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私が思う天才たち。

天才。それは、人の努力では至らないレベルの才能を持つ人のことを指す。

歴史に名を残したり、目に見える業績を示した人物を評価する時に「天才」という言葉を使うことが多いだろう。

けれど、最近私が思うに天才とは「視点や感覚が研ぎ澄まされている人」のことを言うのではないだろうか。

見落としてしまう日々の中に

そう思うきっかけとなったマンガ家の先生が2人いる。

清野とおる先生と山本さほ先生だ。

まず、清野とおる先生といえば東京都北区赤羽赤羽では『ONE  PIECE』よりも売れていると評されている大ヒット作品の作者だ。

赤羽で出会ったユニークな住人たちや、もはやディスニーランド並にエキサイティングな居酒屋で経験したエピソードの数々を語った本作は、何度読んでも「ヒヒッ」と笑いたくなるような不思議な魅力がある。

最近では、かつで清野とおる先生が執筆を断念したと言われている禁断のスナック「キャンドル」との思い出の日々を描いた『さよならキャンドル』の連載をスタートさせた。

清野とおる先生の作品は、ものすごくシンプルに言ってしまえば、街で出会ったちょっと変わった住人...。いや、無礼を承知でいえば一般の人なら不審者で片付けてしまう人々をありえない位ドラマチックに描くのだ。

そして、お次は山本さほ先生。

実在する幼馴染・岡崎さんとのちょっと特殊な友情を描いた『岡崎に捧ぐ』は「マンガ大賞2016」にノミネートされたほどの大ヒット作だ。

そして、最新作であり私が感銘を受けた『この町ではひとり』。

山本さほ先生自身が二度と戻りたくない...と語る暗黒期を描いた作品だ。

忌憚のない感想を言うと、本作はとても悲惨なエピソードのオンパレードだ。美大受験に失敗して自宅に引き籠ってゲーム三昧の日々...。そんな自分を変えたくて心機一転引越ししてアルバイトを始めたところ、そこにいたとんでもない人たちに揉まれた結果、心身とも蝕まれていくのだ。

けれど、一般の人なら「あの時期は本当に悲惨だった、戻りたくない」で片付けてしまう自分の過去を、第三者の視点でギャグも交えつつ読み解いていくのだ。そして、誰しもが心に抱えているであろう暗黒期を肯定してくれるような、とても希望のあるラストだった。

唯一無二の視点や感覚

繰り返す日々の中で、なんとなく見過ごしてしまう「喜怒哀楽」。

それを見過ごさずに、独自の視点や感覚で物語に昇華させていくこの2人のマンガ家は本当に天才だと私は思う。

独自の視点や感覚は一朝一夕で養われるものではない。

まずは、気付いたら終わってしまう今日を大切に見つめていきたい。

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