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Hello future!

人生ではじめて家族以外の人と年を越した。

夜を跨いで年を超えるその瞬間、わたしはWEAVERというバンドの年越しライブにいた。神戸出身のピアノロックバンドで、わたしが中学生の頃から長く特別な思いを抱くいちばん好きなバンドだ。

今年の年越しは世間ではやたら「平成最後」と銘打たれがちで、けれどわたしにとっては同時に学生最後でもあった。だからというわけではないけれど、「これだけは絶対に行きたい…!」と思う理由が3つほどあり、大枚を叩いてでも彼らと過ごすことを喜んで選んだ。

( 先に言っておくと、熱冷めやまぬまま帰路にこれを書き始めました。しかも、一睡も出来ず始発で飛び乗った新幹線の中から、です。そのためおそろしく長くなることが予想されます。悪しからず )


理由のひとつめは、国家試験に合格すればわたしは春から社会人になるということ。
今や365日リハビリテーションの時代に突入してしまったので、来年からきっとわたしに「年末年始の連休」なるものは存在しない。こんなふうに「九州から神戸に行って元日の始発に帰る」みたいなことは、新人の間にまず無理だろう。新人が年末も年始もお休み、なんてことはほぼあり得ない、という判断。

ふたつめは、WEAVERと年が明ける瞬間を過ごすのがわたしの数年来の悲願だったこと。
彼らが年越しライブをするのは他バンドと合同で行っていた数年前以来のことだった。当時は憧れながらも、条例の関係もあり「18歳以上限定」の数文字に阻まれていた高校時代。大学生になってやっと行ける…!と思っていたらその年からそのライブ企画が消失。結局叶わぬまま大学4年生になっていたのである。だからこそ、笑っても泣いてもおそらくラストチャンスだったのだ。

そしてさいごに、それがとても彼らにとって思い出深いライブであるということ。
中学生の頃から1番好きと言い続けてやまないWEAVERは、今年で結成10周年を迎える。もともと高校の同級生だった3人組で結成されたそのバンドが生まれ育った場所が神戸で、インディーズの頃からライブをしていたのが今回の会場だった。はじまりの場所で、なお変わらず特別な思いをメンバーもファンも寄せるその場所は、普段日付を跨ぐライブはしていないらしい。けれどWEAVERなら、ということでこの日だけ特別に許可がおりたとのことだった。そんなの…そんなの行くよ……!!

ということでわたしは大晦日の朝出発、彼らとカウントダウンをして、日付が変わってからホテルに戻り、一睡もせぬまま元日の始発で帰るという強行突破を決行したのである。去年は実習、今年は国試の勉強、卒業研究、就活のバタバタでライブに行くのは1年半ぶりだった。結論から言って、今まで過ごしたなかでいちばんの年越しだった。


「SOS」から始まり、「紅白歌合戦」と題して西野カナ「トリセツ」星野源「ドラえもん」米津玄師「Lemon」いきものがかり「じょいふる」などのカバーをメンバーがそれぞれ歌い、「最後の夜と流星」で2018年の夜はおしまい。ぽつぽつと、( どこかぎこちなさというか、彼ららしいグダグダもありつつ )2018年の振り返りをして、5秒前からみんなで腕を掲げながらカウントダウンをして、日付が変わった瞬間、おめでとー!と口々に言い合う。そんな夜は、ほんとうに夢みたいで高揚感と多幸感で溢れていた。
そして新年1発目は「Hello future」なんて、そんなの。まるでライブ全体がひとつの物語みたいだった。「Shine」や「KOKO」の合唱はいつもより大きいくらいだったし、「Shall we dance」や「Boys&Girls」では足も手も限界を感じつつも夢中で飛び跳ね、手を振った。すべてが全力だった。彼ら3人も、わたしたちファンも。


MCの中で繰り返し彼らが言っていた言葉に「年末のいろんな楽しいイベントがあるなかでWEAVERと過ごすことを選んでくれてありがとう」というものがあった。それをうんうんと聞きつつ、こちらこそ!と内心大声で叫んでいたのはわたしだけではないとおもう。2018年と2019年の間にあるその瞬間は、もう二度とやってこない。平成の年明けはもう一生味わえない。そんなときに、わたしたちファンと過ごすことを選んでくれてありがとうと大声で言いたかった。彼らにだってたくさん共に年末を過ごしたいであろう大事な人はいるだろうに。そんななかでもWEAVERとしてライブをする、自分たちの音楽を届けるということを選択してくれたことがうれしくて、それだけでもう充分すぎるほどだった。


10周年に向けた準備の中で、例年通りの地方ツアーはなかった。九州に住むわたしは、自分が多忙だったことが原因とはいえ初めて1年以上彼らの音楽に直接触れることができなかった。ベース担当のおっくんはこの1年のことを「種を蒔いた時期」と表していたけれど、わたしたちも同じように彼らの蒔く種がどんな花よりも綺麗に咲くよう、それぞれ土を耕し、肥料を探し、道具を磨いていたのだろう。それは「WEAVERへの思いを募らせる」という形で。それに応えてくれるのが彼らの紡ぐ音楽で、わたしたちファンが返す愛だ。

3人が紡ぎ出すWEAVERの音楽のきらめきが、どんなときも側にある。かなしいときは寄り添ってくれるし、うれしいときは共に喜んでくれる。変わらなくていい、でも変わってもいい、とまるごと肯定してくれる。そんな彼らの音楽がわたしはこれからもずっとずっとずっと、心から好きだなと深く感じた夜だった。

共に夜を跨いでくれた友人に、あの空間を共有してくれたファンの方々に、素敵な夜をサポートしてくださった神戸varit.のスタッフの皆さまに、そしてなにより、WEAVERの3人に。とびきりの感謝を込めて。ライブレポというより長すぎる手紙ですが、届けばとっても幸いです。


Hello future!


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