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2023年1月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい!けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。

ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい!という方はこちらもぜひ。

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら

耽美とヒロイン

2023年の漫画初めはこちら。昨年の9月頃に発売された作品だけれど、ちょうどその時期バタバタしていたこともあり、年始にじっくり読もうと大切に積読していた一冊。萩尾望都先生、水野英子先生、美内すずえ先生といった少女漫画界のレジェンド作家8名が世界の名作文学を“マンガ”で描く……マンガ×文学のアンソロジーです。私はその精巧で美しい絵柄に没入し、母は懐かしいと言い、世代を超え母娘で楽しめる一冊でした。

秘密 ―トップ・シークレット―(全12巻)

年始は家族と過ごしていたのですが、久々に会った姉から「風見と降谷(名探偵コナン)のバディみが好きなら絶対ハマるよ!」と言われておすすめされたのがこちら。もうね、まんまとハマりました。仕事始めとか知らん〜!の勢いで毎晩せっせと読み耽っておりました。薪剛にそこはかとなく降谷零を、青木に風見裕也っぽさを感じ、姉のレコメンドが流石すぎて震えました。内容としては、死んだ人の脳に記録された情報を映像化する「MRI捜査」という技術を用いて事件を解決する近未来の刑事サスペンス。グロめな描写も多いけれど、それ以上に綿密に練られたストーリーにとにかく圧倒される。そして清水玲子先生が描く美麗なキャラクターたちよ……!芯の強さがありながらも、その核というか秘密に触れたら壊れちゃいそうな儚さ。薪さんと青木、永遠なれ……。

日月十譚

イラストレーター・ウルバノヴィチ氏の呼びかけで集った11人のクリエイターたちが描く“日本”が舞台の短編漫画集。 日常からファンタジー、人間ではない生物の視点……それぞれが思う日本の切り取り方や表現が面白い。紙のぬくもりを感じる装丁デザインも素敵でした。

取るに足らない僕らの正義

ある日突然姿を消したシンガーソングライター・多野小夜子。彼女の消失によって翻弄される男女6人の群像劇を描く。 推し、救い、いや“かみさま”が消えた時に炙り出される感情の機微、心の深淵。あと、小夜子の曲をベースに各々の物語が進む演出.…..良すぎた。

ハマる男に蹴りたい女(既刊3巻)

1月14日より、藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)さんを主演に迎え実写ドラマがスタートした『ハマる男に蹴りたい女』。大嫌い、なのになぜか目が離せない……恋愛漫画やドラマでよく見かける展開から始まるのに、ページをめくるたびに「そうきたか!」とジタバタしたくなり、いつかと同様に“せりあがる熱”にやられてしまう。そんな意表を突かれまくりな恋愛模様が本作。詳しくはmi-molletさんでレビューを書かせていただいたのでこちらもぜひ。

愛すべき娘たち

『大奥』『きのう何食べた?』など、よしながふみ先生の作品で好きなタイトルをあげたらキリがないけども 短編集『愛すべき娘たち』は折に触れて読み返したくなるほど好き。というわけで久々に再読。母、娘、友達、様々な視点から描かれる5人の女の物語。立場や環境は違えどみんな“娘たち”なのだと。読後は周囲の全てが愛おしく感じる。

赤羽骨子のボディガード(1巻)

連載作品の約半分がラブコメの「週刊少年マガジン」で、連載開始当初から個人的にずっと推し続けてきた作品。待望の単行本1巻が発売。ラブコメ×学園アクションものなんだけど、テンポ良し、モブキャラ一切なしの超絶力&神キャラの嵐です。

サンダー3(2巻)

あらすじはシンプルなのに読んでると脳がバグる!と個人的に驚き&興奮の本作。待望の最新刊が出ました。 登場人物たちは各々、立場や年齢、立ち向かう敵……それ以前に“画風”も違うけれど唯一同じなのは「闘う」こと。闘うことで絶妙に皆が交わっていく2巻、今後も楽しみ。

いやはや熱海くん(1巻)

学年イチの美形で超絶惚れっぽい高校生・熱海くんのままならぬ恋愛模様と日常を描く。 自分が相手へ抱く好意をしっかりと咀嚼できないから、自分に向けられた好意も受け止めることができない……タイトル通り“いやはや”な熱海くんの心の機微から目が離せん!

