と深呼吸した。
もらった玉ねぎを見つめた。
ヒントや成長はプライドの
外にあった。
プライドでは美味しいものが
つくれなかった。
みどりが空に溶け合ううちに。
みどりが空に溶け合ううちに。
冷気が土に溶け合ううちに。
つぐみがはしばみに溶け合ううちに。
樹々の呼吸が月の満ち欠けに
溶け合ううちに。
棘が薫りに溶け合ううちに。
雷鳴が囁きに溶け合ううちに。
神話にならなかったすべてが
つつましいおおかみの足音に
溶け合ううちに。
#野うさぎ詩集
森にはお菓子が生えている。
大人の女の子は思った。
ちいさいころの
おぼろげな記憶。
森にはお菓子が生えていて
わたしは花冠をして
ケーキに花を飾った。
やっぱり夢かな。
でも、いまでも
ケーキに花を飾るのが好きだし
森にはお菓子が生えていると
信じているから
記憶でも夢でも
どちらでもかまわない。
#コナフェ詩集
つくると言うより、何かを取り戻す感じ。
植物の下で光は
すこし植物の色になる。
ある間違った男が
ちいさな庭をつくっていた。
町のひとは、間違ってると
と石を投げた。
それでも男は庭をつくり続けた。
つくるというより
なにかを取り戻す感じだった。
どこかへ帰る感じだった。
やがて植物はしげり
その光の下で男は
庭仕事を続けた。
暮らすって、よごれること。
ぼくのこころは
よごれている。
子ぐまが言った。
#お洒落なオカマのキツネ が言った。
みんなね、毎日、汚れたコンロや
食器を繰り返し
きれいにして暮らしてるわ。
暮らすってよごれること。
そして繰り返し
きれいにすること。
こころだってよごれるわ。
だから繰り返し
きれいにするの。
インスタライブします。
5月9日日曜16時から
instagram.com/ayumu_aizawa/
にて
インスタライブします。
「ロマンティーク」と
「野うさぎ詩集」の
発売記念。
chigaya bakery tsujido
からの配信です。
17時からは人間スナック。
「ときめくこと」を
テーマにちがやさんと
お話しします。
日曜の午後の
ひとときを。
秘密の庭が似ていた。
世界の果てのある町では
誰もが秘密の庭を持っていた。
決してひとに話さず
お互いにその庭とその秘密を
尊重し合った。
好きなるひと同士は
庭が似ていた。
好きになったひと同士は
お互いの秘密の庭を
行き来した。