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「朝霧」

昨晩、渇き切った海の底へ私は沈んだ
黒塊と寄り添うように、哀しさに包まれた
仲間の助けもあって、寝る間際に水底から
光差す水面へと浮かび始めた
眠っている間に、水面へと浮かび上がっていた

目覚めたのは六時を知らせる鐘だった
心は重たく、再び沈みそうになる
乾いた大地に佇む、
渇いた大海原へと。
だけれども、その道程を阻むものあり

外を見ると、深い深い霧。
昨日、どうやって底まで行ったんだっけ。
昨日、どうして底まで落ちていったんだっけ。
行先を見ようにも、霧の所為で見えない。

とりあえず、重低音に浸ってみた
気がつくと、私は叫んでいた
前を向き、息をする為の咆哮を

気がつくと、私は鍛錬に励んでいた
叫びながら、身体を鍛えていた
朝食を終え、窓を見るとお陽様が
私の行先を導いていた

とりあえず、陽の差す方へ向かってみるか
少し冷めた珈琲を啜りながら、
紙煙草を吹かしてふと思った
明日は自由の身だしなぁ
休日の前の日の俺は強い
妹の言葉を少し拝借するのなら、
そんなマインドにしてくれた朝霧だった

道筋が見えている時の霧は
旅人を迷わせる
道筋も何も見えない時の霧は
旅人を適当な方向に歩ませる
そんな気がした霧の朝
適当な方向に歩を進めて、
最も適当な結果が待つ事を祈ろう。

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