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マンガで堪能する、めくるめくコーヒーの世界

「マンガで学ぶ〇〇」といった類のマンガもすっかり一般的になった。

マンガで学ぶシリーズは、個人的には昨年購入した「マンガでわかるデータベース」が記憶に新しい。会社の業務上、SQLの知識が必要になったため購入して読んだ。

(異世界のお姫様がデータベースを学ぶお話。私のSQLスキルが向上したかどうかは置いておいて、読み物として面白かったのでぜひ)

本よりもマンガで学ぶメリットとして、登場人物がテンポよくQAを出してくることによって、話がスムーズに進み理解するスピードが早まるところにあると思う。特に活字が苦手な方からすると画期的な教材なのではないだろうか。

「マンガで学ぶ〇〇」と言うタイトルではないにしろ、マンガで専門性のある分野を描いている作品は多い。

その中でも今回は「コーヒー」について描いたマンガについて話したい。

このステイホーム期間中、ほぼ毎朝ハンドドリップでコーヒーを淹れていたのだが"毎日決まった時間に何かをする"というこの規則正しい行いに、生活リズムを維持するという面でとても救われたからだ。

ここからは、一応学生時代に某緑のカフェで4年間アルバイトをし、今でもお家でコーヒーを淹れるほどコーヒー好きの私が選んだマンガを紹介する。

僕はコーヒーが飲めない / 福田幸江先生

コーヒーについて描いたマンガ...といいながら、主人公はコーヒーが飲めない飲料会社の営業・花山。

営業先で出されるコーヒーも頑なに拒む花山...。正確には、彼は飲めないではなく「飲まない」のだ。

そんな花山は、ひょんなことから社内のサードウェーブコーヒーのプロジェクトに任命される。本作は、そんな彼が社内外の仲間達に支えられながら、究極のコーヒーを作り上げる物語だ。

コーヒーの品種はもちろん、農園から焙煎といった製造過程まで深く描かれていて、コーヒー専門書さながらの情報が詰まっている。

また、コーヒーハンターと呼ばれる川島良彰氏の監修が入っており、お家でも簡単にできるコーヒーのアレンジ技まで紹介しているところが魅力的だ。

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バリスタ / むろなが供未先生

某緑のカフェでは、スタッフのことを「バリスタ」と呼んでいた。

バリスタとは、お客様のオーダーに応えてコーヒーを淹れるスペシャリストのことを指す。他にも、エスプレッソにミルクを加えて作るラテやカプチーノなどでよく登場する"ラテアート"もバリスタの技術として注目されている。

本作は、イタリアのバールで働く日本人バリスタ・香樹が主人公。

お客様に寄り添う一杯を淹れるのが彼の魅力で、イタリアでは人気バリスタとして活躍していたが、コーヒー豆焙煎所の最大手であるエリジオ・ソーラ社にスカウトされ日本に帰国。

本場のカッフェ文化を日本に広めたいと、意気揚々と帰国した香樹だったが、そんな彼を待ち受けていたのは"見習い"という肩書き...。

香樹は、バリスタ昇格をかけた「カッフェ早淹れ対決」やバリスタの国際大会WBCC、新店舗出店など、まるでバトルマンガ並の怒涛のコーヒーバトルを繰り広げていく。

本作では、バリスタと言う職業の裏側はもちろん『コーヒーが飲めない』と同様にコーヒーの品種や淹れ方について学ぶことができる。

特に注目したいのは、作品に登場する珠玉の1杯を魅力的に描く、むろなが供未先生の画力。

温かさとコーヒーの深みが入り混じったような、カフェ特有の雰囲気や、コーヒーカップからゆらゆらと立ち昇る湯気...。そんな細かな表現から、カフェやコーヒーの魅力が伝わってくる。

中でも、ブランデーを使った「カッフェ・コレット」という一杯が登場するのだが、それがとても美味しそうでいつか飲んでみたい。

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コーヒーとボク 漫画家に挫折したボクが22歳で起業してコーヒー屋になるまで / 相原民人先生

タイトル通り、マンガ家になる夢を諦めた主人公がコーヒー屋を開くまでを描いたマンガだ。

作者である相原民人先生が、マンガをマンガ家を志すきっかけとなったのは父でマンガ家の相原コージ先生の存在。

父の姿を追ってマンガ家を夢見て出版社への持ち込み活動をするもののうまく行かず...。そんな挫折を味わった相原民人先生の人生は、コーヒーによって大きく変わる。

きっかけは、カフェのアルバイトで出会った「ラテアート」。

マンガ家という仕事で培った"描く"センスを活かして、ラテアートの技術を向上させ自己表現に目覚めていくのだ。

マンガを失って忘れていた "作る"という楽しさ 新しい"表現"を見つけた気がした ラテを作り誰かに喜んでもらう それはつまり自分の表現で人を喜ばせているということだ           引用元:『コーヒーとボク』より

その後、バリスタ仲間と訪れたカフェで飲んだノルウェー産のコーヒーに衝撃を受けて、コーヒーショップを開くことに。

開業までの資金調達や店舗運営など、コーヒーショップ経営の裏側も描かれている本作。コーヒーの魅力だけではなく、これから新しい一歩を踏み出そうとする人に勇気を与えてくれる。

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作者の相原民人先生は、現在吉祥寺の自家焙煎コーヒーショップ「LIGHT UP COFFEE」でバリスタとして働いている。

LIGHT UP COFFEE」といえば、このお家時間に"エスプレッソキューブ"いう商品が話題になった。

濃厚なエスプレッソを新鮮なまま急速冷凍・真空化させた商品で、お湯をかければすぐに美味しいコーヒーになるし、ホットミルクを入れれば瞬時にカフェラテに早変わりする優れものだ。

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人は、夢が叶わなかった時その過程を否定してしまうことがある。

けれど、相原民人先生はマンガ家を志した時期があったからこそ、ラテアートの魅力に気付けたし、巡り巡ってコーヒーショップを開業するまでの道のりをマンガにすることができたのだ。

コーヒーとボク』からは、"叶わなかった夢やその過程は決して無駄ではない、全て繋がる時がくる" そんな前向きなメッセージを感じる。

写真は、某緑のカフェでアルバイトをしていた10年前の自分だ。

今思えば、"コーヒーが好きだから"というよりコーヒー1杯で繋がる常連さんとのコミュニケーションが楽しくて4年間続けてこれたのだと思う。

写真を撮った時は、就職活動をしていてマンガが好きだからと言う理由で出版業界を志望していた。

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結果、その夢は叶わず、色々なご縁がきっかけで新卒から今までずっとWeb業界で働いている。

就職活動時代の努力なんて、大人になった今から思い返せば大したことないかもしれない。けれど、叶わなかった夢に思いを馳せる時はたまにある訳で...。

でも、巡り巡ってマンガサービス「アル」でライターをやっている今、『コーヒーとボク』から感じた、"叶わなかった夢やその過程は決して無駄ではない、全て繋がる時がくる"論を信じて自分の道を歩み続けたい。

時には、一杯のコーヒーで休憩しながら。



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