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【詩】廃線

かつて人か物を運んだ列車が走ったレール
用済みになって列車が走らなくなってもね
君はずっとそこに敷かれたまま残っている

いつか外されて取り壊されるかもしれない
コンクリートの上塗りで消えてしまうかも
君が支え続けた証はいつまで残るのかなぁ

列車は敷かれたレールの上を走るしかない
そこから外れれば所謂脱線になり暴走する

人間は、レールが無くとも進む事が出来る
敷かれたレールと別の道を進む事も出来る

停車駅も停車時間も自由自在で
どこで折り返すかも自由自在だ

時刻表通りに進まないといけない時もある
自分という車輌が徐々に壊れてしまっても
ブレーキが利かなくなって加速し続けても
脱線して木端微塵になる事が解っていても
進む事を止めてはならない時もあるんだよ

列車は故障したところを修理すれば走れる
ひとは心が完膚無きまでに故障しちまうと
もう修理し走る事は叶わないかもしれない

理解の上でレールに乗り走ろうとしている
乗らなければ朽ち果て二度と走れなくなる
乗ったとしてもいつ破損するか予想出来ぬ
さながら時限爆弾搭載暴走列車の如く走る

出発は二月最後の月曜日、午前七時四十分
終着は、来年三月三十一日の十六時三十分

暴走列車に停車駅は存在しないだろうなぁ
ぶっ壊れたら塵ひとつ残さず消えてやろう
走らなければ消えるより他に無いからさぁ
昔ながらの、燃費の悪い燃料車なんだから
燃料焚べる時間が足りないと走れないんだ
それもまた致し方無し、この道を走るのみ

もし限界が訪れ最期の時を迎えるとしたら
その時は沼の畔か国道の外れか或いは樹海
後悔なく敗戦兵として静かに去っていこう
生に執着した結果どこに辿り着くのだろう

暴走列車と言えども、乗客の運賃が無いと
継ぎ足す燃料すら買えず、走るしか無いの
終着駅に着くのが先か、車輌の限界が先か
走り出さないと結果は誰も分からないよね
走らずしては錆びて朽ちて壊れる自明の理

ぶっ壊れるまで走ってやるよ、よろしく。
俺の走った後の道は暫く残しといてくれ。
俺の跡は次の発車の導になるから頼むぜ。

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