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ハレもケもハレ5 : わたしは家と結婚するのか

お付き合いをしている彼と同棲を検討し始めたのをきっかけに、人生とは?結婚とは?家族とは?を考え始めた今の心境を書き綴ることにしました。

経緯はこちらから : ハレもケもハレ0 : 人生の岐路に立っている気がするので、書き記すことにしました。
∴過去エントリー
1 : 家探しを始める前から、問い合わせをするまで
2 : 「あなたの幸せを思って」と母から言われたけれど
3 : まだわたしは何者にもなれていない
4 : 彼が入院するらしい

今回は、内見の予定を立てて、同棲と結婚について悩んでいる話です。
( ちなみに、ご時世的に「今?」とお思いかもしれませんが、とうに過ぎ去りし話です )

🏠

出会ってしまった、としか言いようがなかった。
彼に対してではない。家に対してである。

ここにも書いていた通り、実家の母に結婚前の同棲を大反対されたので( というか反対というよりあれは拒否、言語道断の域だ ) それ以来積極的に家探しをするのはやめていた。SUUMOのアプリをいくら開いたところでその件に関して母の心が変わるわけではないし、そうなるといくら魅力的な家があったとて現状は変えられないからだ。

そんな中で何の流れだったか、「○○( 彼が住んでいる街 )でもこの予算内でこんな物件ありましたよ!」と不動産屋さんのお店に貼られている写真を撮って送ってくれたのがきっかけだった。それに対して売り言葉に買い言葉というか、「それならわたしだって」と試しに検索してみて、出会ってしまったのだ。その、運命的な物件に。

美味しい話には裏があるというのは、社会人としてきちんと分かっていた。たしかに築年数はかなり古い。でもリノベされているみたいで、写真を見る限りは本当に綺麗だ。実は写真詐欺なだけかもしれない。分からないけれど。
たしかにお手洗いはキャンプ場のログハウスみたいなレトロさだし、お風呂場も自動湯沸かし器はない。目につくところが無い訳ではないけれど、それを差し引いても魅力的な物件だった。もしや?と思って調べたけれど、心理的庇護物件でもないらしい。じゃあなんだ、なんなのだ。

自分たちが望む条件をほぼすべてパーフェクトに満たしており、予算にも優に収まる。駅からのアクセスが良いとは言い難いが、自転車があれば都心に何方向かアクセスできる。わりと歩く生活にはなるかもしれないけれど、お互いそう歩くのは嫌いではないし、許容範囲だ。ともなると、期待してしまわないほうが無理な話だった。

「ねえ、試しに行ってみようよ」
言い始めたのは、彼のほう。

「内見、申し込んでみちゃう?」
お問い合わせページを開いたのは、わたし。

数タッチであっけなく済んだお問い合わせのあと、数時間経ってすぐにお返事が来た。その日のうちにあれよあれよと予定が決まった。次の土曜日の、16時。2人でハイタッチをする。そうして「次の土曜日が楽しみだね」と話しながら解散した。

訳なのだが。

1人になると、今までに彼と交わした言葉たちが壁を伝って浮遊する。

「まだ向こう1年は結婚はいいかなあ」
「ね、ご時世的に今後の生活が読めないしね」
お散歩しながら彼と交わした、あのやりとり。

「今日参列した式の友人さ、フランスに転勤するんだよ。今度帰国してきてあいつと奥さんに会うことがあるときは、あなたも一緒かなって考えてた」
心臓が止まるかと思うほど嬉しいやらドキリとするやらだった、彼の言葉。

「節目って難しいよねえ。たまにほら、結婚資金が何万貯まったら、みたいなのも聞くけど、我々は…ねえ」
「そうだね、結婚資金かどうかは別として、いつでも生活が動かせるくらいの貯金は俺らあるしね。

まあ、良い家が見つかったらじゃない?

ここだ。これだ。

たしかに今すぐ結婚したい!というわけでは正直ない。7年目に突入した一人暮らしは楽だし居心地が良い。職場の年齢層もわりと近く、その中で結婚している人が少ないというのも気になる。先行きの見えないご時世に合わせて在宅と出勤の勤務が増減を繰り返している彼の仕事の動きも今は読めず、南北に離れているわたしたちの職場を考えると住むエリアはその出勤具合で変わってくる。

ともなれば、今がベストではないということは完全に同意だった。良い家が見つかったら一緒に住もう。更新期限に追われることなく、ひとつのきっかけとすればゆっくり家だって妥協せずに探せるし。それがベストだと思っていたし、思っている。だからこそ、この話が出たときわたしだって「そうだねえ」と返した。けれど。

ほんとうにこれでいいのだろうか?
家を見つけるタイミングが、結婚のタイミング?
それって、わたしは誰と結婚するの?家?

きっと今度の内見で引越しは決まらない。そんなに人生は甘くない。けれど、もしここだ!と2人して思ったら?そのときはわたしたち、一緒に暮らす「ため」に結婚するのだろうか?
たしかに引っ越すメリットはとても多い。2人して家賃は安くなるし、広い家に住めるし、好きな人と一緒に暮らせる。毎週会っていても帰りがけにいつもそこはかとなく寂しくなる、あの気持ちとはおさらばだ。きっと衝突することも失望することもあるけど、今後の長い人生のために擦り合わせていく覚悟はできる。
でも、これでいいの?

内見は、次の土曜日。
気持ちの整理は、まだできない。

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