【まくら✖ざぶとん】⑥③『殿堂入り』
今は昔も昔、ホストクラブが現代の商売だと思ったら勘違いの大間違い、伝説と轟かずば囁かれるその名は伊達じゃなく伊達男たる殿方が一堂に会する殿堂。殿方に逢いに来る女性客たる姫君は離縁が成立して角が立った婦人や旦那を亡くした男寡婦(やもめ)限定、少女と生娘はお断りの門前払い。
右を見ても左を見ても見目麗しい色男、よりどりみどりのあおあかきいろ、男運のなかった姫君たちゃ目の保養ついでに男を見る目も養いたいところだが、どっこい殿堂の殿方も軟弱の軟派者、姫君のもてなしはお安い御用のお手の者だが旦那としては半人前の半端者、甲斐性なけりゃ縁組も解消に次ぐ解消、殿方も殿方でワケありいわくつきでバッテン印のお墨つき。
同伴出勤もアフターたる退勤残業もない殿堂じゃ姫君との恋仲もよいしょよいしょのよござんしょ、男女の色恋に干渉するのは野暮の所業、ましてやキズ者同士とあらばベロベロ舐め合ってこそ。歯の浮くような甘言で誘って惑わしてたぶらかす呪文はラブラブカタブラ、所帯を持ってた所為か殿方も情が厚め、彼方此方で惚れた腫れたのすったもんだで大騒ぎの空騒ぎ。
肉を抱かせて骨を抜きたい姫君と銭を切らせてコネを断つべき殿方、一心一体の駆け引きに綱引きの枕引き、うっかり殿下の砲塔だけでなく骨までしゃぶり抜かれた相手にうつつを抜かせばたちまち殿下の放蕩、流されるままずぶずぶに溺れたら一蓮托生の駆け落ちで都落ちの殿堂落ち。
ところがところでどっこいしょ、それもこれもバツを増やしてハクをつけて戻ることが殿方の殿堂での殿堂入りの条件だとは知らない姫君のご奉公。居着かず離れる離縁の数こそ色男の勲章、これぞ殿堂還りでどんでん返し!ひらがなにひらけば「でんどうがえりでどんでんがえし」でどうでんしょ。
えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!