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渦中から君へ11

ゴールデンウィークが過ぎたので田んぼには水が張られ、蛙の合唱がはじまる。

ここら辺は住宅街だけれども、点在する田んぼの横を走れば否応無くそれは聞こえてくる。いったい一枚の田んぼにどれほどの蛙がいるのか。途方もない数の鳴き声が重なり、静かな夜に鳴り響く。一見すれば水面にはなんの動きもないのだが、その真っ黒な水の中から間違いなく彼らは顔を出し、ただただ鳴いている。東京育ちのみおさんは、それを想像するだけで気持ち悪いと言っていた。

君もばあばとの散歩の折、蛙を見つけては「かえうかえう」と言いながら追いかけているらしい。でもやはりびびっているようで、しっかりとソーシャルディスタンスをとっての追跡ということらしい。
ばあばの家には君の伯父さんの愛犬ポテチもいるのだが、ポテチくんに対してもやはりびびっている。「わんわーん」と言いながら近くまで寄っていくのだが、いざあちらが積極的になってくると君は身を翻す。ポテチくんもポテチくんでびびりだから、君たちの距離はなかなか縮まらない。ポテチくんもまだ若く、うまい距離の取り方をまるで心得ていない。知らない人には寄り付かないが、飼い主である君の伯父やぼくには自分の身体の大きさも考えずに飛びかかってくる。もう本当に爪が痛いし、甘噛みのつもりでも間違って怪我しそうなレベルだ。そのことを考えると、君とポテチくんがうまくふれあえるようになるにはまだまだ時間がかかりそうだなと思う。

ぼくは最近、ずっと気になっていたドラマシリーズを見始めた。スターウォーズのスピンオフ「マンダロリアン」だ。ひとまず「ゲーム・オブ・スローンズ」をシーズン2まで見たのでちょっとお休みし、ようやく見始めることにした。
スターウォーズと言えば、昨年末に新三部作が一応完結。最後の「スカイウォーカーの夜明け」ははっきり言って冒頭で明かされることにずっこけだし、7から登場したキャラクターたちのほとんどが8,9とダメダメで本当に残念な部分が多かったと感じている。ただ主人公のレイとカイロ・レンはやっぱよかった。とくにカイロ・レン役ではじめて知ったアダム・ドライバーはその後、「フランシス・ハ」や「パターソン」「マリッジ・ストーリー」などの好きな映画で常に存在感を示していて、「カイロ・レンの俳優」ではなくいまやもっとも信頼のおける俳優の一人になっている。早いもんで「フォースの覚醒」の公開からもう4年が経つわけで、スターウォーズに限らず、最近やったばかりと思ってた映画の公開年を改めて知って「え!そんなに前?」と驚くことが本当に多い。
とくに子どもを持つとなおさらそう感じるかも。
なんせ君はすでに2つの冬を乗り越え、3つ目の夏に突入しようとしている。
ぜんぜんそんな実感ないけれど、たしかにいつのまにか歩けるようになってたり、話せるようになってたり、飯食ったり、屁こいたり、できるようになっているのだ。まぁ屁は生まれてすぐにやってたけれども。

こうやって君のこととともにぼくが見た映画やらドラマや読んだ本なんかのことを書いておくことが後々おもしろく感じられるんじゃないかと思ってる。
そうそう、そんなの見てたころだったなぁと。

そんで「マンダロリアン」の話だけど、まだ昨日2話目を見ただけではあるのだが、とりあえず赤ちゃんずるいよね。そりゃかわいいだろうよ。昨日もぼくはトラクターを運転してるとき、それを見学してた君よりちょい若いくらいの男の子たちに手を振った。お母さん2人が抱っこ紐からおろして道路で歩かせたりしてたのよね。なんかもう小さい子が動いてるだけでかわいい。それがマンダロリアンではヨーダだからね。果たして彼が何者なのかも含めて、これからが楽しみですよ。

今朝はいつもより一時間早く起きた君は、昼飯もそこそこにひと泣きしてから午睡に入った。まだかろうじてクーラーなしで寝てるけど、もう夏はすぐそこ。

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