青野くんに触りたいから死にたい(10巻)

今までは漠然とした“怖い”がつきまとう作品だったけれど今巻はすごく悲しくて切ない。呪いだ、悪霊だとずっと恐れてきた者……その根源は根っからの悪なのではなく、誰もが抱くであろう孤独や苦悩だったりするのだと。たまらなく涙が出た。

夏目アラタの結婚(9巻)

連続殺人鬼・品川真珠。そんな彼女と獄中婚をした夏目アラタが織りなす、スリリングなクライムサスペンス。8巻がとんでもなく衝撃的かつ、物語の真相に迫る内容だったので、今巻はどうなるのかと思いきや……。いやもう全巻を上回る怒涛の展開でした。でも、荒れ狂う大波というか“嵐の前の静けさ”がずっといる感じ。この作品でしか味わえない妙なゾクゾク感がある。

(泣)-かっこ なき-

男の涙がテーマのオムニバス。普段は泣かないはずの男性が感情に耐えきれず涙を流す「男泣き」なんて言葉があるけど、本作で描かれる涙はそんなエモーショナルなものからコメディ色全開なものまで多岐に渡る。 涙がもたらす意外な効能(?)に驚いたり、それによって転がっていく物語の数々に浸ったり……涙がテーマだけれど、読後感は決して“哀”だけではなく多様な感情が湧き上がる。

BLUE GIANT(全10巻)

ジャズに魅せられた少年・宮本大が世界一のジャズプレーヤーを志す物語。2月17日(金)にアニメーション映画が公開されるのでウォームアップしとくか……という気持ちで再読。

いや、『BLUE GIANT』既読の皆さん、この映画涙なしに観れます??特に東京編のラストに待ち受ける(おそらく映画は仙台〜東京編をやるっぽい)あのユキノリショックをさぁ……。私は涙なしに見れないし、いや、それよりも前に私は玉田のくだりで絶対に咽び泣いてる。巷では“音が聴こえてくる“漫画として話題ですが、個人的には“前へ進もうと努力する全ての人を決して否定しない”そんな唯一無二の漫画だと思っています。

星旅少年(既刊2巻)

物語の舞台は「トビアスの木」の毒によってほとんどの住民が眠ってしまった「まどろみの星」。そこに残された文化を記憶、保存する星旅人・303の旅の記録を描く。まるで夜に溶けるかのような、静かで美しい“青”が印象的なSFファンタジー。紙で読むのはもちろんですが、個人的にはこちらの対談記事を読んでから、あえて電書で真っ暗な部屋の中(お布団に潜って)で読んでいます。

あなたは私におとされたい(既刊5巻)

“明日カノ”でお馴染みの「サイコミ」が放つ、ギリギリの不倫サスペンス。主人公は絶対に不倫しない男・直也、そんな男の元に現れたのは絶対に不倫させる女・ノア。このノアというキャラクターがとんでもなく強烈というか、もはや怖すぎる。絶対に不倫させる、いや堕とすぞという気概、そして根回しや行動力が凄すぎて……多分こういう人って何やっても上手くいくんだろうなと思ってしまった(小並感)。あと、読み終わった後に、複数人で「どこからが不倫?!」みたいな感じでそのボーダーラインについて語りたくなる作品だなと。

メンタル強め美女白川さん(4巻)

『メンタル強め美女白川さん』を読むと、自分のペースでゆっくりとじんわりと前向きになれる。この“自分のペースでゆっくりと”というのが本作の魅力であり、素晴らしいところだなと思っていて。例えば、白川さんはメンタル強めでポジティブなキャラではあるけれど、決して自分の意見を人に押し付けないし、無理にポジティブの強要をしない……絶妙な距離感、言葉選びで並走してくれる。自分の中に薄暗い感情が湧いたときは、いつも白川さんに助けてもらっています。あと、電子特典も本当にいつも丁寧に作り込まれていて、作者・獅子先生の創作愛というか読者への愛を感じる。

ライフ2 ギバーテイカー(全6巻)

1月22日より、中谷美紀さんを主演に迎え実写ドラマがスタートしている『ライフ2 ギバーテイカー』。大切なものを奪うか奪われるか、とある女性刑事と史上最悪の殺人犯との死闘を描いた本作。詳しくはmi-molletさんでレビューを書かせていただいたのでこちらもぜひ。

アンテン様の腹の中(既刊4巻)

大事なものを捧げれば対価に応じた願いが叶う、その代わり死んだら全てを失う……そんな不可思議な力を持つアンテン様と、彼女と出会った人々の“願い”をめぐる数奇な物語を描く。基本的には因果応報というか、教訓めいた昔話、伝承みを感じるストーリーが展開されていくが、最後に待ち構えるどんでん返しが秀逸。「ジャンプ+」で連載中の本作ですが、ただ今絶賛最終章に突入しているので必読です。

