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SS14

 おはようございます。結局、今日はお休みを頂きました。
 表題の写真は、昨日の野球の試合前に撮った愛車。ぼちぼちメンテナンスしてあげないと可哀想かな…。
 起きたのは六時半。七時に目覚ましをセットしていましたが、ここ数ヶ月は目覚ましより早く起きる習慣がついたので、アラームを聞いた覚えが殆どありません。良いことかな。そして朝、noteを漁っていたらこんな素晴らしい記事があったので引用させて頂きます。

  私もかつては朝ギリギリまで寝て、慌ててスーツに着替えて出勤する日々でした。生活が変わって、東向きに寝るようになってから朝型の人間に生まれ変わりつつあります。朝の時間は一分でも惜しいですよね。だからこそ、一時間の早起きは色々な部分に目を配れる大切な時間なんだな、と思いました。

 さて、久々のSS。今回のキーワードは分かりやすそうです。ストーリーは脳内で組み上がったので、上手に形にできるといいですな。


SS14「おもひで」

 番号が無い。
 六回、見渡した。ずらっと並ぶ番号の羅列。そこに、僕の受験番号は無かった。浪人が決定した瞬間だった。
 どうしても行きたい大学があったので、猛勉強した。自分には背伸びしてギリギリ届くかどうかのレベルだったので届くように目一杯努力したが、どうやら背伸びしきれなかったようだ。後悔は無いが、やはりとっても悔しい。
 元々理科が好きで、その大学に行くために中学生の頃から勉強し、その大学に手が届きそうな高校を選んだ。理科が好きになり、それだけ情熱的になったのは、中学校の理科の授業で雑談を聞いた時だった。
 その先生は話好きで、授業の必要最低限抑えるべきポイントを簡潔に分かりやすく説明し、授業の最後にノートに授業の振り返りを書く時間を用意していた。その振り返りの時間が、その先生のお喋りタイムだった。そのお喋りタイムに、とても興味を持てる話があった。
 その先生は、授業道具をしまう鞄に高そうなアクセサリーをつけていて、その話をしてくれた時だった。
「これは針水晶っていってね、ルチルクォーツとも言われてるんだけどね、水晶を金色の針が貫いてるんだ。真実を見抜く石、なんだよ。だから私も、真実を見抜ける人になりたいなって思ってつけてるんだ。ま、金運アップのアクセサリーってお店の人に言われて買っただけなんだけどね。」
 オチがあってクラスの皆が笑っていた。僕も笑っていた。でも、先生の話だけでなく、鉱石にそんな意味がある、ということにも「面白い」と思ったことは確かだった。それから、理科が大好きになった。
 鉱石を調べていくうちに、宇宙にも興味を持った。火星に人は住めるのか、木星には、天王星には…と自分で調べれば調べるほど、新たな知識が脳に刻まれていく。それがただただ心地良かった。
 そして、大学でも、何なら大学院にも行って理科を学びたくて、大人になったらこの知識を活かせる仕事をしたくてその大学に挑んだが、現実は思っていた以上に過酷で厳しかった。
 でも、心はさながら大宇宙のように落ち着いていた。すんなりとはいかなかったが、思ったより不合格を受け入れるのに時間はかからなかった。
 翌日、電車を乗り継いで有名なアクセサリーショップに足を運んだ。探してみると、見つけた。ルチルクォーツ。事前に調べていたが、やはりそれなりの値段はする。幸い、お小遣いは割としっかり貯めていたので、お目当てのものは買えた。
 ルチルクォーツのブレスレット。高校生には三万円は大金だったが、払う価値はあると信じた。早速腕にはめて、家路を急いだ。不思議と、心の底から力が湧いてくるような気がした。
 やはり名門の大学に入学するには、とても小さな穴に細い針を通すような狭き門だったと実感したが、来年の今頃には、この針水晶の針を通じてそこを潜り抜けられる気がした。
 親からは、必要最低限のバイトで家にお金を入れることを条件に、自宅で過ごすことを許可して貰えた。狭き門だということは親も承知していたが、だからこそ少し厳しい条件を課したのだろう。快く了承した。
 来年まで、まだ時間はたっぷりある。アルバイトは未経験なので、社会勉強と受験勉強を兼ねた一年間になるだろう。大学・大学院に行くには相応の金銭が必要になるだろう。受験勉強を疎かにしないようにしつつ、自分からも学費の足しにできるように貯金は作っておきたいな。
 ルチルクォーツ・針水晶。金運アップと、真実を見抜く力。ただ着けていれば勝手に金が入り、超能力が発揮されて何でも分かるようになれる訳ではない。それくらい分かっている。結局どうするかを決めるのは自分だ。ルチルクォーツは、それを手助けしてくれるだけだが、それで十二分。やってやる。自分の将来を、この高い買い物で手に入れた綺麗な鉱石と共に切り開いて、死ぬ時には何かしら功績を残せる人生にしてやる。


 できました。私としては、実力相応の一作かな、と思います。お題を見た時は戸惑いましたが、案外やれるもんでした。笑

 さて、前回のキーワードは、

「極夜」「カウンセリングルーム」「偽善者」

でした。少し無理矢理はめ込んだところもありましたが、私としては満足です。何故満足かは、私をよく知っている人なら分かってくれるでしょう。

 今回の一曲は、BUMP OF CHICKEN「カルマ」。天体観測の次くらいに有名なんじゃないでしょうか。今回のストーリーと何処となく重なるような気がしてチョイス。余談ですが、このシングルは「Supernova」と「カルマ」。ドンピシャでしょう?笑

沈めた理由に十字架を建てる時
約束は果たされる

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