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「喜怒哀楽」

 昨日は二日目の出勤日。子ども達は定期テストで不安と(めんどくさ)が入り混じったような顔をしていたが、登校指導と下校指導でエナジーを回復させてくれるような笑顔を見せてくれたお陰で、九月の二日間は「楽」しかった、と思える日々だった。

 テストで「自信無いです……」という子に対して、「勉強したの?」と聞いたら「少しは…」と答えてくれたので、「少しでも勉強したなら自信持ちな!自信あればその少しがきっと発揮できるから!」と何の根拠もないアドバイスをしてみたが、「うぃっす!俺はできる!できる!」と笑顔でテストに挑みだしたので、そこは「喜」ばしかった。

 そして放課後、主顧問の先生と打ち合わせができておらず、夏休みに数回顔を出した時に「こういうやり方して下さい」と言われていたことを、何とか記憶を遡りながら、去年から教えていた現部長に「俺まだ二日目だから、今までやってきたやり方でやってみて。何かあったら集合かけるから」と任せたら、大勢の後輩達を頑張って引っ張っていた。成長したなぁ、としみじみ感じながら、時折集めて俺の教えてあげられることは教えた。一応、十年ちょいやってきた本職だからね。ただ、戻ってきて申し出てきた欠席者の報告をした時に、俺にとって「怒」と「哀」の織り交ざる対応だったことが腹ン中にずっと引っ掛かった。

 下校指導中、ボス先生が声を掛けて下さったので、あったことを極力俺の主観にならないよう、客観的に(俺なりに頑張って)伝えた上で俺の気持ちを伝えた。ボスは俺が求めていた言葉をいつもくれて、感謝してもしきれない。

 教頭先生から「遅くても七時には帰るんだよ」と言われていたが、その後の会議が長引いた。主任にも「かえって大丈夫だよ」と言われていたが、最後の議題が「俺はこの話聞かないならこの仕事してる意味がねぇ」としか思えない内容だったので、最後まで参加した。教頭先生に「約束守れませんでした、すんません」と言ったが、理由を説明したら笑顔で納得してくれた。

 荷物を持ち、帰る間際まで迷ったが、俺の足は出口と反対方向に進んだ。その勢いに任せ、退勤前に主顧問の先生に「今日は勝手なことして申し訳ありませんでした。お先に失礼します。」と言って帰ってきてしまった。それはその先生のやりたかった戦法を乱したことに対する詫びと、正直怒りの発散だった。言っちまえば、喧嘩吹っ掛けたような形だ。こんなやり方しかできなくてごめんなさいね。

 すっきりしてんだか反省してんだかよう分からんまま、以前俺と同じ職場で面倒見てくれた大先輩と、温かい先輩が外で話を聞いてくれた。こうやってタチ悪い方法でしかガス抜きできない俺にとって、話を聞いてガス抜きしてくれる先輩に恵まれたのは本当に助かる。ありがとうございました。

 喜怒哀楽が混載した二日間だったが、強く残っているのは「喜」「楽」。子ども達が、笑顔で受け入れてくれた。いきなり来た目つき悪い大男に、にこにこしながら話し掛けてくれる。去年まで教えていたり話し掛けてたりしていた子達は、「やっと戻ってきてくれた」みたいな顔で手を振ってくれる。今年から教える子達も、笑いながら話し掛けてくれる。本当に教え子大好き。君達のお陰で、俺は二日間楽しかったよ。いつか慣れてきているのが当然になってきた時にどうなるか分からないけど、やっちゃいけんことしたら「駄目」をスパっと言い、何故「駄目」なのかを、状況に応じた言葉で考えさせ、諭す。よくできたことは、全身全霊で褒め称える。それがあたいのやり方。流れ行く時代に何とか順応して、頑張りましょ。お子達の笑顔のために。

 今回の一曲は丁度今聴いているアルルカン「イン・ザ・ミラー」。歌詞の「愛される事よりも 愛する事の価値を」というフレーズがすんごく好きで、気持ちを前に向かせてくれる。今鏡を見ると、半年前より細くて強くなった男が映っている。俺のやり方が「駄目」だったら、主任が「NO!」をちゃんと言ってくれるそうだ。ますますありがたい。首輪取れてやりたい放題で迷惑かけそうだから、俺も迷惑かけないように仕事のスイッチはONになってしっかりやっているつもりでも、感情に振り回されて今回みたいなことやっちまうから、その時にそれはアカンってこときちんと言って下さる大先輩の言葉に従いつつ、来週からも頑張りまつ。

鏡の中 映すのは
姿じゃなく 生きる様 心の中
踏み込めば この弱さだって
可愛いモノさ

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