瓜を破る(既刊6巻)

30歳を超えても性体験がないことに劣等感を抱く会社員・まい子。そんな彼女が自分を変えるべく行動を起こすという物語。最初は、まい子が危なっかしくて「おうおうおう」と思ってしまったが、読み進めていくとまい子に限らず、みんな何かしら他人と比較して思い悩んでいるのだと。男性女性はもちろん、置かれた立場に限らず、今自分が囚われている殻を破って前へ進もうとする……そんな不器用ながらも前に向かって生きる人たちの姿を描いた素敵な作品だった。ここ最近の「マジでもっと早く読めば良かった作品」堂々の1位です。

2023年1月雑記

あけましておめでとうございます🐇

つい先日までのんびりお正月モードだったはずなのに、なんだかもう遠い昔のことのようだ……。まずは、2023年最初のお仕事報告から。

▼ インタビュー:『光が死んだ夏』モクモクれん先生

2022年12月31日に公開された記事なので、厳密には昨年のお仕事です。『このマンガがすごい!2023』(宝島社)でオトコ編第1位に輝いた、『光が死んだ夏』のモクモクれん先生にインタビューさせていただきました。昨年の5月に続き2度目のインタビュー。今回は、受賞後の心境の変化や、単行本の表紙に込められた思い、そしてモクモクれん先生が選ぶ“このマンガがすごい!”などたっぷりと語っていただきました。

昨年の最後のお仕事がこちらだったのですが、個人的に2022年ラストがモクモクれん先生インタビューだなんて……🙇‍♀️ありがたき幸せだったので改めてシェア。

▼ インタビュー:『NARUTO』オフィシャルサイト

海外版『NARUTO』の翻訳出版を担当したアメリカの出版社・VIZ MediaのAlexis Kirschさんとフリーの翻訳者の森本マリさんにご登場いただき、日本語表現や日本の文化を翻訳する際の工夫、そして海外版刊行へ至るまでのプロセスを深掘りしました。

『NARUTO』は超ド世代の作品。小学生の頃にお小遣いをはたいてちまちまと単行本を集めていた思い出があるので、誰よりも俺の中のリトル・メイがこの仕事を喜んでいる……。ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

▼ コラム:『名探偵コナン』2023年は灰原哀の年!優秀すぎる“主役級ヒロイン”人気No.1の理由

1月6日に、灰原哀に関するエピソードを抜粋した特別編集版『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン』が全国で公開されたので、それに合わせてQJWebさんで書かせていただきました。『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』は4月14日に公開予定!楽しみですな!!!!

▼ 連載:あちらのお客さまからマンガです/第3回

「いつものトークに深みをつけたい!」というお悩みに回答しつつ、わりと永遠に清野とおる先生の話をしてます。

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▼ 掲載:sweet 2023年2月号

「シスターフッドが合言葉♡バディな女達のエンタメ考」をテーマに『ブスなんて言わないで』『セクシー田中さん』『世界は寒い』『メンタル強め美女白川さん』を紹介しております。

その他執筆記事一覧はこちら

新しい一年が始まった〜!と思ったら、早速最初の月が秒で過ぎ去りました。原稿の内容や締切的なことが理由で、体感的にはもう2月を生きているのですが、今年も一つ一つのお仕事を大切に、丁寧に丁寧に打ち返していこうと。背伸びはしないけど、常に背筋をピンと伸ばして頑張ります。

そして、今年に入ってから大きな変化が一つありました。いやね、今まで二次元に熱狂してきた人生だったのですが、年始早々にとあるアイドルさんにハマりまして…….。当たり前だけど三次元って“生きてる”のが最大の魅力だなぁ。生きてるから歳を重ねて老いていく。「あああ推しさん、豊かな人生を歩んでくれ」と、ふとした瞬間にいつも推しさんのことを考え、幸せを祈っています。

なぜそこまで推しさんにハマったのかというと、この推しさん、なんと毎日毎日毎日ファンクラブのブログ更新するなど生粋の「続ける」狂なんですよ。自分の人生の中で「続ける」ことで受けた恩恵というか、目標を達成してきたことが多いので、そもそも私自身「続ける」ことに対して並々ならぬ美学と信仰心を感じているので。推しさんの姿を見て、自分が肯定されたというか、なんだか励まされるんですよね。

というわけで、久々にできた三次元の推しさんにパワーをもらいつつ、2月も楽しみながら駆け抜けます。

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