見出し画像

#自語り 28 不思議の国の踊り子

夏の終わりにくじ引きで当てたお高いお肉が届いたので家族で食べた。偶然の結果が大切な人たちの血肉になると思うと面白い。今日も体がだるく、眠かったり寝落ちたりした。先週までシャキシャキだったことを思うと不思議なことだ。気温が関係しているのだろうか。寒さにはめっぽう弱い。秋服を引っ張り出して着た。先日ユナイテッドアローズで購入したワイドパンツがよすぎてずっと履いてる。色違いも買っておこうかな。

不思議ちゃんと言われることが多々ある。面と向かって言われるまで気が付かないのでまぁ、そうなのだろうと思う。しかし不思議ちゃん側から言わせて貰うと私から見た全てが少し不思議で、不思議の国に仮住まいしている気持ちである。あと年齢的にもそろそろ不思議さんである。不思議ちゃん、不思議さん、変人に進化すると思っていて、私が昔働いていたバイト先は不思議さんだらけだった。オーナーの趣味だとは思うけれど私を含め生活感のない謎の女たちで構成されていた。間違わないでほしいが、不思議さんたちは仕事はできる。今まであった彼・彼女たちはみんな仕事ができた。社会的にも経済的にも安定している人が多かった。それに加えて皆、美しかった。そこから考えると高等遊民的な人々なのである。普段や休みの日に何をしてるか聞くと極めて文化的な行動を当たり前のように語り聞かせてくれる。時間の感覚も一般のそれとは違い、何というかエルフ的な…雄大な時間の流れを感じさせる。そんな彼女たちが俗世間的な話をしてくれると逆に得したような気持ちにすらなった。普段の話が嘘とまことの絶妙な境目を感じさせてくれるものなので、ATMの手数料の話などを話し始めると嬉しくなってしまうのだ。私や彼らの共通点としてはやはり、不思議さんであるという自覚がないということだ。そのように考え本人に伝える方がおかしい、と思っている。個性を出すためにわざとやっているのだな、と安心したいがために聞いてくるのもわかっている。でも大体はガチであり、数パーセントはそう言う「時期」なのであるが、不思議ちゃんから不思議さんに進化するとそれはもうガチであるとわかって欲しい。天然、ズレてる、普通じゃないなどと謎の批評を頂くがその言葉を浴びせる事で治ると思っていたら大間違いである。不思議さんたちからすると普通の人たちの方がそれぞれに理解し難い方向で変わっており、合わせてはいるけれどやっぱり変、と思いながら接している。なにより不思議さん同士でも別に分かり合えるわけではなく、(お互いこの人不思議さんだわ…)と内心思いながら会話することもある。自分と自分の感性、そしてその他。そう考えて生きていく事に何の問題があるのだろうか。話題のチョイスがおかしいのもわかってやっているので嫌がらせでも篩にかけたいのでも何でもない。自分と、自分の感性が部屋の中で反響していてそこから漏れ聞こえた残響のようなものが他人に届いているだけなのだ。自分に忠実であり、取り憑かれてもいるし、興味が尽きないという状況でもある。ほんなら他人と関わらん方がましや!と叱責と石が飛んできそうなのだが、世界に自分以外の人間がいることにずっと驚いていることも付け加えたい。生まれた瞬間からずっと驚いている。自分と自分の感性と世界で完結していたはずなのにわらわらと雪崩れ込む人間たちがいてびっくりしている。これはナルシシズムの問題ではなくそれで手一杯なのだ。自分と自分の感性にがっぷり四つで向き合う大変さはアーティストと呼ばれる人種にならわかってもらえるかもしれない。24時間自分でいなければならないので困る、焦る、苛立つ。でも死ぬまで付き合わなければならないのなら二人三脚した方が楽なのだ。そうして上手く自分と自分の感性と共に走ったり踊ったりすることが他人から見ると芸術と呼ばれるのではないかと考える。制御する必要があるし、時にはズタズタになる。でもそうやって生きる方法しかない。格好をつけてるわけではなく、生まれた時からそう生きるしかないのだ。不思議の国で死ぬまで踊り続けるダンスを、どうせなら誰かに見てもらいたい。それが私の活動のはじまり。

いいなと思ったら応援しよう!

MOIRA|女性フォトグラファー
機材や資料の購入費に当てさせていただきます。

この記事が参加している募集