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花とゆめ展、まさに夢のような

ポスターが見えた瞬間、あ、ダメかも、と思った。
これはダメだ、泣いてしまう。そう思ったので会場入りする前にグイと力強くUターンして、お手洗いでメイクを直してマスクを着けて、______それから、ゲートを抜けた。原画がある、お祝いのイラストがある。それらは分かっていたはずなのに。なんならそれをお目当てに来たというのに。
東京の青空をバックに広がった世界に、もう胸がいっぱいいっぱいになってしまい、泣くのを必死に堪えた。

……ということで、六本木ヒルズ森タワーで行われている、「花とゆめ展 創刊50周年記念」に行ってきました。気持ちが溢れてしまったので忘れないうちに綴るよ&大好きなフルバの話もついでにさせて!のnoteです。会期は6月30日まで!
今週末がラストチャンス。ぜひに〜〜!



なんだそれ、行く

きっかけになったのは、大麦こむぎさんのnoteだった。


花とゆめ展ですって?!?!となり、すぐに調べた。次の平日休みは水曜日。よしよしまだ間に合う。ということで電車を乗り継いで六本木へ。

ちなみにこれは完全に余談だが、まだ上京する前、夏休みにちょっとだけ六本木をウロチョロしていた時期がある。その頃は「ホェー、東京のピカピカだ」と思っていた。「東京に住む人は、こんなふうにピカピカしてるのか〜」とも。数年前のわたしへ。東京に住む人がみんな、あんなふうにピカピカしている訳ではありません。
慣れなさ丸出しで周囲を見渡しながら美術館へ。何度か行っているはずなのに、方向音痴ゆえしっっっかりと迷ったので、映画館を目指すと行きやすい( と、思う )


花とゆめ展、まさに夢のような

チケットのコードをかざして、いざ。
と、思うより早く、目の前にそびえ立つようにして掲げられし巨大ポスター( という表現で、合っているかしら…… )が出てくる。あちこちで配布されていたフライヤーを拡大したものである。


いつもは文庫本サイズでしか見ないそれらが、バン!と迎えてくれる時点で結構、ウ、と心にクる。美しい……立ち止まりたくなるが、バリバリ入場口なので邪魔にならないよう先に進む。

進んだ先に、天国があった。

ウッ、フルバ……花ざかり……

ちょっとあまりにも情緒が限界だったので、写真がこれしかなくて悔やまれる。
東京中を見渡すように開けた窓から光が降り注ぐようにして、作品が飾られている。お天気の良さも相まって、本当に天国かと思った。

壁面には名セリフが飾られているところも。
後述するが、わたしは、ほんっっっとうにフルバが大好き。この一言だけでもう、この台詞に至るまでのあれやこれやがブワッッッッッと波のように押し寄せてきて、これまた泣きかけた。

撮影可能エリアは一旦終わり、ブースが変わってしばらく原画のエリアになる。それぞれの先生の代表作とその原画が飾られていたり、あとは、草凪みずほ先生と福山リョウコ先生のデスクを再現した展示があったり。アナログ派とデジタル派のそれぞれで、こんなにもお仕事場が変わるんだな……と思った。

メインの展示が終わるとフィナーレを飾るようにして、企画のコーナー( と、呼んだらいいのかしら? ) として、編集部と作家さんの関係性を物語るようなエピソードコーナーがあったり、作家さんがたからのお祝いメッセージがあったり、パタリロのおみくじがあったり。テーマとなっていた、まさに「パーティー」そのものだった。

そしてこれまたジーンとしてしまったのは、最後を飾るブース。なんと、「推しシェアボード」の名のもと、来場者がコレが好きアレが好きと綴ってシェアすることができるのだ。

この距離から伝わるでしょうか 詰め込まれし愛が……

拡大して撮るのは控えたが、遠目でも分かるほど絵を添えたイラストが多い。それも、皆さま本職の方?と思うほどにクオリティの高いものばかり。
そんな素敵なイラストと共にメッセージが綴られているのだが、特に「○○は私の一生のバイブルです」「○○に出会えて良かった」と綴っている方の多いことよ。分かる〜〜〜〜〜!!!

ここで、はた、と気付く。
さっきから泣きかけていたこの感情は、この会場の空気だけによるものではない。昔花とゆめの漫画を読んでいた、あの頃に感じた苦しさや、トキメキや、あたたかさや、そのほか心を掻きむしりたくなるような激しく揺さぶられるあの感情が呼び覚まされているのだ。そりゃ泣くわ。

来場者の方々の中にはグループで来ている方も多く、小声で「ア〜〜これめっちゃ好き」「○○、大好きなんだよね」と口々に話しているのがとても良かった。人の数だけ、宝物としている作品があることの尊さよ。何か強い一つが通っているのではなく、それぞれがまばゆい光を放ちつつ、それがこれほど集まっているから50年も続いているのだと痛感せざるを得ないエネルギーだった。


すこし脱線して、そのほかの漫画の話

今更だが、実は読んでいたものたちはちょっと世代からズレている。すべては母が買い揃えていたものだからだ。少女漫画が大好きな母の影響で勧められるがまま漫画を読んで育った。実家はリビング、自室、寝室、和室にそれぞれ本棚が2.3個あるが、半分近くは多分漫画だ。ゆえに同世代と好きな漫画の話をしようものなら、ここが少しズレる。まあそう言いつつお小遣いでちゃおを買っている小学生だったので、きらりんレボリューションもめちゃモテ委員長もぷくぷく天然かいらんばんも大好きでしたけども。

