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「月夜の川面」

月夜の晩に 窓から見える
ひとつの球体 今宵は素敵

部屋から見ると その月は
川面に映り 美しく

外から見ると その月は
朧に隠れ また綺麗

月夜の晩に 橋の端にて
紙巻煙草 燻らせる
これを吸ったら 橋を離れて
帰路に着こうと 煙を吐いた

窓から見えた 川面に映る
川面に光る まんまるの月

「またあの月が 見れますように」

月夜の晩に 祈りをひとつ
紙巻煙草 ちりちりと
吸い終える頃 朧は晴れた

月夜の晩に 家路を急ぐ
からりころりと 下駄が鳴る
今宵の月は 心を晴らす

雲は急いで 何処かを目指す
月は動じず 我等を照らす

我が家に戻り 小窓を開く
あの球体は 高度を上げて
川面にはもう 映らなかった

高々と光る あの月は
川面の後に 街に煌めく

月夜の晩は 瞼閉じると
終わりを告げて 朝を迎える

月夜の晩が 終わった後に
迎える朝よ 迎える朝よ
どうか素敵な 朝であれ


私が溺愛する詩人である、
中原中也の「月夜の浜辺」を
オマージュして詠ませて頂きました。
中学一年生の教科書に載っています。
一年生の授業を担当すると
この詩の授業が楽しみでなりません。

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