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「ユビキリ」

お迎えを待つ 一人の生徒
人懐っこく 会ってふた月
それを全く 感じさせない
何処かで会うと ハイタッチする
そのハイタッチ 私を照らす

私の核は 哀愁である
哀しみ愁う 黒い塊
教え子たちの 眩しい笑顔
黒を明るく かき消してゆく

お迎えを待つ 一人の生徒
私とひとつ 約束をした

「先生が帰るまで待ってるね」

野暮用を終え 急いで降りた
その子はいない お迎えが来た
親御様にも 都合があるさ
迷惑かける 訳にはいかぬ
我は哀愁 照る太陽は
帰るべき場所 そこへと帰る
分かっていても 寂しさ募る

お迎えを待つ その生徒は
明日と明後日 行事で不在
次に会うのは 月曜の朝
すぐに会えるよ それでも何故か
永遠の別れを 感じた心地

感情が闇 そんなことない
その子がくれた 残光がある
嗚呼ありがとう 来週会おう

依怙贔屓する 訳ではないよ
我の教え子 皆大切よ
私に笑う 私を睨む
私を見ない 私と話す
教え子みんな 大好きですよ
この言葉には 嘘は無いんだ
例え好かれて 例え嫌われ
どう思われても 私にとって
大切な生徒であるのだよ

我は別れが とても嫌いだ
取り残された 我は哀愁
哀愁にただ 包まれるだけ

いつか教え子 送り出さねば
送り出す時 きっと泣いてる
それは喜び それは哀しみ
色んなものが 入り混じってる
涙で濡れる 表情だけど
心の中じゃ 笑っているよ

大切な人 大切な人
どうか私を 置いてかないで
我儘だけど 置いていかせて
哀しみはもう 懲り懲りだから
最期の時に 笑っていたい

それが私の ただ一つだけ
持って離さぬ お願い事よ

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