母はりぼんっ子だったので、買い揃えてくれていたのはりぼんが多い。それぞれの好みが寄ってきた先に花とゆめがあったといっても過言ではない。
ちなみにりぼんだと、吉住渉先生、柊あおい先生、水沢めぐみ先生が好き。特に、「ハンサムな彼女」はフルバに次ぐ人生ベストコミックス。可児修くんがいつまで経ってもわたしの理想のキャラクターです。

わたしの推しシェアもいいですか?します

先ほどの推しシェアボードに便乗して、推し作品の話をさせてほしい。花とゆめ、正直好きな作品がありすぎるが( 花ざかりの君たちへ/なんて素敵にジャパネスク/ひつじの涙/そりゃないぜBABY/カードの王様...etc. 花とゆめ展にはなかったけど、森生まさみ先生の「おまけの小林クン」も超〜〜〜好き )
なんといっても1番は、高屋奈月先生のフルーツバスケットである。
人生におけるマイベストコミックス。わたしの人生のバイブル。もうね〜〜〜フルバが本当に本当に好きなのです。

本田透は都立海原高校に通う女子高生。
唯一の家族だった母親を事故で亡くし、小山で
一人テント暮らしをしていた。
ところがそのテントを張った場所は、同級生の草摩由希の一族が所有する土地だった。
何とか交渉し敷地内でのテント暮らしを
許可してもらおうとしていた時、土砂崩れで
テントも失ってしまい、それがきっかけで
由希が暮らす同じ一族の草摩紫呉の家に居候することに。
居候初日、透は草摩一族の秘密を知ってしまう。彼らは代々十二支の物の怪憑きで、異性に抱きつかれると憑かれた獣に変身してしまうという体質だった。

Wikipediaより引用

あらすじはこんな感じ。
この、「十二支の物の怪憑き」とだけ聞くと、とてもファンタジーの世界のようだが、そうではない。かといってほのぼの学園ものでもない。大きく括ればラブストーリーなのだろうけれど、「人と人とのかかわり」というイメージのほうが強い。フルバis人生。

フルバの好きなところは、誰一人として「なんとなく」存在しているキャラがいないことだ。十二支の物の怪憑きとして出てくるキャラクターがまず十数人、加えてそこに関わる人、と、かなり多くの登場人物が出てくる。けれどその人たちすべてに存在する理由があり、感情があり、物語がある。
だから主人公の友人の弟にまで感情移入してしまうのだ。その証拠に、もちろんいわゆる「王道」の人気こそあれど、サブキャラにも根強いファンが多い気がする。別のところでもチラッと書いたけれど、わたしは、はとりさんが1番好き。


物語自体は正直、「最初から最後までハッピー☆」な作品という訳ではない。漫画とはハッピーなものだと思っていた当時、「なんで」と思いながら読んだ。コンプレックス、妬み、重い絆、家柄、いじめ、懺悔、そのほか人間の暗いところにあるものをフルバは真っ正面から描いている。笑顔が素敵なあの人もあの人も、みんなどこかで深くて暗い闇を抱えて生きているのだと思わざるを得ない。
それでいて、本当に良い台詞ばかりなのだ。フルバは人を愛するうえで、日々を生きるうえで大事にしたいことを全部教えてくれる。

……と、語っていたらもういつまでも終わらない&花とゆめ展が終わるまでに絶対に記事を出したいので、最後に大好きな台詞たちを連ねて終わりにしようと思います。

( 一応調べたけれど、著作権的にアウトでは?となったらこっそり教えてください )


例えば人の素敵というものがオニギリの梅ぼしのようなものだとしたら その梅ぼしは背中についているのかもしれません…っ
世界中誰の背中にも色々な形 色々な色や味の梅ぼしがついていて でも背中についているせいでせっかくの梅ぼしがみえないのかもしれません
……誰かを羨ましいと思うのは 他人の梅ぼしならよく見えるからなのかもしれませんね
私にも見えます ちゃんと見えてます
夾くんの背中にある立派な梅ぼし

高屋奈月/「フルーツバスケット」


たとえば透君が山のような それはもう足許まで溜って身動きできないほどの洗濯物に囲まれてしまったとしましょう?
しかも洗濯機がなくて 一枚一枚手で洗わなきゃいけない  透君は途方に暮れる
本当に全部洗濯できるかな キレイにできるかな
満足のいく結果を自分はちゃんと出せるのかなって  考える度 不安になってくる けれど時間は刻々と過ぎていく
さて透君はどうするべきか

…とりあえず足許にあるものから洗濯してみるといいかもね 
先を気にするのも大切だけど先ばかり見てると
足許の洗濯物に足がからまって
転んじゃうでしょう?
『今』や『今日』何ができるか考えるのも大切

そうやって一枚一枚洗っていけば 
なんだか あっけないくらいにアッサリと
お天道さまがのぞいたりするものだから

不安はそれでもこみあげてきたりするけど
そういう時はちょっと一休みするんだよ
本を読んだりTVを観たりみんなで素麺食べたりしてね

高屋奈月/「フルーツバスケット」

わたしの人生に、花とゆめの漫画達があってよかった。フルーツバスケットがあって良かった。心の底から、そんなことを思う。


( note書いてたらどうしても欲しくなって、ファンブックをとりあえずポチりました )


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